過酷な泊まり込みの日々。将来への選択肢が見えなかった会社員時代
──逆境経験について教えてください。
新卒で就職した、国立大学の事務職員時代のことです。
もともとは「仕事の割が良くて楽そう」「安定していて休みもしっかり取れる」という理由で、効率よく採用試験を突破して選んだ道でした。
しかし、実際に働き始めると、私自身は最低限の責任感を持って自分の仕事をしていただけですが、先生方や秘書の方々からは「神様が出てきた」と言っていただくほど、職場内では仕事に対する温度差がありました。
結果的に私のもとへ業務が殺到し、経理の繁忙期には月に2回しか家に帰れないほどの激務に陥りました。職場に泊まり込む日々が続き、閑散期を迎えてふと冷静になったとき、「毎年この泊まり込みを続けるのは物理的に無理だ」と強烈な恐怖を覚えました。
しかし、当時の私には特別なスキルもなく、転職したくても他の会社で通用するとは到底思えませんでした。
あの状況から抜け出すための「選択肢」を全く持っていなかったこと、そして将来への絶望感に満ちていたことが、私にとって一番の逆境だったと思います。
目の前のやるべきことをひたすらこなすしかないという、息が詰まるような不安を抱えていました。
「知らない世界」に触れ、常識を覆す。出会いがもたらした価値観の転換
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
現状をどうにかしたいとフットサルチームの先輩に相談したところ、「いきなり辞めるのではなく、まずはお金の勉強などをした方がいい」とアドバイスを受け、ある投資家の方を紹介していただきました。
その方の講演会に参加したことが、私の人生の大きな転換点になりました。
マレーシアに住み、Tシャツとジーパン姿でフラッと現れるその投資家の生き方は、私の狭い世界観とはあまりにもかけ離れていて、衝撃とワクワクを感じました。
その方から「お金持ちの世界の常識」や、「お金がないうちからでも、人の役に立つことが大切だ」という考え方を教わり、私の考え方は真逆と言っていいほど変わりました。
そこから、人の悩みを聞き「自分だったらどうお役に立てるか」を考えるようになり、それまでほとんど知らなかった投資についても学び始めました。
国立大学を退職した後も、投資や事業を実践しながら自分の世界を広げ、現在では事業投資をはじめ、様々な投資をしています。
自分が知らない世界を知り、うまくいっている人に直接触れることの重要性、そして世間の多くの方々が考えることの反対の動きをすれば道は開けるということに気づけたのも、この出会いがあったからこそです。

コロナ禍の失業者を救うために設立。「思いやり」を追求する会社の形
──会社の強みや魅力について、教えてください。
ユニゾンエース株式会社は、自社の利益を求めていない少し変わった会社です。
設立したのは2020年4月、まさに新型コロナウイルスの影響で世間が混乱し、多くの会社が潰れていくタイミングでした。
当時、突然会社をクビになり、雇用保険にも未加入で失業手当すらもらえないというピンチに陥った若者3人から相談を受けました。「それなら私がその子たちを雇い入れよう」と思い立ったのが、人生初の法人化のきっかけでした。
最初から明確な事業内容があったわけではなく、「思いやりを追求すること」を会社の根本に置いています。そのため、特定の事業領域にこだわるのではなく、目の前にある課題やご縁から必要な事業を立ち上げてきました。
現在は、ITツールの導入支援をはじめ、スマホアプリのゲーム広告事業や求人代行サービス、さらに旅行サービスを活用しながら、事業者が集まる「価値循環型のコミュニティ」の構築など、様々な事業を展開しています。また、個人では投資家として、事業への出資なども行っています。
私はあえて、人生の遠い目標やゴールを定めていません。目標があると達成しやすい反面、視野が狭くなりバイアスがかかってしまうからです。
それよりも、いろいろな方とのご縁を大切にしながら、人生の彩りや世界観を広げていく。それが、私の目指す終わりのない旅のようなビジョンです。
誰から学ぶかを見極め、自分の世界の外へ。人生の選択肢を広げるために
──若者へのメッセージをお願いします。
何かを学ぶとき、最も重要なのは「誰から学ぶか」という選択です。
私が大切にしているのは、その分野で実際に結果を出している人から学ぶことです。例えば、不動産投資を学ぶなら、不動産を販売している人ではなく、実際に不動産投資で結果を出している人から学ぶ。この違いはとても重要だと思っています。
もう一つ大切なのが、その人がフラットで中立的な視点を持っているかどうかです。目的や利害関係を理解し、どのような立場から話しているのかを認識したうえで、話を聞くことが大切だと思っています。
もし周りにそういう人がいなければ、自分の世界の外にいる人にたくさん会ってみてください。100人くらい会えば、「この人素敵だな〜」とピンとくる人が数人は見つかるはずです。
そして、人と関わるときは「自分に何ができるか」「どうすればこの人の役に立てるか」を先に考える。直接的な貢献が難しくても、「自分がこの人の人生だったら、どう攻略するかな?」と考えてみるだけで、自然と質問がたくさん出てきます。それだけでも人に喜んでもらえます。
私自身、国立大学で働いていた当時は、自分には他の選択肢がないと思っていました。でも、選択肢がなかったのではなく、ただ「知らなかった」だけなんです。
一見すると遠回りに感じるかもしれません。でも、目先の効率だけを求めず、自分の知らない世界に触れ、人とのご縁を積み重ねていく。長い目で振り返ると、そうした遠回りに見える行動こそが、結果的に最短ルートだったりします。
知らない世界に触れ、人とのご縁を大切にしていけば、人生の選択肢は、自分が思っている以上に大きく広がり続けていきます。


