「すべて自分が悪い」― 仕事に没頭するあまり失った、パートナーと居場所
──逆境経験について教えてください。
私が経験した最大の逆境は、パートナーとの別れです。もともと結婚願望があり、5年間お付き合いした方と結婚したのですが、そのきっかけは私が起業したことでした。応援してくれる彼と結婚生活をスタートさせたものの、独立したての私は、文字通りビジネス一色の日々。夜遅くまで交流会に参加し、家に帰ってもビジネスの話ばかり。次第に、穏やかな日常を望む彼との間に溝が生まれていきました。
価値観のズレは日に日に大きくなり、最終的に「一緒にいるのは難しい」という結論に至りました。当時の私は「素晴らしい人の人生を、私が狂わせてしまった」と自分を責め続けました。家を出る時、私はお金も荷物も、そして心の拠り所もほとんど失っていたのです。そこから約2年間、まさにどん底からの再スタートでした。冷静な判断もできないまま、ただ生きるために、がむしゃらに働き続けるしかありませんでした。
祖父の言葉「やりたくないことほど、やらなあかん」。苦手が“最強の武器”に変わった2年間
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
別れた後の2年間は、正直やりたくないことの連続でした。もともと人と関わるのが苦手だったにも関わらず、イベントを主催し、多くの人と会わなければなりませんでした。しかし、その経験が私の人生を大きく変えたのです。専門学校へ進む前に祖父から母経由で伝えられた「やりたくないことほど、やらなあかん」という言葉が、その時の私を支えてくれました。
苦手なことをやり続けた結果、不思議なことに「できない人の気持ちがわかる」ようになりました。イベントが苦手だからこそ、参加者が何に困るか先回りして考えられる。それが、いつしか私の「プロデュース力」という強みに変わっていったのです。苦手だったことが、最強の武器になりました。また、この時期に出会った現在のパートナーのおかげで心に余裕が生まれ、「学ぶ」ことの重要性にも気づきました。相手を理解するために、怖くても「聞く」ことを徹底した結果、人と本音で関われるようになり、確かな人間関係を築けるようになったのです。
「できない人の気持ちがわかる」からこそできる。2つの事業を繋ぐプロデュース力
──会社の強みや魅力について、教えてください。
当社の事業は、ケータリング事業と独立支援事業という2つの柱で成り立っています。一見すると全く違う事業に見えますが、根底には「プロデュース力」という共通点があります。これは、まさに私が逆境の中で培った「できない人の気持ちがわかる」という経験から生まれています。
ケータリングでは、ただ料理を提供するだけでなく、イベントの目的や参加者に合わせて、空間全体をプロデュースすることを強みとしています。独立支援では、会社員からフリーランスへ、そして法人化へとステップアップを目指す方々をサポートしています。私自身が5年かけて独立し、多くの失敗を経験したからこそ、つまずきやすいポイントに寄り添い、一人ひとりに合ったサポートができます。現在は東京中心ですが、今後は関西にも拠点を広げ、より多くの方の挑戦を支えていきたいと考えています。

人生は、選ばなかった選択肢の先にある。「あえて嫌な方」を選べ
──若者へのメッセージをお願いします。
もし今、人生に迷っているなら、「自分の選ばない道を行け」と伝えたいです。私たちは無意識に、自分が得意なことや安心できる道を歩みがちです。でも、そのレールの上を進んでいるだけでは、人生の幅は広がりません。目の前に二つの選択肢が現れた時、あえて自分が「嫌だな」「やりたくないな」と感じる方を選んでみてください。
もちろん、命に関わるような危険な道を選ぶ必要はありません。でも、少し勇気を出して踏み込むことで、想像もしなかった景色が見え、予期せぬ出会いが待っています。新しい選択肢を見つける方法は、人と会うことです。「最近、何か面白いことありましたか?」と聞いてみてください。そして、その人が面白いと感じる世界に、たとえ興味がなくてもついて行ってみる。その一歩が、あなたの人生を何倍も面白くしてくれるはずです。


