結果だけでは通用しない世界で知った、痛烈な気づき
──逆境経験について教えてください。
これまで営業として、常に目標を達成してきました。正直、自分は「できる」と自信を持っていましたし、結果を出すことが全てだと信じていました。しかし、その価値観が根底から覆されたのが、経営コンサルティング会社に転職したときです。そこは、個人の特殊能力ではなく、徹底された「仕組み」でクライアントに価値を提供する会社でした。
私自身はクライアントからの継続率も高く、成果を出している自負がありました。しかし、上司から指摘されたのは、私の仕事の進め方そのものでした。「お前は色々なことに手を出すが、一つ一つをやり切っていない。お前が散らかしたタスクを、周りのメンバーが拾ってくれていることに気づいているか」。そう言われた時、頭を殴られたような衝撃を受けました。
タスク管理やセルフマネジメントといった、これまで「誰でもできるだろう」とある種、見下していた仕事が、自分は全くできていなかった。その事実を突きつけられたのです。結果は出ているのに、プロセスを厳しく問われる。その環境は窮屈で、毎日が葛藤の連続でした。

自己流を捨てて見えた、成果を生む正しいフォーム
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
悔しかったですね。自分がバカにしていた仕事ができないという事実が、何よりも許せなかった。負けず嫌いな性格もあって、「できるようになってやろう」と、まずは言われたことを愚直にやり続けることから始めました。
この経験から学んだのは、「全ての仕事には基本の“型”がある」ということです。それはまるでゴルフのスイングのようなもの。自己流で振り回すのではなく、まずは正しいフォームを体に染み込ませる。その上で自分の個性を加えていくからこそ、より大きな成果が出せるのだと知りました。ルールを守る、手順を守る、期日を守る、そして一つの仕事を最後までやり切る。当たり前だけれども、この基本動作の繰り返しこそが、大きなプロジェクトを動かす土台になるのだと痛感しました。
そしてもう一つ、自分の考えを「言語化」することの重要性にも気づかされました。それまでの私は感覚で仕事を進めるタイプでしたが、仕組み化された環境では、自分の思考を言葉にして整理し、相手に伝えなければ仕事が進まない。この経験が、今の事業の根幹にも繋がっています。
リーダーのビジョンを実現する“二番手”としての使命
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの事業は、単なる採用代行(RPO)ではありません。採用とは「会社の心臓」である、という信念のもと、企業の未来そのものを創るための採用変革を支援しています。どんなに素晴らしい事業計画や評価制度があっても、それを動かすのは「人」です。正しい採用ができて初めて、会社は本当に変わることができる。私たちは、その最も重要な部分を担っています。
社名の「3BoU(さんぼう)」は、文字通り「参謀」から来ています。私自身、トップに立つよりも、ビジョンを掲げるリーダーを支え、その未来を実現するための戦略を練り、実行していく参謀であることに自分の強みを感じています。会社という存在を社長に見立て、私たちはそのビジョンを実現するための二番手として、経営に深くコミットしていく。それが私たちのスタンスです。関わる人たちが心から仕事を楽しめる、そんな未来をクライアントと共に創り上げていきたいと考えています。

成長と休息のリズムが、あなたの軸を強くする
──若者へのメッセージをお願いします。
成長には、筋トレの“最後の1回”のように痛みが伴うことがあります。しかしその痛みは、弱さではなく「限界を超えた証」です。そして本当に大切なのは、追い込むことだけでなく、しっかり休むこと。休むからこそ力が回復し、次の一歩を踏み出せます。
人生も同じで、挑戦する時期があっていいし、休む時間も同じくらい大切です。休憩の形は人それぞれ。趣味に没頭する日も、家でゆっくり過ごす日も、すべて心と体を整える大切なプロセスです。
“頑張り続けること”だけが正解ではありません。負荷をかけ、休み、また動き出す──その自然なリズムがあなたを確実に成長させます。そして成長の途中で迷いが生まれたときこそ、自分の“軸”に立ち返ることが必要です。
そこで最後に一つ、私が大切にしているワークがあります。それは「自分が死んだ時、周りからどんな弔辞を読まれたいか」を書いてみることです。どう生きた人間だと記憶されたいか。それが明確になれば、日々の選択に迷いがなくなり、生き方がとても楽になります。周りと比較するのではなく、自分だけの人生の軸を見つけて、思い切り楽しんでください。
