夢とキャリアが白紙に。巨大プロジェクト頓挫と50社不採用の壁
──逆境経験について教えてください。
私のビジネス観の土台を築いたのは、新卒で入社した大手ゲーム会社での経験でした。当時、巨大なエンターテイメント施設を建設する一大プロジェクトがあり、応募資格もなかったのですが「東京に戻りたい」「面白そう」という一心で手を挙げ、運良く若くして参加させてもらえることになったのです。
優秀な人々に囲まれ、大企業のプロジェクトがどう進むのか、企画や数字がどう作られていくのかを叩き込まれる日々。それは逆境というより「修行」でした。この施設が完成したら自分はこうなって…と、人生のロードマップを描いて夢中で働いていました。しかし、3年以上情熱を注いだプロジェクトは突如クローズ。描いていた夢もキャリアプランも、すべてが白紙に戻りました。
この経験がきっかけで転職を決意したものの、そこからが本当の逆境でした。リーマンショックの厳しい現実がのしかかり、1ヶ月で30社から50社に応募しても、ほとんどが不採用。「自分は社会から必要とされていないのかもしれない」。そんな不安に駆られ、精神的に追い詰められた時期でしたね。

挫折から得た「組織の設計図」。大企業とバイト経験が育んだ経営の礎
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
プロジェクトの頓挫は辛い経験でしたが、そこで得た学びは今の経営に直結しています。優秀な上司や同僚から「組織とはどう動くのか」「意思決定はどのように行われるのか」という、会社の“設計図”とも言える知識を吸収できたことは、何物にも代えがたい財産です。当時の上司に「ここには全国から優秀な人が集まっている。良いところだけを盗め」と言われた言葉は今でも心に残っています。
この経験があったからこそ、後にベンチャー企業へ移った際も、仕組みや制度が未整備な状況を目の当たりにして「会社としてあるべき姿」を冷静に考えることができました。代表就任後、社内に足りないものを一つひとつ整備していけたのも、この時の学びが土台になっています。
振り返れば、学生時代のマクドナルドでのアルバイト経験も大きかったですね。高校生でもわかるように完璧にマニュアル化された店舗運営や人材育成の仕組みに衝撃を受けました。若いうちに「仕組み」の重要性を知っておくこと。大手企業とベンチャーの両方を経験した今、その価値を強く感じています。
人と技術の力で未来を拓く。EC領域に特化したSES事業の可能性
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの事業の中心は、SES(システムエンジニアリングサービス)です。現在は大きく二つの柱で事業を展開しています。一つは、親会社とのシナジーを活かしたアパレルEC領域への人材提供です。親会社は大手アパレルブランドのECサイト制作・運用を130ブランド以上支援しており、私たちはそのカートシステムの開発やディレクションを担うことで、EC領域における専門性を高めています。
もう一つは、創業時から続く業務システム開発の人材提供です。お客様の情報システム部門に入り込んだり、SIerの開発支援を行ったりと、幅広い領域で企業のIT化をサポートしています。
私たちの強みは、こうした専門性と、リファラルやネットワーキングで築き上げてきた信頼のネットワークです。地道に足で稼ぎながら、お客様一人ひとりと向き合い、最適な人材と技術を提供することで、企業の成長に貢献しています。

「まず、やってみる」。自分の“勝てる場所”を見つけるための第一歩
──若者へのメッセージをお願いします。
「人はいつからでも、どこからでも良くなれる」。これは私が常に信じていることです。もし今、やりたいことが見つからなくても焦る必要はありません。私自身、明確な目標があったわけではなく、その時々の好奇心に従って動いてきました。
大切なのは「まずやってみること」です。私のキャリアも、未経験の飲食店立ち上げや、やったことのない総務・人事への挑戦など、トライの連続でした。やってみることで初めて、それが自分に「できるか、できないか」「好きか、嫌いか」が見えてきます。
その中で、自分の得意なこと、つまり「勝てる場所」を見極めていく。そのためにも、まずは自分の価値観を棚卸ししてみてください。何が好きか、だけでなく、どういう状態が心地よいのか。自己分析を重ねることで、自分だけの道が拓けてくるはずです。まずは一歩、踏み出してみてください。
