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採用エンゲージメントとは?メリットと向上させる具体的な実践方法

2026/02/11

採用エンゲージメントとは?向上させるメリットと具体的な実践方法を徹底解説 現代の採用市場は、かつてない大きな転換期を迎えています。少子高齢化に伴う労働人口の急激 [Read more...]

採用エンゲージメントとは?向上させるメリットと具体的な実践方法を徹底解説

現代の採用市場は、かつてない大きな転換期を迎えています。少子高齢化に伴う労働人口の急激な減少に加え、SNSや口コミサイトの普及によって企業の内部情報が可視化される「情報の透明化」が進みました。これにより、従来の求人広告を中心とした「待ち」の姿勢や、条件面のみを訴求する手法だけでは、優秀な人材を確保することが極めて困難な時代となっています。

このような背景から、今多くの企業で注目されているのが「採用エンゲージメント」という概念です。本記事では、採用力を抜本的に強化したい人事担当者や経営層の方に向けて、採用エンゲージメントの定義から向上させる具体的なメリット、そして組織全体の採用力を底上げするための実践方法まで、網羅的に詳しく解説します。

採用エンゲージメントの定義と重要性

採用におけるエンゲージメントの本質

採用エンゲージメントとは、企業と個人(候補者や従業員)が対等な立場で信頼し合い、双方が同じ目標に向かって自発的に貢献し合う「双方向のコミットメント」を指します。これは単なる雇用契約上の関係に留まりません。企業が掲げるビジョンへの共感や、組織に対する深い愛着、そして「このチームと共に成長したい」という強い当事者意識を含んだ精神的な絆を意味します。

採用活動におけるエンゲージメントは、候補者が自社を認知した瞬間から始まっています。選考プロセスを通じて候補者の期待値を高め、入社後もその期待を裏切らずに信頼関係を深め続ける一連の流れこそが、採用エンゲージメントの本質です。

「ロイヤルティ」や「満足度」との決定的な違い

エンゲージメントと混同されやすい概念に「従業員ロイヤルティ」や「従業員満足度」がありますが、これらは性質が大きく異なります。

  • 従業員ロイヤルティ(忠誠心):かつての主従関係に近い考え方であり、個人が組織に対して「尽くす」という一方的なニュアンスを含みます。これに対し、エンゲージメントは双方向の対等なパートナーシップが基盤です。
  • 従業員満足度:主に給与、福利厚生、職場環境といった「待遇面」に対する居心地の良さを指します。満足度が高いからといって、必ずしも業績向上に貢献する意欲(エンゲージメント)が高いとは限りません。

対照的に、エンゲージメントは「仕事のやりがい」や「パーパス(存在意義)への共感」を重視します。待遇の改善だけで得られる満足とは異なり、個人の自己実現と企業の成長がリンクしている状態を指すのが特徴です。

なぜ今、採用活動にエンゲージメントが不可欠なのか

今日、企業が「選ばれる立場」へと逆転したことが最大の要因です。候補者はOpenWorkやnoteなどのプラットフォームを通じて、現役社員のリアルな声を容易に収集できます。建前だけの採用広報はすぐに見透かされ、かえって信頼を損なうリスクを孕んでいます。

また、世界的な調査機関である米ギャラップ社の報告によれば、日本企業のエンゲージメント率は世界的に見て極めて低い水準にあることが指摘されています。

Gallup, State of the Global Workplace: 2023 Report
“Japan has one of the lowest levels of employee engagement in the world.”
(日本は従業員エンゲージメントのレベルが世界で最も低い国の一つである。)

このような厳しい状況下だからこそ、エンゲージメント向上に注力することは、競合他社に対する強力な差別化要因となります。選考段階から高い信頼関係を築くことで、入社後の早期離職を防ぎ、人的資本の価値を最大化させることが可能になるのです。

エンゲージメント向上で得られる4つの採用メリット

採用エンゲージメントを高めることは、単に「仲の良い組織」を作ることではありません。具体的な採用指標において、以下のような顕著なメリットをもたらします。

マッチした人材の獲得と定着率(リテンション)の向上

エンゲージメントを重視した採用では、スキルセットだけでなく「カルチャーフィット(文化適合性)」が最優先されます。企業の価値観と個人の価値観が合致しているかを丁寧に擦り合わせるため、入社後の「思っていたのと違う」というリアリティ・ショックを最小限に抑えられます。

自社に強い愛着を持つ人材は、困難な状況下でも組織のために主体的に動く傾向があります。結果として離職率が大幅に低下し、採用コストをかけて獲得した人材が長期的に活躍し続ける「リテンションの強化」に繋がります。

リファラル採用の活性化とコスト削減

リファラル採用とは、自社の従業員に知人や友人を紹介してもらう手法です。エンゲージメントが高い従業員は、自社を「大切な友人に勧めたい職場」として自信を持って推奨します。

この仕組みが機能すると、質の高い母集団形成が可能になり、求人広告費や人材紹介会社への高額な手数料を削減できるといったサイクルが生まれます。社員が自ら「最高の仲間を集めたい」と願う状態こそが、最強の採用チャネルとなります。

採用ブランディング強化による潜在層の獲得

従業員が生き生きと働く姿は、いかなる美辞麗句よりも強力なブランディング効果を発揮します。エンゲージメントの高い社員がSNSやブログで発信する「仕事の醍醐味」には、真実味と熱量が宿り、それが潜在的な候補者の心に響きます。

すぐに転職を考えていない「潜在層」に対しても、日頃から魅力的な情報を届けておくことで、将来的な転職候補リストに自社を加えてもらうことが可能です。あわせて採用ブランディングの戦略を練ることで、より効果的にファンを増やしていくことができます。

選考プロセスでの内定承諾率の改善

内定承諾の最後の決め手は、条件面だけではなく「この人たちと一緒に働きたい」という直感的な信頼感であることが多々あります。候補者エンゲージメント(CX:候補者体験)を高める選考を行うことで、内定承諾率は劇的に向上します。

特に複数の企業から内定を得ている優秀層ほど、自分を一人の人間として尊重し、誠実向き合ってくれた企業を選びます。選考期間中、どれだけ候補者のキャリア観に寄り添い、精神的な繋がりを感じさせられるかが、内定辞退を防ぐ最大のポイントと言えます。

既存社員のエンゲージメントを高めて採用力を底上げする施策

採用力を抜本的に高めるには、外部向けのプロモーション以前に「内部のエンゲージメント」を盤石にする必要があります。

企業理念・バリューの再定義と浸透

エンゲージメントの核となるのは、企業が掲げる「パーパス(存在意義)」や「ビジョン」です。社員が「なぜこの会社で働くのか」という意義を明確に理解し、腹落ちしていることが不可欠です。

まずは経営層が自社のアイデンティティを言語化し、一貫したメッセージとして発信し続ける必要があります。トップダウンの押し付けではなく、ワークショップなどを通じて「自分の仕事がどう社会やビジョンに貢献しているか」を個人レベルで紐付けるプロセスが重要です。

採用広報での「社員の生の声」と「情報の透明性」

情報の非対称性が解消された現代では、情報の透明性を確保することが信頼構築の最短距離です。オウンドメディアやSNSを活用し、現場社員のリアルなエピソードを積極的に発信しましょう。

  • note / Wantedly:社員インタビューや、組織の課題をどう乗り越えたかのストーリー。
  • X (旧Twitter):日々の職場の雰囲気や、社員のパーソナリティの可視化。

成功体験だけでなく、あえて「現在の課題」や「泥臭い苦労」も開示してください。不都合な情報を隠さない誠実な姿勢が、結果として質の高いマッチングを誘発します。

全社を巻き込む「スクラム採用」体制の構築

採用を人事部門だけのタスクにせず、全社員が主体的に関わる「スクラム採用」を導入することも有効です。現場社員がカジュアル面談やスカウト活動に加わることで、候補者は「入社後に一緒に働くメンバー」から直接情報を得られるようになります。

全員が当事者意識を持って「最高のチームを作ろう」と動く組織は、外部から見て圧倒的に魅力的に映ります。協力した社員を正当に評価する仕組みを整えることも忘れてはなりません。

結論

採用エンゲージメントの向上は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。しかし、企業と個人が対等なパートナーとして信頼を深めるプロセスを重視することは、少子高齢化社会における採用活動の「勝ち筋」であることは間違いありません。

既存社員のエンゲージメントを高め、その熱量を候補者へと伝播させていく。この循環を作ることが、ミスマッチの防止、コストの削減、そして何より「持続可能な組織成長」を実現するための唯一の道と言えるでしょう。まずは自社のビジョンを再確認し、現場の「生の声」を届けることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献・出典

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