お金の切れ目が縁の切れ目。親友の死が変えた人生観
──逆境経験について教えてください。
私の人生の転機は、30代前半に訪れました。それ以前、20代で就職した不動産会社では、がむしゃらに働いて営業成績を上げ、若くして大金を手にしたんです。当時はそれがステータスだと勘違いし、毎晩のように飲み歩き、お金で物事を解決しようとするような人間になっていました。しかし、そんな生活は長くは続かず、お金が尽きると周りから人が離れていく「お金の切れ目が縁の切れ目」という現実を痛感しました。
そんな中で、さらに二つの大きな出来事が起こります。一つは、人間ドックで初期のがんが見つかったこと。幸いにも初期段階でしたが、腎臓を一つ摘出する大手術を経験し、「人生は一度きりだ」と強く意識させられました。そして、もう一つが、小学校からの親友の死です。当時、私自身が精神的に不安定で、彼とは少し距離ができてしまっていました。そんな中での突然の訃報は、言葉にならないほどの衝撃でした。この出来事をきっかけに、私はこれまでの人間関係や自分自身の生き方を根本から見つめ直すことになったのです。
「環境が人を作る」。流された過去から得た経営哲学
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
親友の死と自身の大病という経験を通して学んだのは、「環境が人を作る」ということです。振り返れば、私はずっと環境に流されて生きてきました。母子家庭だったことを言い訳に道を踏み外した時期も、不動産会社で稼いだお金に目がくらんだ時期も、周りの環境に染まってしまった結果です。しかし、その一方で、厳しい不動産会社で心が折れずに頑張れたのは、同じ会社で切磋琢磨し合える仲間がいたからでした。どこに身を置くかで、人は良くも悪くも変わるのだと痛感しましたね。
この学びは、現在の会社経営の根幹になっています。かつて私が在籍した会社は、利益優先で社員に還元する文化がありませんでした。だからこそ、自分の会社では社員一人ひとりに向き合い、彼らが「やりたい」と声を上げたことを全力で応援できる環境を作りたい。過去の自分が経験してきた理不尽さや後悔を、今の仲間たちには決して味わわせたくない。その想いが、私の原動力になっています。

ファクタリングからの「卒業」を目指す。業界の常識を覆す独自の強み
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの事業は、ファクタリング、つまり企業が持つ請求書を早期に資金化するサービスです。急な資金需要に対し、銀行融資よりも迅速かつ柔軟に対応できるのが特徴で、建設業や製造業、介護事業など、幅広いお客様の成長をサポートしています。オンラインで手続きが完結し、最短即日で資金調達が可能なスピード感も強みです。
しかし、私たちの最大の強みは、お客様に「ファクタリングを卒業してもらう」ことをゴールに設定している点にあります。多くのファクタリング会社が顧客を囲い込もうとするのとは真逆の発想かもしれません。私たちは、単なる資金調達で終わらせず、財務コンサルティングなどを通じてお客様のキャッシュフロー改善を一緒に考えます。最終的にはファクタリングに頼らなくても経営が回る状態になってもらうことが、私たちの喜びなんです。この「寄り添う」姿勢が信頼を生み、卒業されたお客様が次のお客様を紹介してくださる。そんな良い循環が、私たちの事業を支えています。
行動しながら考えろ。失敗こそが若者の特権
──若者へのメッセージをお願いします。
偉そうなことは言えませんが、自分の経験から伝えたいのは、「まず行動してみよう」ということです。私は昔から不器用で、泥臭くやるしかありませんでした。でも、それでいいのだと思います。頭で考えてばかりで動かないより、行動しながら考える方がずっといい。若いうちは、いくらでも失敗できます。むしろ、その失敗の経験が、後々の人生で必ず活きてきます。
もし私が若い頃に戻れるなら、バックパッカーになって世界中を旅してみたいですね。もっと広い世界を見て、色々な価値観を持つ人々と出会いたかった。昔から人付き合いが苦手で、今もまだ克服できていない部分ですが、それでも変わりたいと思って挑戦を続けています。皆さんも、今の自分に満足せず、少しでも興味があることにはどんどんチャレンジして、自分の世界を広げていってほしいです。

