コロナ禍の最前線で直面した、情報漏洩と仲間の裏切り
──逆境経験について教えてください。
良くも悪くも、これまで「逆境だ」と感じることはあまりありませんでした。しかし、コロナ禍での経験は、まさに大きな分かれ道だったと思います。当時、横浜港に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の除菌作業を、我々が請け負うことになったのです。
これはトップシークレットの案件でした。株式会社UNISonsを中心に共同事業体(JV)を組み、万全の体制で臨んだのですが、本来決して漏れるはずのない情報が、なぜか早い段階で世に出てしまったのです。その結果、「特殊清掃業者が除菌作業を行っている」というニュースが駆け巡り、私たちの会社には一日400件もの問い合わせが殺到。まさにパニック状態でした。
問題はそれだけではありませんでした。
信頼していた仲間からの裏切りでした。連日連夜、朝方までZoomで対策会議を重ね、関係各所に謝罪にも行きました。最終的には 団体を解散することになりました。

性善説では組織は守れない。痛みを伴う経験から学んだ透明性の重要さ
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
この一件から学んだ最大の教訓は、組織運営における「事務局」機能の重要性です。当時の私たちの団体には、中立的な立場で業務を管理する事務局が存在しませんでした。そのため、旗振り役だった人物に権限や情報、お金の流れが集中し、完全にブラックボックス化してしまっていたのです。誰も彼の行動を監査できなかったことが、不正を許す温床となりました。
お金が絡むと、人の心は変わってしまうことがある。性善説だけでは、組織も仲間も守れないのだと痛感しましたね。この痛みを伴う経験があったからこそ、現在私が代表理事を務めている別の業界団体では、何よりもまず透明性の高い組織づくりを徹底しています。しっかりとした事務局を置き、誰もが納得できる公平なルールのもとで運営する。あの時の過ちを繰り返さないという強い決意が、今の私の活動の原点になっています。
「困った」を解決する総合力。居住支援まで見据えた社会貢献事業
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの事業の根幹は、家財整理や特殊清掃を通じて、お客様の「困った」を解決することにあります。空き家やゴミ屋敷の片付けから、孤独死や災害現場の原状復旧まで、専門的な知見と技術で対応しています。
さらに近年では、国土交通省が主導する「居住支援法人」としての活動にも力を入れています。これは、高齢や所得、DV被害などの理由で住まいを借りにくい方々をサポートする制度です。私たちは千葉県と大分県で指定を受け、物件の紹介だけでなく、家財整理の現場で引き取ったまだ使える家具などを無償で提供する支援も行っています。
また、私が代表理事を務める一般社団法人には全国に120社以上の加盟企業がいます。このネットワークがあるからこそ、関東圏外の案件であっても、信頼できる地域の仲間と連携して迅速に対応できるのが大きな強みです。今後は、空き物件を所有するオーナー様や不動産会社様との連携をさらに深め、この居住支援事業をビジネスとしても確立させていきたいと考えています。

使命感に燃える若者たちへ。最後の片付けを担う、誇り高き仕事
──若者へのメッセージをお願いします。
最近、私たちの仕事に強い関心を持ってくれる若い世代が全国から集まってきてくれています。山形からやってきた新卒の高校生や、鹿児島から応募してくれた23歳の女性。彼らの多くは、身近な人の死をきっかけにこの仕事の存在を知り、「自分も誰かの役に立ちたい」という純粋な想いを抱いています。
この仕事は、人の死という非常にデリケートな現場に立ち会うため、決して楽なことばかりではありません。しかし、これは「世のため、人のため」「誰かがやらなければいけない仕事」だと、私は従業員に伝え続けています。ご遺族が立ち入れないような状況でも、私たちが故人の最後の時間を尊重し、心を込めて片付けを行う。それは、社会にとって不可欠な役割であり、大きな使命感と誇りを持てる仕事です。もし、あなたの中に「誰かを助けたい」という想いが少しでもあるのなら、ぜひこの世界に飛び込んできてほしいと願っています。

