絶望のどん底へ。19歳で4,000万円、24歳で6億円の借金を背負う
──逆境経験について教えてください。
幼少期は秋田県で生まれ、その後栃木県で育ちました。家庭環境は少し複雑で、父の顔色をうかがいながら「目立たず、火の粉がかからないように」立ち回る子ども時代でした。しかし、高校時代には一転して部活を3つ掛け持ちするなど、起伏に富んだ学生生活を送っていました。
ビジネスの最初の入り口は、大学1年の19歳の時です。地元の後輩から頼まれたことがきっかけで金融系のマルチビジネスに関わることになりました。当時はビットコインの自動トレードシステムなどを扱い、気付けば200人規模の組織になっていたのですが、突然上の人間が飛んでしまったのです。その結果、私は4,000万円の返済を抱え込むことになりました。「もう就職という現実的な選択肢はない。自分で稼ぐしかない」と腹をくくり、営業代行やアフィリエイト、公園の水を汲んで飢えをしのぐような極貧のフリーランス時代を経て、必死に食いつなぎました。
少しずつ稼げるようになった23歳の時、コールセンター事業などを手がける会社の役員に就任しました。そこで新規に立ち上げたキッチンカーのファクタリング事業を任されたのですが、この仕組みが私にとって最大の逆境の引き金となりました。上場を目指すため、債権者の名前を会社に載せないよう、まずは私個人が投資家から億単位の資金を集め、それを社長に貸し付けるという契約になっていたのです。しかし24歳の時、その社長が6億円という莫大な資金を抱えたまま失踪してしまいました。私にすべての責任と返済がのしかかり、文字通り人生の底に突き落とされた瞬間でした。
無駄を削ぎ落とし、生きるための「最適解」を選び続ける
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
6億円の借金を背負った直後は、あまりのストレスに思考が停止し、感情すらなくなるほどの状態でした。毎日8時間は債権者への謝罪に追われ、残りの8時間で仕事をして、毎月400万円という途方もない額を返済しなければならないループに陥ったのです。
この極限状態から私が学んだ最大の教訓は、「すべての無駄を削ぎ落とすこと」です。一挙手一投足に無駄がないか、常に自分に問いかけました。情に流されて誰かを手伝ったり、素敵なサービスだからと寄り道をしている時間はありませんでした。一緒についてきてくれた社員や仲間のためにも、最短で返済を進めるための「最適解」だけを選び続ける必要があったのです。
また、どん底に落ちたことで人間の本性も痛いほど見えました。相談に乗ってくれるふりをしながら私を安く使おうとする人や、攻撃の矛先を向けてくる人が大半でした。しかし、その中でも見返りを求めずに最後まで残ってくれた2人の仲間や当時の彼女の存在が、私を前へ進ませる大きな原動力となりました。困難に見舞われたとき、私は「自分の力でめちゃくちゃ頑張れば乗り越えられる試練しか降ってこない」と考えるようにしています。過去の4,000万円の経験があったからこそ、6億円という困難にも立ち向かうことができたのだと、今は確信しています。
イケメンを「構造化」する。誰もやっていないブルーオーシャンへの挑戦
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在、株式会社イケメンではシステム開発と広告事業をメインに行っています。特にシステム開発においては、完全未経験のメンバーを独自のカリキュラムで短期間のうちに一人前のエンジニアに育成する仕組みを構築しました。これにより、省力化へのニーズを捉え、補助金を活用した数千万円規模のシステム開発案件を次々と受注し、大きな収益の柱へと成長させています。
しかし、これらはあくまで通過点に過ぎません。私の最終的なビジョンは、社名にもある通り「イケメンの構造化」です。私はイケメンを「外面・内面・経済面」の3軸で捉えており、これらがすべて80点以上であることを真のイケメンと定義しています。これまで「カッコいい」という概念は主観的で曖昧なものでしたが、これをデータやロジックを用いて定量化し、点数が足りない部分を私たちのサービスで伴走して底上げできるプラットフォームを作りたいのです。
すでにその第一歩として、顔の骨格データなどに基づき、誰でも客観的に似合う眉毛の形を提案する「イケメン製作所」という美容室を池袋で展開しています。これをヘアスタイルやファッション、さらには経済面や内面にも応用していく予定です。この壮大なビジョンを実現するためには、何十個ものサービスを展開し、大量のデータを集める必要があります。だからこそ、システム開発を最初から内製化し、圧倒的なスピードで事業を生み出せる組織づくりを進めているのです。

迷惑をかけてもいい。ただ、必ず「ケツは拭き切れ」
──若者へのメッセージをお願いします。
私は、基本的に人に迷惑をかけまくっていいと思っています。ただし、それは「かけた迷惑以上にその人にお返しができる」、つまり「自分で自分のケツを拭き切る覚悟」がある場合に限ります。もしそれが約束できないのであれば、無責任な失敗や迷惑は絶対にかけるべきではありません。私自身、多大な迷惑をかけてしまった時期がありましたが、誠意を持って対応し続け、決して信念を曲げなかったからこそ、今こうして前を向くことができています。最後まで責任を持てるのであれば、どんな選択をしても構わないのです。
また、「やりたいことが見つからない」と悩んでいる若い方へ伝えたいのは、それは単に情報が足りていないだけだということです。やりたいことがなくても、とにかく動いて情報を自分から取りに行ってみてください。いろいろとやっていく中で解像度が上がり、「これだ!」と心が震える瞬間が必ず訪れます。
知識や経験がないことを恐れる必要はありません。失敗を前提に、まずは手当たり次第に行動し、自分だけの物差しを作っていくこと。そして、苦難に直面しても逃げずに誠実に向き合い続けること。その積み重ねが、やがてあなたの人生を真に「カッコいい」ものにしてくれるはずです。

