コロナ禍で直面した事業存続の危機と絶望
──逆境経験について教えてください。
私はもともと、太陽光パネルやLEDなどの電気設備を企業様にご提案する事業を行っていました。新型コロナウイルスが流行する前は、業界全体が「良いものだから導入しませんか」という押し出し型の営業スタイルで十分に売上が立っており、非常に調子が良い時期だったのです。
しかし、コロナ禍に突入したことで状況は一変しました。社会全体が未曾有の危機に直面し、企業様も設備投資どころではなくなってしまったのです。従来の「どんどん売り込む」というやり方は全く通用しなくなり、会社の業績も急降下しました。
先が見えない不安の中で、「もうこれ以上は無理かもしれない」「会社を畳むしかないのではないか」と、事業の存続を諦めかけるところまで追い詰められました。もしこのままダメになれば、家族ともバラバラになってしまうかもしれないという恐怖もよぎり、私にとって最もつらく、先の見えない絶望的な時期でした。

「生かされている」という気づきと営業スタイルの転換
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
どん底の中で、仲良くしていた他の経営者の方とお話しする機会がありました。互いの苦労を語り合ううちに、「苦しい思いをしているのは自分だけではないのだ」と強く実感したのです。同時に、これまでの自分の人生を振り返りました。両親、学校の先生、関わってくれた多くの方々……私は何かあるたびに、必ず誰かに助けられ、「生かされてきた」ことに気づきました。
「今まで生かされてきた自分が、何もせずに逃げ出すのは間違っているのではないか」。そう思い直した私は、まず目の前で困っている経営者の方々を助けようと決意しました。そこから私の営業スタイルは180度変わりました。自社の商品を売り込むのではなく、まずはお客様の現状や苦しい状況を徹底的にヒアリングし、深く寄り添うようになったのです。
その結果、「リバースオークション」という手法を活用し、お客様の経費負担を減らしながら設備投資を叶える新しい提案に行き着きました。苦境に立たされたからこそ、ビジネスの本質は「目の前の人を助けること」なのだと深く学ぶことができました。
手出しゼロでの設備投資を実現する仕組みと、自然を取り戻す挑戦
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在の私たちの強みは、企業様が「手出しゼロ」で新たな設備投資を行える道筋を作れることです。具体的には「リバースオークション(相見積もり)」という手法を用い、電気代やエレベーターの保守点検費など、企業様が現在定期的に支払っている固定費を複数の業者で比較・見直しを行います。そうして削減できたコストの範囲内で、太陽光パネルやLEDなどの設備投資をご提案するのです。新たなお金を持ち出す必要がないため、コロナ禍以降の厳しい経営環境の中でも、多くの企業様から大変喜ばれています。
一方で、今後の展望としては、業界に身を置く人間だからこその挑戦を考えています。昨今、自然を切り拓いて無作為に太陽光パネルを設置する光景を目にすることが増えました。私は日本の美しい自然が大好きです。だからこそ、今後は逆に「自然環境を壊しているパネルを外し、元の美しい自然を取り戻す」ような取り組みにもチャレンジしていきたいと強く思っています。

日本の美しさと「思いやり」の心を大切に
──若者へのメッセージをお願いします。
私は、デジタル技術もネットもない時代に、人との温かい関わりや優しさの中で育ちました。今の時代はAIなどのテクノロジーが発達し、非常に便利な世の中になりましたが、だからこそ「人と人との心のつながり」や、日本という国が本来持っている素晴らしい文化を忘れないでほしいと思っています。
「いただきます」と手を合わせる精神や、誰かが何も言わなくてもそっと扉を閉めるような細やかな気遣い。日本の歴史や文化を知れば知るほど、こんなにも思いやりに溢れた素敵な国はないと実感します。
若い世代の皆さんには、ぜひ日本の美しい自然や文化をもっと深く知り、誇りを持ってほしいです。そして、画面越しのつながりだけでなく、目の前にいる相手の心に寄り添い、思いやりを持った大人になっていってほしいと願っています。
