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【ヒトイル株式会社 河口 正巳】「人生、楽しんでるか?」父との最後の会話、母と見た最期の桜が教えてくれた、”当たり前ではない今日”を全力で生きる意味。

2025/12/16

Profile

河口 正巳

ヒトイル株式会社 代表取締役

学生時代からサッカー部のキャプテンや応援団長を務めるなど、生粋のリーダー気質。大学在学中には、大学を休学してカフェ事業を立ち上げ、6店舗まで拡大させる。卒業後は人材業界、建築業界で経験を積み、フリーランスとして独立。その後、親会社の「100社構想」の一翼を担う形でヒトイル株式会社を設立。経営者インタビューメディア「ミラエラ」を軸に、企業と企業、企業と若者をつなぐコミュニティ事業を展開している。
大学時代にカフェを起業し、多彩な業界でキャリアを築いてきた河口氏。そのエネルギッシュな行動力の源泉には、人生の価値観を根底から変えた、若き日の「二つの大きな別れ」があった。何気ない日常の尊さ、そして人生を懸けてでも「楽しむ」ことの意味。彼の心を支え続ける、両親から受け継いだ想いとは。

父との最後の会話、母と見た最後の桜

──逆境経験について教えてください。

僕の価値観を大きく変えたのは、23歳と36歳のときに経験した両親との別れです。

23歳の頃、大学を休学して仲間とカフェの経営に没頭していました。多くの経営者と会い、世界が広がっていく中で、当時お酒が原因で体調を崩しがちだった父が、どこか小さく見えてしまったんです。ある日、実家でテレビを見ていた父の背中に、僕はふと「人生、楽しい?」と問いかけてしまいました。父は「全然楽しくないわ」とだけ呟きました。その言葉に少し苛立った僕は、何も言わずに家を飛び出したんです。

それが、父との最後の会話になりました。

数日後、父が倒れたと連絡がありましたが、「いつものことだろう」とすぐには駆けつけませんでした。しかし、先輩に促されて病院に着いたとき、父はすでに息を引き取っていました。頭の中では、あの日の「人生、楽しい?」「楽しくないわ」というやりとりだけが、何度も何度も繰り返される。なぜあんな言葉を投げつけてしまったのか、後悔だけが募りました。

それから13年後、今度は母との別れが訪れます。父の死後、女手ひとつで私たち3人兄弟を育ててくれた母。朝も夜も働き詰めで、自分のことは後回し。僕たちがいつでも帰ってこられるようにと、広い家に無理して住み続けてくれていました。そんな母が末期がんであると知らされたのは、亡くなるわずか2週間前のことでした。

いよいよという日、病院の方の計らいで、家族みんなで病院の中庭に咲く桜を見に行きました。ベッドに乗った母と見上げる桜。「これが、お母さんと見る最後の桜になるかもしれない」。そう思った瞬間、当たり前のことなんて何一つないんだと、心の底から痛感しました。その翌日、母は静かに旅立ちました。

後悔を「糧」に変えて。両親が教えてくれた、人生で本当に大切なこと

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

父との出来事は、僕に「人生、楽しんでるか?」と常に自問自答するきっかけを与えてくれました。父に投げかけてしまった後悔の言葉は、今、自分自身を鼓舞する言葉になっています。辛い時、苦しい時、僕は自分に問いかけます。「今、自分は胸を張って『人生が楽しい』と言えるか?」と。後になって、父が僕の経営するカフェにこっそり足を運び、「ああいうことを俺もやりたかった」と母に話していたことを知りました。もっと仕事の話をすればよかった。その後悔は、今では「父の分まで人生を楽しみ、自分の道を生き抜く」という糧になっています。

そして母は、その生き様を通して「当たり前のことなんてない」という真実と、どんな時も笑顔でいること、目の前の人を大切にする「真の強さ」を教えてくれました。

振り返れば、僕が今やっているコミュニティ事業の原点は、両親にあります。友達を家に集めては、手料理を振る舞い、みんなが楽しめる「場」を作るのが好きだった父。その輪の中心で、いつも笑顔でみんなを支えていた母。二人が僕に示してくれた価値観が、今の僕の仕事の根幹を成しているんです。この両親がいてこそ、今の僕がある。心からそう感じています。

企業と企業、企業と若者をつなぐ。「ミラエラ」が描く未来のカタチ

私たちの事業の中核は、全国350社以上の経営者様にご登場いただいているインタビューメディア「ミラエラ」です。このメディアを軸として、経営者同士のコミュニティを形成しているのが最大の強みです。僕自身が長年「暖かい場所創り」をやってきた経験を活かし、価値ある出会いの場を創造しています。

そして今、特に力を入れているのが「企業と若者をつなぐ」取り組みです。日本の新卒の3年以内離職率は、今も昔も30%で変わっていません。これは、多くの学生が就職活動の時期になって初めて、焦って自己分析や業界研究を始めることに一因があると考えています。

だからこそ、「ミラエラ」を通して、中学生や高校生といったもっと早い段階から、多様な業種・業界の経営者の考えに触れる機会を提供したい。自分の将来やキャリアの選択肢を広げるきっかけにしてほしいのです。若者が本当にやりたいことを見つけ、企業とのミスマッチをなくしていく。それが、私たちが「ミラエラ」で描きたい未来です。

立ち止まる勇気と、大切な人へ想いを伝えること

──若者へのメッセージをお願いします。

皆さんにお伝えしたいことは二つあります。

一つは、「立ち止まる時間を作り、たくさんの大人と話してみてほしい」ということです。普通の学生は、小学校・中学校・高校・大学・就活と、まるでエスカレーターのように次のステージへ進んでいくと思います。

でも僕は、その途中で何度も立ち止まりました。
大学受験には失敗し、進路を見つめ直す“間”が生まれました。

その時に気づきました。選択肢は、思っているよりずっと多いんだということ。

そして就活生なら社会人1、2年目の先輩、起業したいなら若手経営者。少し先を歩いている人の話を聞くことで、見える世界は大きく変わります。僕自身、大学時代に休学という「立ち止まる」時間があったからこそ、多様な価値観に触れ、自分の道を見つけることができました。

もう一つは、「家族を大切にしてほしい」ということです。「親孝行したい時には親はなし」ということわざがありますが、本当にその通りです。僕自身の後悔の経験からも、会えるうちに会い、感謝の気持ちを伝えておくことを強く勧めます。照れくさい気持ちはわかりますが、騙されたと思って行動してみてください。きっと、後悔はしないはずです。皆さんの人生が、豊かなものになることを心から願っています。

ヒトイル株式会社

設立 2023年9月7日
資本金 500万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 経営者インタビューメディア運営、採用ブランディング事業、経営者コミュニティ事業
URL https://hitoiru.co.jp/ https://miraerror.jp/ https://note.com/tasty_spirea7880/n/n6c0cd11bb23a?sub_rt=share_sb
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