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【株式会社あどばる 中野 邦人】「ごく普通の学生」が世界基準の舞台へ。逆算のキャリア戦略と環境が人を変える理由。

2026/06/10

Profile

中野 邦人

株式会社あどばる 代表取締役社長

理系大学を卒業後、不動産デベロッパーに入社。役員直下で新規事業開発に携わり、ビジネスの現場で意思決定と実行を学ぶ。その後、外資系資産コンサルティング会社へ転職し、富裕層向けのコンサルティングで実績を重ねる。ハワイの「Trump Tower Waikiki」プロジェクトでは担当役員として参画し、1日あたりの売上高でギネス記録を樹立するなど、世界規模のビジネスを経験。
その経験を元に、2008年に株式会社あどばるを創業。不動産と金融の知見を掛け合わせた独自のビジネスモデルで、スペースシェアリング事業を展開している。
学生時代は「特別な実績もない、ごく普通の学生だった」と語る中野氏。しかし大学3年時、「このままでは社会で通用しない」という強い危機感を抱いたことをきっかけに、徹底した自己分析と業界研究を開始する。「どの環境に身を置けば最短で成長できるか」という逆算思考でキャリアを設計し、あえて厳しい環境に飛び込み続けた。その選択の積み重ねが、現在のキャリアへとつながっている。

ワンマン経営の限界と、事業存続の危機

──逆境経験について教えてください。

創業後、事業は順調に拡大し、一定の手応えを感じていました。しかし、その成長の裏で、経営者としての未熟さが露呈する大きな危機が訪れます。一度目は、M&Aで取得した複数店舗の運営元が突如経営破綻したことでした。本来であれば安定した収益を生むはずの事業が、一夜にして毎月500万円規模の赤字へと転落。事業計画は完全に崩壊しました。

当時の組織は十数名規規模で、意思決定のほとんどを自分一人で担うワンマン体制でした。

「社長が会社を引っ張らないと」という思い込みがあり、重要な判断もすべて抱え込んでいたのです。しかし、10店舗に及ぶ撤退交渉や譲渡先探しは、一人で対処できる範囲をはるかに超えていました。昼夜を問わず動き続けても状況は好転せず、精神的にも追い込まれていきました。

この経験は、「個人の能力に依存した経営」の限界を突きつけるものでした。むしろ、自分が一人で意思決定をすることがボトルネックになっていたのではないかと考えるようになり、経営のあり方そのものを見直す契機となりました。

二度目の危機は、コロナ禍による事業環境の激変です。スペースシェアリングという、人が集まることで価値を生むビジネスモデルは、社会の要請と真逆の位置に置かれました。予約が入っても直前でキャンセルされる状況が続き、売上は不安定に。補助金の対象にもならず、ビジネスモデルの根幹である家賃含めた固定費だけを支払う中で、出口の見えない状態に陥りました。まさに、事業の存在意義そのものが問われる局面でした。

仲間を信じる力と、成長を加速させる環境

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

最初の危機で大きく変わったのは、「人への向き合い方」でした。それまでの私は、経営者は誰よりも優秀であるべきだと考え、すべてを自分で抱え込んでいました。しかし限界を迎え、初めて社員に「助けてほしい」と伝えたとき、状況は大きく動き出します。

メンバーたちはそれぞれの強みを活かし、自発的に課題解決へと動きました。結果として、半年かけて危機を乗り越えることができたのです。この経験から、「任せることはリスクではなく、組織の力を最大化する手段である」と認識が変わりました。経営は個人競技ではなく、チームで戦うものだと実感した瞬間でした。

コロナ禍においては、さらに大きな意思決定を迫られます。それが、プライム上場企業であるビジョングループへの参画です。自ら創業した会社を手放すことへの葛藤はありましたが、社員と会社の未来を最優先に考えた結果の決断でした。

結果として、社員たちはより高度なノウハウや基準に触れる環境を得て、大きく成長していきました。自分一人の力では提供できなかった機会がそこにはあり、「環境が人を育てる」という事実を強く実感しました。この経験は、経営において“どこで戦うか”がいかに重要かを教えてくれました。

独自の“目利き力”と安定基盤で、空間に新たな価値を

──会社の強みや魅力について、教えてください。

当社の本質的な強みは、「空間の価値を再定義する力」にあります。単に物件を仕入れて貸し出すのではなく、その空間が持つ潜在価値を見極め、付加価値を付けて転換する。レンタルスペースとして活用するのか、飲食事業と組み合わせるのか、あるいは別の用途を見出すのか。その判断力と企画力が競争力の源泉です。

また、現在はビジョングループの一員として、強固な財務基盤とブランド力を背景に事業を展開できる点も大きな強みです。これにより、これまで以上にスピード感と安定性を両立した経営が可能になりました。ベンチャーとして培ってきた柔軟性と、大企業のリソースを掛け合わせることで、新たな成長ステージに入っています。

市場環境としても、フレキシブルオフィスやスペースシェアの需要は拡大を続けており、追い風が吹いています。この機会を活かし、業界の中で独自のポジションを確立していきたいと考えています。その上で、安定した収益を社員へ還元し、挑戦と安心が両立する組織づくりを進めていきます。

コンフォートゾーンを抜け出し、自分を成長させてくれる場所へ

──若者へのメッセージをお願いします。

私自身、大学時代までは明確な強みもなく、将来の方向性も定まっていませんでした。しかし、「どの環境に身を置くか」を意識したことで、人生は大きく変わりました。やりたいことが見つからないこと自体は問題ではありません。それよりも、自分が成長できる場所にいるかどうかが重要です。

人は環境に強く影響されます。自分よりも視座の高い人、結果を出している人たちに囲まれることで、無意識のうちに基準が引き上がります。逆に、居心地の良い環境に留まり続けると、大きな成長は起こりにくい。だからこそ、あえてコンフォートゾーンの外に出る勇気が必要です。

また、日常の中で感じる「不満」や「違和感」に目を向けてみてください。そこにはビジネスのヒントが眠っています。最終的に大きな差を生むのは、「どれだけのめり込めるか」です。好きなこと、興味を持てることに出会えたとき、人は自然と努力を続けられるようになります。

焦る必要はありません。ただし、立ち止まり続けるのではなく、小さくてもいいので一歩を踏み出すこと。その積み重ねが、やがて大きな変化を生み出します。環境を選び、挑戦し続けること。それが、自分自身の可能性を広げる最も確実な方法だと思います。

株式会社あどばる

設立 2008年7月
資本金 474,160,000円(資本準備金含)
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 スペースシェアリング事業
不動産売買事業
M&A・不動産仲介事業
サブリース事業
飲食ケータリング・デリバリー事業
URL https://adval.jp/
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