挫折と堕落の大学時代。「ダサい自分」との遭遇
──逆境経験について教えてください。
僕は長崎の進学校に通っていて、ずっと野球をやっていました。プロを目指して筑波大学の体育学部に進学したんですけど、入学後すぐに怪我をしてしまって。そこで気持ちが切れてしまったんですよね。
「もう無理だな」と思って、大学自体を辞めました。そのあと半年浪人して立命館大学に入り直したんですが、今度は目標を完全に見失ってしまったんです。毎日お酒を飲んで、パチンコをして、典型的なダメ大学生でした。
でも、自分でも「このままじゃダメだ」とは分かっていたんです。ただ、分かっていても頑張れない。就活の時期になっても、エントリーシートを前に何も書けなくて、ストレスで蕁麻疹が出るくらい追い込まれていました。
僕にとって一番きつかったのは、「できない自分」「だらしない自分」と向き合うことでした。周りにどう見られるかより、自分自身が“ダサい”と思う自分に遭遇するのが本当に嫌だったんです。
でも今振り返ると、その自己嫌悪があったからこそ、「このままでは終わりたくない」と思えたんですよね。あの時期が、今の自分を作った原点だったと思います。

26歳でついた「物心」。理不尽を乗り越える力
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
「ダサい自分」から抜け出したくて、大学時代にイギリスへ留学しました。日本人がほとんどいない障害者福祉施設で住み込みで働いていたんですが、英語が聞き取れないと普通に舌打ちされるような環境でしたね(笑)。
でも、その環境がすごく良かったんです。逃げ場がないから、とにかく食らいつくしかない。気づいたら、「意外と何とかなるな」と思えるようになっていました。
帰国後は大手製薬会社に入社しました。世間的には安定した会社ですし、親も安心していました。でも働く中で、また違和感を覚えたんです。大企業ならではのルールや上下関係の中で、「個人の意見ってこんなに通らないのか」と感じる場面が多くて。
もちろん自分が未熟だった部分もあります。ただ、その理不尽さを経験したことで、「自分の人生くらい、自分で決めたい」と強く思うようになりました。
そこで、ずっとやりたかった映像の世界に飛び込んだんです。26歳でした。専門学校に通いながら制作会社に入り、現場で必死に食らいついていました。
その時、先輩に「水浦はどう思う?」と聞かれて、自分の意見を言ったら採用されたことがあったんです。それが本当に衝撃でした。
「あ、自分って意見を言っていいんだ」って。今思えば、あの瞬間に初めて“物心がついた”感覚でしたね。
理不尽なことが起きても、「自分に力がないからだ」と思って努力する。その積み重ねが、今の自分のベースになっています。
課題解決こそが本質。常識を覆す「映像の総合商社」
──会社の強みや魅力について、教えてください。
うちの強みは、「映像を作ること」自体を目的にしていないところだと思っています。僕たちはまず、「クライアントは何に困っているのか」「本当の課題は何なのか」を徹底的に考えるんです。
その上で、テレビCMのような大規模案件もあれば、SNS用の短尺動画を大量に回すケースもある。予算や目的に応じて、最適な方法を提案しています。
僕はよく「映像の総合商社」みたいな存在だと言っているんですが、まさにそんなイメージですね。ジャンルを限定せず、課題解決のためなら何でもやる。
それを実現できているのは、これまで案件を選ばずに挑戦してきたからだと思います。泥臭い仕事も含めて全部やってきたので、その分、幅広いクリエイターとのネットワークができました。
あと、うちの会社には、一度レールから外れた経験を持つ人間が多いんですよ。だからこそ熱量がある。「ここでしか生きられない」くらいの覚悟を持って働いているメンバーが多いんです。
もちろんクライアント満足は大前提です。でも、僕が本当に大切にしたいのは、一緒に働く仲間なんですよね。熱い人たちと、本気でぶつかりながら仕事をする。その環境こそが、自分を成長させ続けてくれると思っています。

決める、そして動く。言い訳できない環境が君を強くする
──若者へのメッセージをお願いします。
「やりたいことが見つからない」と悩む人は多いと思います。でも僕は、最初から正解を見つける必要なんてないと思っています。
大事なのは、まず“決める”ことです。何でもいいから決めて、全力でやってみる。違うと思ったら、その時にまた変えればいいんです。
一番良くないのは、「まだ決めきれていないから」と言い訳して、何もしない状態を続けることだと思っています。僕自身、それを経験してきたので。
だからこそ、自分で退路を断つくらいの環境に飛び込んでほしいんです。言い訳できない状況に身を置くと、人って意外と変われます。
ボロボロになってでも、何かに本気で挑戦している姿って、すごくかっこいいんですよ。周りもきっと応援してくれる。
まずは一歩踏み出してみてください。その先には、今まで知らなかった自分との出会いがあると思います。
