プライドが邪魔をした、初めての挫折。テレアポで学んだ「圧倒的な現実」
──逆境経験について教えてください。
大学3年生の夏、周りの友人たちがインターンシップに参加し始めたのを機に、私もいくつかの企業を見て回りました。その中で惹かれたのが、当時まだ珍しかったベンチャー企業です。大手企業の説明会にも参加しましたが、多くの同期の中で埋もれてしまう感覚があり、自分の力が試せる環境に魅力を感じました。幸いにも、長期インターンとして受け入れてもらえることになり、「それなりにやれるだろう」と、どこか楽観的に考えていたんです。
しかし、そこで初めての壁にぶつかりました。任された業務の一つが、弁護士や司法書士事務所へのテレアポです。今思えば当然ですが、学生の電話が専門家である先生に直接繋がることはほとんどありません。受付で断られる日々が続き、1日に30件ほど電話をかけては「なぜうまくいかないんだろう」と頭だけで考えてしまい、完全に行動が止まってしまいました。
そんな中、後から入社してきた中途の営業担当者が、私の何倍もの量をこなし、次々とアポイントを獲得していく姿を目の当たりにしたんです。その時、痛感しました。「ああ、結局は『数』なんだ」と。小手先のテクニックや思考の深さ以前に、圧倒的な行動量がなければ何も始まらない。それが、私のプライドが打ち砕かれた最初の逆境経験でした。

失敗から生まれた成功体験。「やり切る」ことで見えた、次のステージ
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
インターンでの失敗は、私にとって大きな教訓となりました。「質は量の先にしか存在しない」という、仕事における原理原則を学んだのです。この学びが真価を発揮したのは、新卒で入社した後に行われた研修でのことでした。同期と成果を競う営業研修があったのですが、私はインターン時代の反省を胸に、誰よりも「量をこなす」ことだけを考えました。
担当エリアの地図を頭に叩き込み、ひたすら走り回る。エレベーターで乗り合わせた別フロアの会社員の方にまで「新卒研修中で、どうしても負けられないんです!」と頭を下げて名刺をいただく。そんな泥臭い行動を積み重ねた結果、ぶっちぎりの成績で研修を終えることができました。
この経験は、私にとって浪人時代の大学合格以来の大きな成功体験となりました。一度「頑張ってやり切ったら、結果が出た」という経験をすると、それが自信になり、次の挑戦への原動力になります。やってみなければ何もわからないし、行動した先でぶつかる壁こそが、自分を成長させてくれる。この考え方は、今の私の経営におけるすべての判断の基礎になっています。
専門家集団ではなく、統合家集団へ。Webマーケティングの「ぼったくり」をなくす挑戦
──会社の強みや魅力について、教えてください。
当社の最大の強みは、メンバー一人ひとりが広告運用、SEO、SNS運用といった複数の専門領域を横断的に理解していることです。Webマーケティング業界は専門分化が進んでいますが、お客様の課題は一つではありません。だからこそ、私たちは特定の施策に固執するのではなく、あらゆる選択肢の中から最適な解決策を統合的に提案できる体制を築いています。
実は、創業当初から「Webマーケティング業界のぼったくりをなくす」というミッションを掲げています。起業直後に相談を受けた案件の中には、信じられないほど杜撰な広告運用をされているケースが少なくありませんでした。そうした状況をなくし、お客様に誠実な価値を提供したいという想いが原点です。
そのために、あえて未経験者採用にも力を入れています。まっさらな状態から、私たちの文化の中で「広く深く」学ぶ意欲のある人材を育てる。それが結果的に、お客様への提供価値を最大化すると信じています。今後はさらに新規事業を立ち上げ、社員が「自分ごと」として挑戦できるポジションを増やし、働くことそのものを面白くしていきたいと考えています。

「タイパ」を求めすぎるな。AI時代だからこそ価値を持つ「場数」というスキル
──若者へのメッセージをお願いします。
これからのAI時代、最も危険なのは「思考停止」することです。かつての就職人気ランキング上位企業が、今も安泰とは限りません。世の中の常識や評判に流されるのではなく、自分の頭で考え、AIに代替されないスキルは何かを見極め、それを得るための選択をしていく必要があります。
では、そのスキルはどうすれば手に入るのか。私は「場数を踏む」こと以外に近道はないと考えています。最近は「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉が流行っていますが、効率ばかりを求めすぎると、失敗から学ぶ貴重な機会を失ってしまいます。一見、無駄に見えるような圧倒的な量の実践の中にこそ、本質的な学びや質の向上のヒントが隠されています。結局のところそれが最もタイパの良い進め方なのではないでしょうか。
そして、頑張るための原動力として、「小さな成功体験」をぜひ積み重ねてください。私自身、受験や新卒研修で挫折を経験し、その中で「やればできる」という成功体験を実感できたからこそ、次の挑戦に向かうことができました。どんな些細なことでも構いません。自分で目標を立て、やり切って、成功する。その経験の繰り返しが、未来を切り拓く一番の力になるはずです。
