MiraError(ミラエラ)

【AthReebo(アスリーボ)株式会社 金沢 景敏】名刺を投げつけられた日々の先に──“かっこいいか?”を貫く仕事哲学。

2026/02/04

Profile

金沢 景敏

AthReebo(アスリーボ)株式会社 代表取締役

京都大学アメリカンフットボール部で活躍後、大手テレビ局に入社。世界陸上やオリンピック中継、格闘技中継などのディレクターを経験した後、編成としてスポーツを担当。その後、生命保険会社へ転職し、入社1年目で営業社員約3200人の頂点に立つ。3年目には、生命保険営業のトップ0.01%しか認定されない「Top of the Table(TOT)」の基準を達成。最終的にはその4倍の成績を叩き出し、伝説的な記録を残す。2020年、その地位をすべて手放し、アスリートの生涯価値の最大化を目指すAthReebo株式会社を設立。
輝かしい経歴をひた走ってきたかのように見える金沢氏。なぜ彼は、安定を捨ててまで新たな挑戦に踏み出したのか。その根底に流れる、ゆるぎない“美学”と哲学に迫る。

大手企業から転職、待ち受けていたのは「名刺を投げつけられる」日々

──逆境経験について教えてください。

大手テレビ局時代は、名刺を出せば誰もが丁寧に応対してくれる、いわば「会社の看板」に守られた世界でした。しかし、完全歩合制の保険業界に飛び込んだ瞬間、世界は一変します。新入社員に名刺を投げつけられたり、アポイントの目的を詰問されたり。親しいと思っていた友人や後輩からさえ、電話に出てもらえず、街で見かけても避けられる。そんな日々が続きました。

かつての勤務地付近では「スーツを着て、大きなカバンを持って歩いている姿を知人に見られたくない」。それぐらい大手という看板を失った自分が、いかに無力であるかを痛感し、自己肯定感は下がる一方でした。特に辛かったのは、これまで共に笑い、食事をしてきた仲間たちが、僕が保険の営業になった途端、手のひらを返したように離れていったことです。約束の場所に行っても相手は現れず、連絡もつかなくなる。そんな経験が毎日のようにあり、最初の半年間は本当にもがき苦しみました。

号泣の末に掴んだ「すべての原因は自分にある」という真理

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

どん底の日々を送る中、上司に勧められた一冊の本が『鏡の法則』でした。駅のホームで夢中になって読み進めるうち、涙が止まらなくなりました。そこに書かれていたのは、自分の身に起こる出来事は、すべて自分の内面を映す鏡だということ。振り返れば、僕自身がテレビ局勤務時代、営業に来る人々に対して横柄な態度をとったり、約束を軽んじたりしていたのです。「今、自分が受けている仕打ちは、過去の自分の行いが返ってきただけなんだ」。そう気づいた瞬間、号泣していました。

この経験から、「原因はすべて自分にある」という考え方が深く刻まれました。他人のせいにするのをやめ、自分の弱さや未熟さを認める。トップアスリートたちも、決して常に自信満々なわけではなく、恐怖や弱さと向き合い、自問自答を繰り返して高みを目指していることを知りました。そしてもう一つ、僕の軸となっているのが、幼い頃から母に問われ続けた「あんた、それかっこいいの?」という言葉です。自分の行動が、自分の美学に照らして「かっこいいか、どうか」。それが、すべての決断の基準になっています。

アスリートの価値を最大化する。「新たな循環」を生み出す挑戦

──会社の強みや魅力について、教えてください。

私たちの事業の根幹には、テレビ局時代に見たアスリートたちの現実があります。金メダルを獲っても年収が低かったり、引退後にその価値を活かせず苦しんだりする姿を目の当たりにし、日本のスポーツ界が抱える課題を痛感しました。欧米ではスポーツは巨大なビジネスですが、日本では「体育教育」の域を出ず、お金と結びつくことに否定的な風潮すらあります。

そこで立ち上げたのが、引退したレジェンドアスリートと企業、そして未来のアスリートを繋ぐ『AthTAG』というプロジェクトです。企業にはレジェンドアスリートの肖像権などを活用してもらい、その収益の一部を、今まさに世界を目指す若手アスリートの活動資金として届ける「新たな循環」を創り出しています。さらに、トップアスリートの思考を体系化した「アスリート思考メソッド」という研修プログラムも開発しました。これは、ビジネスパーソンが成果を出すための思考法を学ぶだけでなく、将来的には引退したアスリート自身が講師となり、新たなキャリアを築くための道筋にもなります。僕が保険会社時代に築いた経営者のネットワークも、この事業を加速させる独自の強みです。

「なりたくない自分」から始めよ。夢がなくても道は拓ける

──若者へのメッセージをお願いします。

「将来の夢や目標が見つからない」と悩む必要は全くありません。僕自身、新卒の時に明確な目標があったわけではないからです。大切なのは、まず目の前のことに一生懸命取り組むこと。豊臣秀吉が織田信長の草履を懐で温めるという仕事に心を込めたからこそ、織田信長が引き上げ天下人への道が拓けたように、どんな仕事でも真摯に向き合えば、必ず誰かが見ていて引き上げてくれます。

もし、どうしても一歩が踏み出せないなら、「なりたい自分」ではなく「なりたくない自分」を想像してみてください。「言い訳ばかりしている自分」「後悔している自分」…そんなカッコ悪い自分を想像すると、「絶対に嫌だ!」という強いエネルギーが湧いてきませんか?それが、最初の一歩を踏み出すための強力な原動力になります。動き出してしまえば、あとは慣性の法則でどんどん加速していく。与えられた環境で、上司や会社の決断を「どうすれば正解にできるか」を考え抜いて行動する。その積み重ねが、あなた自身の未来を創っていくはずです。

AthReebo(アスリーボ)株式会社

設立 2020年11月14日
資本金 888万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 AthTAG
GENKIDAMA AWARD
経営者交流会
飲食事業
営業研修
URL https://athreebo.jp/ https://x.com/akitoshi_0614 https://www.instagram.com/athtag_official/?hl=ja
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう