あと一問で合格だった。信じていた道が閉ざされた、人生最初の大きな壁
──逆境経験について教えてください。
もともと海外のロックバンドが大好きで、高校時代から「将来は英語を使った仕事がしたい」と強く思うようになりました。目標は、立命館大学の国際経営学部。アーティストと直接話せるようになりたい一心で、高校3年の夏から塾に通い、1日に十数時間も勉強する毎日でした。
しかし、結果は不合格。あと一問正解していれば合格できた大学も二つあり、「大学に行くなと言われているのかもしれない」と感じましたね。自分なりにやり切った感があった分、本当に落ち込みました。
当時は「この大学に行くこと」が自分の進むべき唯一の道だと信じ切っていたので、それが断たれた瞬間、目の前が真っ暗になりました。周りの友人たちは次々と大学や専門学校への進学を決めていく中で、進路が決まっていないのはクラスで私を含め二人だけ。その状況に、ものすごい不安と焦りを感じたのを覚えています。人生で初めて「これからどうすればいいんだろう」と本気で悩んだ、最初の大きな壁でした。
悩んだ末の決意。「選んだ道を正解にする」という覚悟が、次の一歩を生んだ
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
進路に悩んでいたとき、通っていた塾の先生が「一度、自分の好きなことややりたいことを紙に書き出してみたら?」とアドバイスをくれました。そこで改めて自分と向き合い、書き出してみると、やはり「音楽」というキーワードが一番大きく心にあることに気づきました。
そこから、音楽業界の専門学校も調べましたが、一度その道に進むとキャリアが固定されてしまうような気がして、しっくりこなかったんです。浪人してもう一年頑張る選択肢もありましたが、自分の中でやり切った感覚があったので、それも違うなと。たくさん調べて、悩んで、最終的に「まずは好きな音楽に関われる場所で働いてみよう」と、大手CDショップチェーン店でのアルバイトを選びました。
この経験から学んだのは、「道は一つではない」ということ。そして何より、「自分で選んだ道を、自分の力で正解にしていく」という覚悟の大切さです。大学に行けなかったことは、当時の私にとって大きな挫折でしたが、そのおかげで立ち止まって自分自身と深く向き合う時間ができました。この時に生まれた覚悟が、その後の留学や起業といった大きな決断を後押ししてくれたのだと思います。

Web制作とマーケティングの両輪で走る。将来は、音楽で世界を繋ぐイベントを
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在は、ホームページ制作やECサイト構築などのWeb制作事業と、SEO対策や広告運用といったWebマーケティング事業を主軸に展開しています。私たちの最大の強みは、この二つを両方高いレベルで提供できることです。デザイン性や機能性だけでなく、「どうすればお客様のビジネスが成長するか」という集客の視点からWebサイトを設計できる点が、多くのお客様にご評価いただいています。
また、私自身がプログラミングやデザインも行うため、お客様からの修正依頼などにもスピーディーに対応できるフットワークの軽さも強みです。フリーランス時代から数多くの案件を手がけてきた経験を活かし、お客様に寄り添ったサービスを提供しています。
今後の展望としては、もう一度、自分の原点である音楽に関わる事業を手がけたいと思っています。今の事業でしっかりと基盤を築き、将来的には海外からまだ日本に来たことのない素晴らしいアーティストを呼んで、イベントを主催するのが夢です。かつて英語が話せずに悔しい思いをした経験をバネに、今度は自分が架け橋となって、音楽で人と人とを繋いでいきたいですね。
動いてから悩めばいい。一歩踏み出す勇気が、新しい世界を見せてくれる
──若者へのメッセージをお願いします。
もし今、何かに悩んで立ち止まっているなら、「悩んで動けなくなるより、動いてから悩む」ことを意識してみてください。もちろん、闇雲に行動するのはよくありません。私自身、進路に悩んだときは徹底的に情報を調べ、考え抜きました。でも、最後の一歩を踏み出すのはいつだって自分です。行動してみなければ、その道が正解かどうかなんて誰にも分かりません。
そして、壁にぶつかったときは、ぜひ周りの大人に相談してみてください。友人には話しにくいことでも、両親や先生など、自分より長く生きている人生の先輩たちは、きっと違う視点からアドバイスをくれるはずです。
特に女性の皆さんには、社会にある「こうあるべき」というイメージに縛られず、自分の「やりたい」という気持ちを大切にしてほしいです。私もまだまだ挑戦の途中ですが、皆さんが自分の可能性を信じて、思いっきり活躍できることを心から応援しています。

