完璧主義が招いた暗黒期
──逆境経験について教えてください。
中学時代、恩師の言葉に感化され猛勉強に励んだ私は、親友の誘いもあって偏差値70を超える進学校への進学を決めました。目標を定め、逆算して努力を重ねれば道は拓ける。その成功体験は、大きな自信になりました。しかし、その自信は入学後すぐに打ち砕かれます。
入ったはいいものの、周りは自分より遥かに優秀な生徒ばかり。必死に食らいつこうと、受験が始まる遥か前から朝7時から夜8時まで学校に残り、通学中も勉強漬けの日々でした。それでも成績は一向に上がらず、学年順位は常に下から数えるほうが早いほど。いつしか、勝てない戦いに挑んでいる無力感に苛まれるようになりました。
当時の私は完璧主義の塊で、参考書も1ページ目から完璧にしないと次に進めない性格でした。結果、最初の20ページは完璧に覚えていても、後ろは真っ白という非効率な勉強を繰り返すばかり。努力が成果に結びつかない焦りと一緒に行った友人も2人退学した寂しさから、ストレスが大きく、担任に「学校を辞めるんじゃないか」と心配されるほどでした。今振り返ると、それほど追い込まれていた時期でした。でもその経験が、努力の方向性を考える大切さを教えてくれました。
挫折から得た「70%で走り切る」哲学
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
高校時代の失敗から得た最大の教訓は、「完璧主義をやめる」ことでした。100%を目指すのではなく、まずは70%の完成度でいいから素早く走り切る「クイック&ダーティー」の考え方です。この転換がなければ、今の私はありません。
大学では、高校時代の反動からか、一度レールから離れ、日夜友達やサークルのメンバーと遊んでいました。しかし、生産性のない日々に虚しさを感じ、「自分は学び続け、成長することに喜びを感じる人間なんだ」と再認識しました。そこから、自分の興味のありかを探るため、200〜300社ほどのインターンや説明会に参加しました。
膨大な数の企業と接する中で徹底的に自己分析を重ね、たどり着いたのが「特定の“何か”に興味があるわけではない。だからこそ、将来やりたいことが見つかった時に何にでもなれる状況を作っておくことが、自分の選択肢を最大化する最善の策だ」という結論でした。そのための武器として「起業経験」を得ようと学生団体を立ち上げ、採用コンサル事業を始めました。ビジネスの世界は、勉強と違って評価軸が一つではありません。自分の成果が最も発揮される領域だと確信しました。

企業の課題をピンポイントで撃ち抜く「スポットPM」という価値
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在、株式会社Makotopiaでは「スポットPM」という事業をメインに展開しています。これは、様々な経営課題を抱える中小・ベンチャー企業に対して、私たちが即席のドリームチームを形成し、企画から実行まで一気通貫でソリューションする、いわば社外の経営管理部です。
例えば、「事業の正確な利益率が把握できておらず赤字だ」という課題があれば、工数や人件費を可視化するダッシュボードを構築して原因を特定します。また、「会社を買収したいが社長が多忙で手が回らない」というご相談があれば、リサーチからディールまでを一気通貫で代行することもあります。
多くの中小企業では、課題は見えていても手を付ける人材がいません。そこで私たちは、経営者の右腕としてプロジェクト単位で入り込み、止まっている課題を一気に前進させます。
利益率の可視化、業務改善、採用、生産性向上、新規事業、M&A支援まで。必要なのは戦略家ではなく、やり切るPMだと考えています。
また、パッケージ化されたソリューションではなく、全社的な経営課題を隅々までお聞きした上で優先順位とインパクトを踏まえて一社一社の課題に合わせた完全オーダーメイドの企画と実行力が私たちの強みです。
この事業は、様々な物事を平均85点まで持っていくのが得意な私の「ゼネラリスト型」な特性を最大限に活かせる領域だと感じています。今後は、このコンサルティング事業で得た知見を活かし、採用や外注ではない形で人手を創出する「人手の小槌」のような、再現性のあるストック型事業にも注力し、さらに多くの中小企業・ベンチャーの企業価値を何倍にも高める支援をしていきたいです。
「器用貧乏」を尖らせろ。夢なき時代の生存戦略
──若者へのメッセージをお願いします。
「やりたいことが見つからない」と悩んでいる人も多いと思いますが、焦る必要は全くありません。明確な夢なんてなくてもいいんです。というよりこの激動の世界である方が珍しくなってきていると思います。
それよりも大切なのは、いつか夢が見つかった時に、すぐに一歩を踏み出せる「何にでもなれる状況」を今から準備しておくことです。
そのために必要なのは、才能ではなく「絶えず思考すること」と「圧倒的な物量」です。私自身、凡人であるという自覚があったからこそ、誰よりも行動量を担保してきました。とにかくやってみる(Do)、振り返る(Check)、改善する(Action)。このサイクルを高速で回し続ければ、必ず自分だけの武器が見つかります。
一見すると弱みに思える「器用貧乏」も、突き詰めれば「対応領域の広いスペシャリスト」という最強の武器になります。「何事も中途半端な人間だ..」と思っていましたが、今では支援させていただいた経営者から「どの角度や粒度でも相談できるからまず誰よりも先に聞いてみようと思える」と言ってもらえることも多いです。
AI時代には1人あたりのできることが確実に多くなります。でも一方で使う人の力量までしかAIのポテンシャルは引き出せません。自分のOSをアップデートし続けることで、やりたいことが見つかった時にどんな挑戦にも踏み出せる状態をつくり、是非未来の選択肢を最大化してほしいです。

