すべてを失い生きる意味を見失った壮絶な日々
──逆境経験について教えてください。
24歳頃に経験した離婚と、それに伴う多額の借金、そして自己破産に近い形での債務整理です。私の人生の中で、間違いなく一番辛い時期でした。それまでは、自分の中で論理的に考え、完璧を目指して仕事も家庭もこなしているつもりでした。しかし、気がつけば家庭は崩壊し、守るべきものも失ってしまったのです。
慰謝料や家庭の借金が膨れ上がり、何のために働いているのか、全くわからなくなりました。毎日働いても、それはただ借金を返すためだけの日々で、「生きる意味」が完全に抜け落ちてしまったのです。プログラミングやシステム開発など、あんなに楽しかったはずの仕事が、急に色あせて感じられました。
そこから精神的に一気に落ち込み、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥りました。頭では「こういう行動を取れば回復する」と科学的・論理的に”わかっている”、それでも心がついて、頭と心と身体がバラバラになったようなそんな感覚でした。部屋の電気もつけず、水も飲まず、ただ寝るかぼんやりと天井を眺めるだけという日々が続きました。幸いにも友人には恵まれていたので、病院には連れて行ってもらいましたが、当時は住んでいるマンションの玄関を一人で開ける事すら危険な状態になり、数日間はほぼ軟禁状態でした。まさに生死の境をさまようほどの、どん底の経験でした。

「誰のために働くか」という感情への気づき「過去の自分が救ってくれた再起」
どん底まで落ちきり、3日ほど何も口にしていなかった時、ふと「水が飲みたい」「ご飯が食べたい」という人間の根源的な欲求が湧き上がってきました。その瞬間に、自分の中でカチッとスイッチが入り直したのを感じたのです。そこからは、かつて自分が論理的に書き留めていた「ドーパミンやセロトニンの出し方」や日々のルーティンを、ただ忠実になぞることで、徐々に本来の自分を取り戻すことができました。ゼロから立ち上がるのではなく、過去の自分が積み上げていた仕組みに救われたのです。
そして、この逆境を通じて最も大きな学びとなったのは、「働く意味」と「感情」の大切さに気づけたことです。それまで私は、すべてを構造化し、論理と合理性だけで物事を判断していました。しかし、家族を失って初めて、自分は「家族がいたからこそパワーが出ていたんだ」という事実に気づかされたのです。
いくら稼ぐか、何をするかという「条件」ではなく、「誰と、何を成すか」人間の原動力は、理屈ではなく、誰かのためにという感情にあるのだと痛感しました。自分がロジックだけで生きていると思い込んでいた私にとって、この感情への気づきは、その後のキャリアや生き方を根本から変えるほどの大きな教訓となりました。
AIは単なる手段 顧客に「本質的な価値」を提供する
現在は、AIやDXを活用したコンサルティング事業と、企業のコンテンツマーケティング支援の2軸で事業を展開しています。私自身の強みは、ITエンジニアとしての技術力と、学生時代からアフィリエイトなどで培ってきたマーケティングの知見を掛け合わせている点にあります。
今の世の中は「AI」という言葉が一人歩きしていますが、私は「AIを使うこと自体には何の価値もない」と考えています。AIやプログラミングはあくまで手段であり、使う事自体は目的ではありません。大切なのは、それを使って「どういう仕組みを作り、いかにお客さまを喜ばせるか」という結果です。当社では、企業が自社でAIを導入する際の手間を引き受け、私たちが構築した「AIを活用したチームビルディングの仕組み」そのものを提供しています。
これからのビジョンとしては、こうした仕組み化とパッケージ化を複数の業務に展開して、BPaaS(ビジネスプロセス・アズ・ア・サービス)事業つまり、業務そのものをサービスとして提供できるように幅広く展開していくことです。時代がどれだけ変化し、新しい技術が登場しても、本質的な価値である「お金、時間的余裕、課題解決」を提供できる組織であり続けたいと考えています。

客観的な視点で夢を描き『本気』の人を笑わない世界へ
今の若い世代の方々に一番伝えたいのは、「本気でやることって、決してかっこ悪いことじゃないよ」ということです。世の中には、達観して諦めムードが漂い、「頑張っても意味がない」という空気が蔓延しているように感じるかもしれません。しかし、だからといって、本気で何かに取り組んでいる人をバカにするのは違います。本気でやっている人を「かっこいい」と素直に思える世界になれば、みんながもっと幸せになれるはずです。
もし「夢がない」「やりたいことが見つからない」と悩んでいるなら、少し視点を変えてみてください。自分の内側を探すのではなく、「将来、自分の子供からどう見られたいか」「大切な人からどういう人間だと思われたいか」という客観的な視点を持ってみるのです。
自分がどのポジションにいて、誰にどう見られたいのか。その「見られ方」の理想像こそが、実はあなたの夢の入り口になるかもしれません。初めはやりたいことがなくても構いません。悩み立ち止まるよりも、まずは動いてみること。そして、自分が本気で輝ける場所をぜひ見つけていってください。

