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【サンクルーズ株式会社 石井 晃四郎】「負けたくない」から始まった物語。非効率な体験こそが人生の財産になる理由。

2026/04/01

Profile

石井 晃四郎

サンクルーズ株式会社 代表取締役

6人兄弟の四男として、競争が当たり前の環境で育つ。常に「勝てる場所」を模索し、高校では柔道で3年間エリア優勝、大学では主将を務めたサーフィン部で全国3位と活躍する。2011年にデジタルマーケティング業界へ進み、10年近く在籍した企業では最終、トップ層を走る営業かつLINE事業責任者として活躍。2020年、コロナ禍の最中にサンクルーズ株式会社を設立し、代表取締役に就任。
学生時代の順風満帆な日々は、社会に出た瞬間、脆くも崩れ去る。初めて味わう「勝てない」現実。その逆境が、石井氏の価値観を大きく変え、現在の事業の礎を築いた。彼の物語は、変化の激しい時代を生きる若者たちに、大切なことを教えてくれる。

「できる自分」が崩れた瞬間──未経験から挑んだ社会人1年目の挫折

──逆境経験について教えてください。

学生時代は、いわば「自分の土俵」で戦い続けてきました。6人兄弟の家庭環境で培われた負けん気と客観性を武器に、高校では未経験から始めた柔道で3年間優勝し、大学ではサーフィン愛好会を率いて全国大会3位という結果を残すことができました。自分はできる人間だ、そう信じて疑いませんでした。しかし、その自信は社会人になった初日に打ち砕かれます。

2011年、東日本大震災の直後に入社したのは、デジタルマーケティングのベンチャー企業。それまでPCにすらほとんど触れてこなかった私にとって、そこは完全にアウェイな環境でした。同期が当たり前にこなす業務についていけず、タイピングもおぼつかない。今までのように自分の強みを発揮するどころか、何一つまともにできない自分に愕然としました。

「俺はこんなもんじゃない」。そう思えば思うほど、現実は厳しく、朝から終電を超えてまで働いても、全く成果が出ない日々が続きました。学生時代、常に中心にいた自分が、社会では一番下の存在で、何の裁量も権限もない。その息苦しさと、自分のできなさへの葛藤が、人生で初めての大きな挫折経験でした。

苦手と向き合い続けた3年間──継続で掴んだ成長と“やり切る力”

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

これまでの人生で避けてきた「苦手なこと」と、初めて本気で向き合った時期でした。プライドはズタズタになりましたが、同時に「このままでは終われない」という強い気持ちも芽生えました。入社時に当時の社長から言われた「3年間は、逃げない、やめない、諦めない」という言葉を胸に、とにかくがむしゃらに働き続けました。

柔道でセンスが活きたように、仕事でもすぐに結果が出るだろうという甘い考えは通用しませんでした。しかし、時間を忘れて没頭するうちに、少しずつですが、できることが増えていきました。まさに「10,000時間の法則」を地で行くように、継続することでしか見えない景色があることを知ったのです。

この経験から学んだのは、どんなに苦手なことでも、愚直にやり続ければ必ず道は拓けるということ。そして、中途半端に投げ出さず、最後までやり切る姿勢が、結果的に自分を成長させてくれるということです。この不器用ながらもひたむきに取り組んだ3年間が、その後のキャリアにおける確固たる土台となりました。

「自分のため」から「顧客のため」へ──成果と地方創生への挑戦

──会社の強みや魅力について、教えてください。

サラリーマン時代、私はある大手クライアントとの出会いを機に、「自分のため」から「お客様のため」へと視点が大きく変わりました。お客様に喜んでもらうことが、結果的に会社の、そして自分の評価につながる。その本質に気づいてからは、社内の常識にとらわれず、外部の優秀な人材も巻き込みながら、クライアントの成果を最大化することに全力を注ぎました。

そのスタイルが、現在のサンクルーズの強みになっています。お客様の課題に深く入り込み、社内外の垣根なく最適なチームを構築して、実直に成果を出す。大手広告代理店が対応しきれないような細やかな部分まで伴走することで、2倍以上の成果を出すことも珍しくありません。

そして今、私たちが力を入れているのが「地方創生」と「子育て支援」です。趣味の旅で全国を巡る中で、日本にはまだ知られていない素晴らしいモノや文化がたくさんあることを実感しました。私たちのマーケティングの力で、そうした地方の宝に光を当て、国内外に発信していきたい。また、一人の親として、子どもたちが豊かに暮らせる未来を残したいという想いも強くあります。究極の夢は、僕の会社の理念でもある「感謝と仲間」をテーマに、地方で音楽フェスを開催すること。そのために、今の事業を頑張っています。

AI時代こそ“非効率な体験”を──人との出会いと旅の重要性

──若者へのメッセージをお願いします。

これからの時代、効率的なことはAIがほとんどやってくれるようになります。だからこそ、皆さんには一見、非効率でアナログなことに時間と情熱を注いでほしいと願っています。僕にとっての宝物が「人との出会い」と「旅での経験」であるように、人間にしかできない体験にこそ、これからの価値が生まれると信じているからです。

私の父は、よく私たち兄弟をバン一台に乗せ、日本中を旅してくれました。学校を休んで皆既日食を見に連れて行ってくれたこともあります。当時決して裕福ではありませんでしたが、その時の星空の美しさや家族と過ごした時間は、何十年経った今でも色褪せない、かけがえのない財産です。

失敗談も成功談も、たくさん経験すればするほど、人間は面白くなります。自分だけのストーリーが生まれます。若いうちに、面倒なことも含めて人と関わり、様々な場所へ足を運び、たくさんの体験をしてください。その一つひとつが、あなたという人間を形成し、予測不能な未来を生き抜く力になるはずです。

サンクルーズ株式会社

設立 2020年6月5日
資本金 300万円
売上高 非公開
従業員数 4名+10名(業務委託込み) 2026年3月時
事業内容 デジタルマーケティングコンサル事業
マーケティング インハウス化支援事業
地方企業・自治体活性化支援
URL https://thankrews.jp/
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