人気者からの転落。人間関係に悩み続けた思春期
──逆境経験について教えてください。
小学校時代は、自分が知らない生徒からも声をかけられるほどの人気者だと思っていました。クラスの中心にいて、自分が何か言えば周りが笑ってくれる。それが当たり前の日常でした。しかし、中学2年生のクラス替えを機に、その状況は一変します。
クラスには僕とは別の人気者がいて、自然と人の輪はそちらに集まっていく。今まで中心にいたはずの自分が、いつの間にか輪の外側にいる。文化祭などのイベントも、どこか蚊帳の外で盛り上がっているような感覚に陥り、強い挫折感を味わいました。
高校に進学してからもその感覚は続き、仲の良い友人は数人いるものの、かつてのように自分を表現できず、人間関係に悩み、心を閉ざしがちな数年間を過ごしました。
一冊の本が教えてくれた「人間関係は朝市のようなもの」という真理
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
長く続いた人間関係の悩みから解放されるきっかけをくれたのは、大学時代に友人から勧められた一冊の歴史小説でした。宮城谷昌光さんの『孟嘗君』という本です。物語の主人公は、多くの家来を抱える権力者でしたが、ある出来事で権力を失うと、たった一人を残して全ての家来が去っていきました。
その時、残った家来が言ったのです。
「人間関係とは朝市のようなもの。市場に品物がたくさんあれば人は集まるが、なくなれば去っていく。それは当然のことです」
この言葉を読んだ時、心がすっと軽くなるのを感じました。人が集まったり離れたりするのは、ごく自然なこと。自分が悪いわけでも、相手が悪いわけでもない。そう思えた瞬間、数年間胸につかえていたものが取れ、人間関係で悩むことがなくなりました。
この経験から、物事をニュートラルに捉え、「来るもの拒まず、去る者追わず」の精神で、ありのままを受け入れる大切さを学びました。
愛車と走る「自分」を撮る。ドローンが叶える、誰も見たことのない思い出
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在の主な事業は、ドローンを使った映像制作です。特に、車やバイクが好きな方に特化したサービスを展開しています。このアイデアが生まれたのは、あるシンプルな事実に気づいたからでした。
「自分の愛車を運転している姿は、自分では見ることができない」
どれだけ思い入れのある車やバイクでも、運転中の客観的な姿を見る機会はほとんどありません。そこで、ドローンを使って走行シーンを撮影し、一本の特別な映像作品として提供しています。
完成した動画を見てお客様が喜んでくれる姿が、何よりのやりがいです。結局、僕がやりたいことは昔から変わらず、「人が喜んでくれること」なんです。
今後は、自分が前に出るのではなく、映像というツールを通して誰かの活躍を支えるような、裏方の仕事にも挑戦していきたいと考えています。

失敗は「経験」という名の財産。臆病にならず、自分の物語を生きよう
──若者へのメッセージをお願いします。
若い皆さんには、失敗を恐れずに、心から「やりたい」と思ったことに挑戦してほしいです。僕自身、お笑い芸人としては芽が出ませんでしたが、舞台に立って自分を表現しようともがいた経験は、人前で物怖じせずに話す力として今の仕事に活きています。どんな経験も、決して無駄にはなりません。
若い頃は、失敗を「終わり」だと感じてしまうかもしれません。しかし、後から振り返れば、それは必ず笑い話になり、自分を強くしてくれる「経験」という財産に変わります。
何かに向かって真剣に頑張った時間は、たとえ結果が出なくても、必ずあなたの血肉となるはずです。臆病にならず、自分だけのチャレンジを続けていけば、道は必ず開けます。

