コロナ禍で絶たれた「世界一周」という長年の夢
──逆境経験について教えてください。
私は大学生の頃から、ピースボートに乗って世界一周をするという夢を抱いていました。帰国後にはアメリカ横断やワーキングホリデーなど、世界を股にかける旅人として生きていく計画を立て、夢への期待で胸を膨らませていたのです。しかし、いざ出航という大学3年のタイミングで新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、船の運航が完全にストップしてしまいました。
あの時は、目の前が真っ暗になりました。世界一周という夢が一瞬にして消え去り、「これからどうやって生きていけばいいのか」と、人生の目標を完全に見失ってしまったのです。周りが「もう船は出ない」と言う中でも、私は諦めきれずに「いつか出るぞ」とブログ等で発信し続けていましたが、結局出航は叶わず、就職をして結婚することになりました。
携帯電話の営業などを経験しながらも、自分の人生がどこか停滞しているような、やりたいことが一つずつ手のひらからこぼれ落ちていくような虚無感を抱えていました。かつてはあんなに明るく、未来にワクワクしていたはずなのに、気づけばただ毎日をこなすだけの暗いトンネルの中に迷い込んでいたあの時期が、私の人生における最大の逆境でした。
自分を救ってくれたのは、諦めない心と「人」の存在
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
夢が絶たれて苦しかった時期、私を救い出してくれたのは「人」でした。船が出ないと分かってからも、私はピースボートの事務所に顔を出し、いつか出航する日のために活動を続けるスタッフたちを応援していました。みんなが諦めて去っていく中で、あるスタッフが「梅にはほんまに乗ってほしい」と声をかけてくれたのです。その一言で、「自分はこんなにも期待されている人間なんだ」と気づかされ、再び前を向くことができました。
この経験から得た最大の教訓は、「諦めるのに遅いも早いもない」ということです。コロナ禍で一度は夢を断たれましたが、諦めずに人との関わりを大切にし、自分なりに発信を続けていたからこそ、巡り巡って今年、7年越しに世界一周の夢を叶えられることになりました。
さらに、携帯電話の営業時代に出会った友人を通じて「カメラ」という天職にも巡り会うことができました。諦めずにワクワクする未来を想像し続ければ、必ず運が回ってきて道は開けるのだと確信しています。

「その人らしさ」を写し出す、伴走型のフォトグラファー
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私は現在、フォトグラファーとして活動していますが、最大の強みは「スタジオ撮影とポージング指定を一切行わない」という点です。私は、作られた美しさではなく、その人のありのままの姿や「らしさ」を写真に収めたいと考えています。
そのため、撮影前には必ず1時間ほどのヒアリングを行い、その人がどんな人生を歩んできたのか、何をしている時が一番楽しいのか、そして将来どんな夢を持っているのかを徹底的に深掘りします。その上で、その人が最も輝くシチュエーションやテーマをご提案し、撮影に臨んでいます。ただシャッターを押して終わるのではなく、被写体の方の人生に寄り添い、一緒に作り上げていくスタイルが私のこだわりです。
今後の展望としては、世界一周から帰国した後に個展を開きたいと考えています。旅先で出会った現地の人々の素顔と、彼らが抱く夢を写真に収め、それを見た人が「こんな状況でも頑張っている人がいるんだ」と勇気をもらえるような、人の心を動かす展示にするのが目標です。そして最終的には、私が死んだ時にお葬式に何千人もの人が集まり、「梅ちゃんと出会えてよかった」と泣き笑いしてもらえるような人生にしたいですね。
出会いに感謝し、まずは「泥臭く」動いてみること
──若者へのメッセージをお願いします。
これからの未来を創る若者の皆さんには、「出会う人すべてに全力で向き合ってほしい」と伝えたいです。私の人生を振り返っても、どん底から引き上げてくれたのも、カメラという新しい道を切り拓いてくれたのも、すべては「人との出会い」でした。隣にいる人が、明日からの人生を劇的に変えてくれる一生の付き合いになるかもしれません。だからこそ、どんなご縁も大切にし、感謝の気持ちを忘れないでください。
そして、もし今やりたいことが見つかっていなくても、まずは「泥臭いこと」に挑戦してみてください。私は過去にわらしべ長者をやってみたり、カメラを買うために新聞配達をしたり、何のメリットもない中で人に会いに行ったりと、とにかく泥臭く行動してきました。そうやって汗を流して動いていると、必ず誰かと出会い、感謝が生まれ、自分の奥底にある本当の「思い」に気づくことができます。
人生は、ワクワクすることを想像して一歩を踏み出せば、必ず面白い方向へ転がっていきます。ぜひ、恐れずに泥臭く挑戦し続けてください。


