取締役から一転、キャリアと存在意義を失った日々
──逆境経験について教えてください。
私が最初の大きな壁にぶつかったのは、20代で取締役を務めていた会社での出来事でした。当時は仕事に没頭し、会社の成長と共にがむしゃらに走る毎日。しかし、妊娠を社長に報告した瞬間、状況は一変しました。これまで任されていた重要な仕事は次々と取り上げられていったのです。
急成長中のベンチャーだったため産休・育休制度もなく、自分で制度を作ろうと奔走しましたが、それも叶いませんでした。体調の変化で思うように働けなくなる中、日に日に自分の居場所がなくなっていく喪失感は、言葉にできないほど辛いものでした。
最終的に退職を決意した際、「引き継ぎは?」と尋ねる私に返ってきたのは、「別に特にないか」という一言。4年間、会社の創成期から身を粉にして働いてきた自負がありました。そのすべてが、一瞬で無価値なものに感じられました。この時、私の存在意義も、自己肯定感も、音を立てて崩れていったのです。
別れが教えてくれた、「自分の人生を生きる」ということ
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
キャリアを失った経験は、私に大きな気づきを与えてくれました。スキルや能力を磨き、会社に貢献してきたはずなのに、ライフステージの変化という一つの出来事で、あっさりとその価値は失われてしまう。この悔しさから、「どんな状況にある女性でも、やりがいを持って自己実現できる場所を作りたい」という強い想いが芽生えました。これが、今の私の活動の原点になっています。
そして、もう一つの大きな転機は、夫の死でした。闘病を支え、共にフリーランスとして歩もうとした矢先の、突然の別れ。悲しみのどん底で、私は「死んでしまったら、もう何もできない」という当たり前の事実に直面しました。この経験から、「自分の人生は、自分のために楽しまなければ意味がない」という確固たる哲学が生まれたのです。
私の原動力は、いつだって「楽しい」「やってみたい」という好奇心。辛い出来事さえも「私の人生というドラマのワンシーン」と客観的に捉えることで、乗り越える力を得ました。逆境は、私に人生で本当に大切なことを教えてくれたのだと思います。

「あり方」を整え、自分らしい輝きを取り戻すサポート
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在の主な事業は、マインドコーチングと起業家向けのコンサルティングです。特に、かつての私のように、キャリアや自信、自分らしさを見失いかけている女性のサポートに力を入れています。
私の強みは、単なるビジネスのノウハウ(やり方)をお伝えするだけではない点です。私自身の壮絶な経験を通して培われた視点で、お客様一人ひとりの心の奥にある課題に寄り添い、物事の捉え方や考え方といった「あり方」そのものを整えるお手伝いをします。
自信がなくて発信できない、周りと比べて落ち込んでしまう。そういった悩みの根源は、マインドにあります。土台である「あり方」が整えば、行動は自然と変わり、結果もおのずとついてくるのです。私の人生経験のすべてが、誰かの背中を押し、その人らしい輝きを取り戻すための力になると信じています。

夢がなくても大丈夫。人生を楽しむ人に道は拓ける
──若者へのメッセージをお願いします。
若い皆さんへ伝えたいのは、「大きな夢がなくても、大丈夫」ということです。かつての私も、明確な夢はありませんでした。ただ、目の前の「面白そう」という好奇心に従って、がむしゃらに行動してきただけです。
大切なのは、今この瞬間を楽しむこと。どんなに小さなことでもいい、自分が「楽しい」と思えることを見つけてみてください。幸せは、意外と足元に転がっているものです。自信がなくても、まず動いてみる。行動することで経験値が貯まり、それが後から自信に変わっていきます。
特に、若い女性には「戦わないで」と伝えたいです。かつての私は、男性に負けたくないと常に戦っていました。でも、戦いは自分を苦しめるだけです。優劣ではなく、お互いの違いを認め合い、対等に対話すること。それが、自分らしく、しなやかに生きていくための秘訣だと思います。人生、何があっても大丈夫。死なない限り、道は必ず拓けます。

