50歳で直面したキャリア最大の壁。「自分はダメなんだ」と自己否定に陥った日々
──逆境経験について教えてください。
49歳の時、私は初めて本気で自分の大きなゴールを設定しました。「日本一の人事マンになる」という目標を掲げ、そのために「働きがいのある会社」ランキングで日本一になろうと決意したのです。目標から逆算して生きる。そんな新しい挑戦に胸を躍らせていました。しかし、50歳を迎えてから、事態は一変します。これまで何をしても不思議とうまくいっていたのに、何を選んでも裏目に出る。自分の考え方ややり方が間違っているのではないかと、初めて自信を失いました。
社会人になって30年以上、初めての「自己否定」のフェーズでした。「自分はダメなんだ」という思いが頭をよぎり、心身ともにボロボロになっていきました。かつて働きすぎで自律神経を壊した経験がありましたが、その不調が再発し、もがき苦しむ日々。何より辛かったのは、自分の周りから、信頼していた仲間が離れていってしまったことです。これまで人を基軸にチームを作ってきた自負があっただけに、その現実は深く胸に突き刺さりました。
成功体験が招いた「勘違い」。過去の自分を壊し、新たな自分へ生まれ変わる決意
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
なぜ、こんなことになってしまったのか。ずっと考え続けた末にたどり着いた答えは、自分自身の「勘違い」でした。これまでの成功体験から、無意識のうちに「自分のやり方は正しい」と思い込んでいたのです。自分では素直で、謙虚なつもりでいましたが、周りからはそう見えていなかったのかもしれない。自分が見えていない自分、つまり「盲点の窓」に気づかされた瞬間でした。
この経験は、私にとって必要な試練だったのだと思います。このままの価値観で進んでいたら、きっとどこかで限界が来ていたでしょう。51歳になった今、私は「今までの自分を壊し、新たな自分に生まれ変わる」と決意しました。それは進化とも言えるかもしれません。これまであまり参加してこなかった交流会に顔を出すようになったのも、変化のための一歩です。過去の価値観を一度リセットし、新しい自分を再構築している、まさにその最中にいます。
ミッションは「やめられない組織づくり」。人が輝く環境こそが、会社の未来を創る
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私がオルソグループに加わったのは40歳の時です。当時、幹部が次々と辞めていく状況にあり、会長から託されたミッションは「もう人にやめられたくない組織を作ってほしい」というものでした。それは、私がずっと目指してきたことそのものでした。会社の主役は、あくまで現場で価値を提供している社員一人ひとりです。私の役割は、彼らが月曜日にワクワクしながら出社できるような、ストレスのない環境を創ること。その想いは今も変わりません。
私たちの強みは、まさにこの「人」を基軸にした組織づくりにあります。社員が幸せに、そして長く働ける環境を整えることが、結果としてお客様への最高の価値提供につながると信じています。49歳で掲げた「働きがいのある会社ランキングで日本一になる」という目標も、このミッションの延長線上にあります。挑戦の途中ではありますが、誰もが自分らしく輝ける、そんな組織を目指してこれからも歩み続けます。

選択の軸は「面白そうか」。ご縁を信じ、自分の心の声に従おう
──若者へのメッセージをお願いします。
私のキャリアは、常に「どっちが面白そうか」という軸で選択してきました。年収が300万円下がろうと、社員1000人以上の安定した組織からたった4人のベンチャーに移ろうと、心が躍る方を選んできました。未来が想像できる安定した道より、一年後どうなっているか分からない道の方が、私には魅力的に映ったのです。
若い皆さんは、やりたいことが分からず悩むこともあるかもしれません。でも、壮大な目標を立てる必要はないと思います。目標に縛られると、関係のない人や物事を切り捨ててしまい、可能性を狭めてしまうこともあるからです。それよりも、目の前の小さな「ご縁」を大切にしてください。どんな出会いも、必ず未来の何かに繋がっています。正しいか、間違っているかではありません。あなたの心が「面白そう」と感じるかどうか。その直感を信じて、一歩を踏み出してみてください。

