収入ゼロ、嘲笑の声。落選が突きつけた残酷な現実
──逆境経験について教えてください。
私の人生で最大の逆境は、都議会議員二期目の選挙で落選したことです。それまで区議会議員、都議会議員と順調にキャリアを重ねてきましたが、いわゆる「小池旋風」の中で議席を失いました。政治家として活動してきた私にとって、それは単なる敗北以上の意味を持っていました。
議員歳費という収入はゼロになり、しかし事務所やスタッフは維持しなければならない。経済的な不安はもちろんですが、精神的に何より辛かったのは、周囲の目でした。駅頭に立てば「残念だったね」と優しい言葉をかけてくれる人もいる一方で、あからさまに大笑いされたり、心ない言葉を浴びせられたりすることもありました。
最初の1年間は、毎日泣いてばかりでしたね。人に会うのが怖くなり、すべてがマイナスにしか考えられませんでした。昼間は有権者への挨拶回り、そして夜は生活費を稼ぐために妻の実家が経営するコンビニでアルバイト。そんな日々を送りながら、「なぜ落ちたのか」「自分に何が足りなかったのか」と自問自答を繰り返していました。

「調子に乗っていた」自分との決別。人の痛みがわかるリーダーへ
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
落選してから半年ほど経った頃、ようやく自分自身と向き合う覚悟ができました。敗因を分析する中で行き着いた答えは、結局「自分に問題があった」という一点です。わかりやすく言えば、「調子に乗っていた、偉ぶっていた、勘違いしていた」。この三つに尽きました。
この気づきが、私の価値観を根底から変えました。以前の私なら「頑張れよ」という言葉に「俺はもう頑張ってるよ」と反発していたかもしれません。しかし、落選を経験したことで、その言葉の裏にある「お前ならもっとできる」「期待しているぞ」という温かい激励の気持ちを素直に受け止められるようになったのです。
何より、浪人中の私を支え続けてくれた後援会の方々、変わらず相談に乗ってくれた役所の職員の方々、そして家族の存在が、人の温かさを教えてくれました。「人は一人では生きていけない。周りの支えがあってこそ、今の自分がいる」。その当たり前の事実に、心の底から感謝できるようになりました。この4年間は、人の痛みを理解し、謙虚さを学ぶための、私にとって必要不可欠な時間だったのだと思います。
議員は「やらせてもらっている」仕事。ありがとうが循環する社会へ
──仕事の強みや魅力について、教えてください。
私は、議員という仕事は「偉い」のではなく、地域の方々に「やらせてもらっている」仕事だと考えています。様々な職業がある中で、たまたま私は皆さんの声を政治に届けるという役割を担っているに過ぎません。だからこそ、常に地域を歩き、一人ひとりの声に耳を傾け、その思いを形にすることを信条としています。
私の強みは、人と人、人と行政をつなぐ「ハブ」になれること。何か困ったことがあった時に「ほっちに相談してみよう」と思ってもらえる存在でありたい。私がすべてを解決するのではなく、適切な人や組織につなげることで、地域全体で課題を乗り越えていく。その結果として、関わったすべての人から「ありがとう」という言葉をいただけることが、この仕事最大のやりがいです。
これからの目標は、物質的な豊かさだけでなく、心が通い合う「温かい政治」を実現することです。デジタル化が進み便利になる一方で、希薄になりがちな人の心のつながりを、もう一度取り戻したい。お互いが当たり前に「ありがとう」と言い合える、そんな心豊かな社会を、ここ足立区から東京、そして日本へと広げていくことが私の夢です。

評論家になるな、挑戦者たれ。資格のいらない「政治家」という選択肢
──若者へのメッセージをお願いします。
今の若い人たちに伝えたいのは、何事も「評論家」で終わるのではなく、実際にその世界に飛び込んでみてほしいということです。私自身、かつては政治に全く興味がなく、「ろくなことをしていない」とさえ思っていました。しかし、秘書として内側から政治を見たことで、そのイメージは180度変わりました。物事の表面だけを見て批判するのは簡単ですが、中に入って初めて見える本質があります。
特に政治家は、医者や弁護士のような特別な資格が必要な職業ではありません。日本国民で、一定の年齢に達していれば、誰にでも挑戦する権利があります。これは、皆さんの日常にある「もっとこうだったらいいのに」という思いを、自分自身の手で形にできる可能性が誰にでもあるということです。
失敗を恐れる必要はありません。私も大きな失敗を経験しましたが、その経験が今の私を作っています。もし政治の世界に少しでも興味があるなら、インターンでもボランティアでも、どんな形でもいいので一歩踏み出してみてください。そこには、きっとあなたの人生を豊かにする「つながり」が待っているはずです。
