マニュアルが壁になる「逆境」を超えて。既存システムが救えなかった子に光を当てる使命
──これまでの歩みの中で、どのような逆境に直面し、現在の事業に辿り着いたのでしょうか。
私の原点は、学生時代に奔走した家庭教師としての経験にあります。当時から「どうすれば目の前の子どものやる気を引き出せるか」という視点から、泥臭く現場で試行錯誤を続けました。就職活動では13社から内定をいただきましたが、最終的に教育の道を選んだのは、関わり方一つで子どもの人生が劇的に変わる瞬間に、何物にも代えがたい価値を感じたからです。
しかし、期待を胸に入社した大手教育会社で、私は最初の「逆境」に直面します。それは、組織の壁でした。大手には優れたノウハウがある一方で、画一的なルールやマニュアルが絶対視されます。一人ひとりの生徒に対する個別性や柔軟なアプローチよりも、組織としての効率が優先されてしまう。目の前の生徒のためにやりたいことがあっても、マニュアルがそれを阻む。救いたい生徒を救えないという、教育者としての理想と組織の論理の板挟みは、非常に苦しいものでした。
そのもどかしさを解消するため、同じ志を持つ友人と独立し、学習塾を設立しました。そこでは私の理想とする「徹底的な分析とアプローチ」を実践。どうすれば成績が上がるか、どうすれば自ら学ぶ意欲を喚起できるか。そのメソッドを言語化・体系化し、徹底したことで、塾は1年先まで予約待ちが出るほどの成功を収めました。
ところが、その成功の裏で、私は「次なる逆境」、すなわち既存の通塾型教育システムの限界に突き当たります。塾が繁盛すればするほど、通塾できる生徒にしかアプローチできない事実や、経験の浅い学生講師では到底太刀打ちできない特性(ギフテッド・発達障害など)を持つ子への支援不足が浮き彫りになったのです。
「システムが整うほど、そこからこぼれ落ちてしまう子どもたちがいる」。この事実に背を向けることはできませんでした。成功した塾のモデルに安住するのではなく、より解像度の高い、プロフェッショナルな支援に特化した「プロ家庭教師メガジュン」を立ち上げる。それは私にとって、教育の本質を追究するための必然的な挑戦でした。
主語は常に「生徒」。圧倒的な解像度で応える完全オーダーメイドの支援
──会社の強みや魅力について、教えてください。
最も大切にしているのは、「主語をどこに置くか」という姿勢です。 多くの教育現場では、どうしても主語が「会社」や「カリキュラム」になりがちです。あらかじめ用意された「型」があり、そこに生徒を当てはめようとする。しかし、ギフテッドや発達障害といった特性を持つお子さまにとって、既定の枠に当てはめることは大きな苦痛となり得ます。
私たちは、主語を常に「生徒」と、その一番の理解者である「保護者」に置きます。 そのために不可欠なのが、圧倒的な専門性とノウハウです。私はこれまでの指導経験から、お子さまのつまずきの原因を「89項目」に体系化した独自の分析指標、通称『虎の巻』を作成しました。
例えば「集中力が続かない」という一つの課題に対しても、「視覚情報のノイズが多いのか」「指示の内容が曖昧なのか」「情緒的な不安が先行しているのか」など、原因を多角的に分析します。この解像度の高い分析があって初めて、その子にとって最適なアプローチが見えてきます。
この質を極限まで高めるため、私たちはあえて受講生を「限定50名」に絞っています。一人の講師が深く、丁寧に、そして粘り強く関わる。それは、誰にでも当てはまるマニュアルを配ることではなく、その子だけの「学びの地図」を一緒に描くような作業です。現在は対面授業に加えてオンラインも活用し、専門的な支援が届きにくい地方や、情報が不足しがちな海外在住のご家庭からも、多くのお問い合わせをいただいています。
誰よりもその子の可能性を信じ抜くことがプロ講師の条件
──講師の採用や育成において重視していることは何ですか?
教科指導のスペシャリストであることは大前提です。その上で、発達障害やギフテッド、不登校への深い専門理解はサービスの根幹であるため、採用においても非常に重視しています。
しかしながら、知識や手法以上に私たちが講師に求めているのは、「その子の可能性を、誰よりも信じ抜けるか」というマインドセットです。
特性のあるお子さまとの関わりは、決して右肩上がりの成功ばかりではありません。試行錯誤の連続であり、昨日できたことが今日できないこともあります。そんなとき、すぐに諦めたり、自分のやり方を押し付けたりするのではなく、生徒を主語にして「なぜだろう」「次はこうしてみよう」と粘り強く考え続けられるか。
「やっぱり、メガジュンの先生にお願いしてよかった」 保護者の方にそう感じていただけるのは、講師たちが単に知識を教えているからではありません。その子の可能性を誰よりも信じ、伴走し続ける「覚悟」を持っているからです。求めるものが多い分、現場で得られる手応えや喜びは、他の教育現場では味わえないほど格別なものになります。

自己理解を深め、最も「気持ちが乗る」領域で挑戦し続けよう
──若い世代へのメッセージをお願いします。
私は現在、キャリア支援会社の役員も務めており、多くの企業の採用支援や若者の就職活動にも携わっています。その経験から確信を持って言えるのは、「自己理解を深めることこそが、最強の生存戦略である」ということです。
大きな決断をした時、あるいは感情が激しく揺れ動いた時。それは自分を深く知る絶好のチャンスです。なぜ自分はこの仕事にワクワクするのか、なぜこの環境では苦しいのか。それを徹底的に言語化してみてください。
とはいえ、一人で自己分析するのはなかなか難しいものです。そんな時はプロの力を借りてもいい。大切なのは、自分が最も「気持ちが乗る」領域を見つけ出すことです。
自分が前向きに、夢中になれる仕事で得た経験やノウハウは、一生あなたを助けてくれる武器になります。若いうちに自分自身への解像度を高め、最も輝ける場所で挑戦を続けていただきたいと思います。

