「人のために」が招いた限界と、自己犠牲の日々
──逆境経験について教えてください。
新卒で大手人材会社に入社し、意気揚々と新規開拓営業に配属されたものの、最初は全く結果が出ませんでした。幼少期から周囲の空気を読み、人間関係を円滑に進めることには自信があったにもかかわらず、「コミュニケーションが苦手だね」と指摘されたのです。負けず嫌いだった私は大きなショックを受け、コミュニケーションに関する本を何十冊も読み漁るほど深く思い悩みました。その後、現場での努力を重ねて営業成績を上げ、数百人規模のマネジメントや大手企業向けのコンサルティングも任されるようになりましたが、心のどこかに「これ以上自分のパフォーマンスが上がる世界が見えない」という漠然とした閉塞感がありました。
独立後も、新たな逆境が待ち受けていました。副業時代から始めた広告運用や資料制作などの案件が軌道に乗り、仕事はいくらでも舞い込んでくる状態にはなったのです。しかし、ただ目の前のお客様の要望に応え、自分の能力を切り売りするだけの毎日は、次第に私の心を蝕んでいきました。私は幼少期から「他人に認められたい」「大切な人に自分の存在意義を示したい」という思いが強く、無意識のうちに自己犠牲的な働き方をしてしまっていたのです。表面的には稼いでいるものの、自分自身の独自性や確固たるポジションが見えず、心には全くゆとりがありませんでした。どれだけ頑張っても状況が根本的に好転している実感はなく、ただ延命治療をしているような苦しさと将来への不安に押しつぶされそうになっていました。
自分自身を満たすことから始まる、真の他者支援
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
苦しい日々のなかで転機となったのは、自身が初めてコーチングを受けたことでした。そこで私は、自分の行動原理が「人のためになることで他者から認められたい」という自己犠牲に基づいていたことに気づかされたのです。本来、私が一番ワクワクし、パフォーマンスを高く発揮できる無意識の強みは「人の心に深く寄り添い、共に探求すること」でした。しかし、それまでの私は自分自身の本当の感情から目を背け、ただ「できること」を無理して頑張り続けていたのです。
その事実を言語化してもらった瞬間、私は憑き物が落ちたように感じました。まずは他者ではなく、自分自身を見つめ直し、自分の心を満たすことから始めなければならないと痛感したのです。自分の本当の強みを理解し、それを活かせる領域で力を発揮するようになると、疲労感は消え去り、驚くほど幸福度が高まりました。人を支援する立場に立つ人間こそ、まずは徹底的に自分自身と向き合い、時には自分を破壊して再生させるプロセスを経験しなければなりません。自分の器を広げ、自分自身を満たしているからこそ、目の前のクライアントの幸福度の上限も引き上げることができるのだと、身をもって学びました。

感情と本音を一致させ、組織の幸福度と利益を底上げする
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在は株式会社ReGoの代表として、人材開発・組織開発や営業支援のコンサルティングを行っています。企業が利益を生み出すための体質改善をサポートしていますが、私たちの最大のアプローチは「感情と本人が一致している状態を作る」ことです。組織の中では、経営層のビジョンと現場の共通認識がズレていたり、コミュニケーションの不全によって離職率が高まったりするケースが多々あります。そこに私たちが入り、一人ひとりの背景や本音を丁寧にヒアリングしながら、組織の「健康診断」を行います。
私の強みは、相手の心に深く寄り添い、本音を引き出して言語化する伴走力です。これは、私が幼少期から培ってきた他者を客観的に観察する力と、コーチングのスキルが合わさったものです。個人の本音と企業の方向性を一致させ、誰もが自分らしく、パフォーマンスを最大限に発揮できる状態を作ることで、結果として企業の利益へと直結させます。今後はこの取り組みを広げ、「日本の幸福度を世界基準にする」というビジョンを実現していきたいと考えています。経営トップから現場の社員まで、一人でも多くの人が感情と行動を一致させて活躍できる社会を創ることが、私たちの使命です。
徹底的な自己分析と他己分析で、自分との一致感を見つけよう
──若者へのメッセージをお願いします。
これからの人生で「誰についていくか」「誰に相談するか」は非常に重要です。もし誰かを選ぶなら、その人自身が深く自分と向き合い、失敗や挫折の経験を持ち、そこから得た価値観の変化を自分の言葉で語れる人を選んでください。頭で考えただけの綺麗な言葉ではなく、リアルな体感と臨場感を持った言葉を浴びることで、皆さんも必ず大きな気づきを得られるはずです。
そして、若い皆さんにぜひやってほしいのが、徹底的な「自己分析」と「他己分析」です。自分が自分をどう捉えているかを棚卸しするだけでなく、家族や友人、アルバイト先の仲間など、周囲の人から自分がどう見えているのか、客観的なフィードバックをもらってください。自分自身の思い込みと、他者からの評価の間には必ずズレがあります。そのズレに気づき、内側と外側の整合性を取っていくことで、自分が本当に納得できる「一致感」のある選択ができるようになります。まずは目の前のことに全力で取り組み、たくさん失敗してください。その実体験こそが、あなただけの強力な武器になるはずです。

