コロナ禍での船出。すべてを失いかけた時、仲間と踏み出した新たな一歩
──逆境経験について教えてください。
大手英語学童の教室長としてキャリアを積んでいた頃、私はそのサービスが都心部に集中し、高価格帯であることに課題を感じていました。「これだけ良いサービスなのだから、もっと多くの地域の子どもたちに届けたい」。そんな想いが日に日に強くなっていきました。そんな中、世界を襲ったのがコロナウイルスのパンデミックです。運営はままならず、さらに追い打ちをかけるように、職場では大きな不祥事が発生。精神的にかなり追い込まれました。コネも、お金も、信頼もない。子どもは3人いる。普通に考えれば、独立なんて無謀な挑戦だったかもしれません。しかし、その絶望的な状況こそが、私の背中を押す最大の力になったのです。「もう自分でやるしかない」。同じ志を持っていた元部下の土田さんと共に、理想の教育を実現するため、地元である神奈川県央地域での起業を決意しました。
「仲間」への想いが原動力。たった2人の生徒から始まった信頼の輪
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
開校当初、生徒はたったの2人でした。広い教室にポツンといる子どもを見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになったこともあります。しかし、不思議と不安はありませんでした。私には「この事業は絶対に社会のためになる」という確信と、共に汗を流してくれる最高の仲間がいたからです。学生時代、ラグビーに打ち込んでいた頃から、私にとって一番大切なのは常に「仲間」でした。どんなに弱いチームでも、この仲間たちとプレイするのが楽しい。その想いは、会社経営においても全く変わりません。国籍や年齢、得意なことや苦手なことが違う多様なスタッフが、それぞれの強みを活かして輝ける場所を作りたい。その想いを「共に生きる会社」という理念に込めました。地道にイベントを続け、サービスの価値を伝え続ける中で、口コミで少しずつ生徒が増えていきました。逆境の時こそ、信じられる仲間がいること、そして自分たちのサービスの価値を信じ抜くこと。その大切さを、この創業期に改めて学びました。

「なければ作る」の精神で、地域に質の高い教育を届ける
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの強みは、単なる「英語が学べる学童」ではない点です。英語はもちろんのこと、Jリーグを目指すレベルのコーチが指導するサッカースクールや、本格的なダンススクールなど、質の高い習い事をワンストップで提供しています。さらに、小学校へのお迎えから自宅への送り届けまでをカバーすることで、共働きで忙しい保護者の方々を徹底的にサポートしています。大手が進出しないような地域にこそ、子どもたちが多様な学びに触れられる機会を提供したい。その想いが事業の核となっています。最近、サッカースクールのコートが突然使えなくなるという新たな壁にぶつかりました。しかし、私たちは「なければ、自分たちで作ればいい」と考え、自社でフットサルコートの建設を始めています。困難な状況は、新しい価値を生み出すチャンスでもあるのです。

自分の価値を信じて。困った時こそ、動くときだ
──若者へのメッセージをお願いします。
もし今、何か困難な状況にいたり、壁にぶつかっていたりするなら、それは最高のチャンスだと伝えたいです。困っている人がいる、満たされていないことがある、そこにこそビジネスの種や成長のきっかけが眠っています。私自身、コートが使えなくなった時、「同じように困っているチームに安く貸せばいいじゃないか」と、すぐに新しい事業の可能性を見出しました。そしてもう一つ、自分の価値を自分で過小評価しないでください。「自分にはとんでもない価値があるんだ」と、少し過大評価するくらいで丁度いい。今はまだ自分の得意なことや好きなことが分からなくても、必ずあなたが輝ける場所はあります。いろんなことに挑戦して、たくさんの価値観に触れる中で、ぜひ自分の可能性を見つけていってほしいと願っています。

