事業開始、目前でゼロに。信頼していた相手からの突然の出資取り消し
──逆境経験について教えてください。
高校・大学の仲間たちと「株式会社202」を立ち上げたのは、まさにこれからという希望に満ちた船出でした。前職の会社を退職し、仲間たちが合流するまでの数ヶ月間、僕が一人で事業基盤を整える計画でした。そのための運転資金として、ある方からの出資が決まっており、契約書も作成し、あとは年明けの入金を待つばかり。「これで仲間たちを迎え入れられる」と、胸を躍らせていました。
しかし、その約束は年末に突然、反故にされました。「出資を取り消したい」。理由は、こちらの返信が遅れたことなどを理由に挙げられましたが、正直なところ納得しづらい内容でした。すでに僕は会社を辞めて収入がなく、その出資を前提にすべての計画を立てていました。頭が真っ白になり、「やばい…」と焦りが全身を駆け巡ったのを覚えています。仲間はまだ会社に在籍していましたが、僕だけが無職の状態。計画がすべて白紙に戻り、まさに絶望の淵に立たされた瞬間でした。
「自分たちが甘かった」。痛みから学んだ、契約の重みとリスク管理の鉄則
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
この一件で、本当に多くのことを学びました。一番の反省は「自分たちが甘かった」ということです。まず、出資に頼り切らず、何があっても事業を継続できるだけの自己資金を準備しておくべきでした。キャリアを考える上では、常に次のステップを見据えた経済的基盤が不可欠だと痛感しましたね。
また、ビジネスのシビアさも身に染みて感じました。信頼関係があったとしても、契約書は一刻も早く締結し、法的な効力を持たせなければならない。少し遠慮してしまっていた部分が、結果的に自分たちの首を絞めることになりました。そして何より、一つのプランに依存する危険性です。「これがダメだったらこうする」という第二、第三の策を常に考えておくこと。一本足打法がいかに危ういかを、この経験を通して学びました。この時の痛みがあるからこそ、今の私たちは契約ごとには特に慎重になり、スピード感を持って対応することを徹底しています。

僕らの武器は「仲の良さ」。友達と働く楽しさを社会の当たり前に
──会社の強みや魅力について、教えてください。
私たちの最大の強みは、創業メンバー4人が高校・大学の同級生で、何でも言い合える「仲の良さ」です。シェアハウスで貧しい時代を共に過ごし、数えきれないほど喧嘩もしてきました。だからこそ、今では仕事で意見がぶつかっても、遠慮なく本音で議論できる関係性が築けています。
この経験から、「働くこと」に対するネガティブなイメージを変えたいという想いが強くなりました。私たちは、まるで学校に友達に会いに行くような感覚で、毎日楽しく仕事をしています。この「仲間と働くことの価値」を事業を通して社会に広めていきたい。その想いを共有するため、創業一期目が終わったタイミングで合宿を行い、会社のミッション・ビジョン・バリューを策定しました。個々のスキルはまだ未熟かもしれませんが、このチームワークこそが、他社には絶対に負けない私たちの武器だと信じています。
一時の感情で手放すな。人生最大の財産は「友達」だ
──若者へのメッセージをお願いします。
僕が皆さんに伝えたいのは、「友達を本当に大事にしてほしい」ということです。恋愛や環境の変化など、一時の感情で友人関係をリセットしてしまうのは、あまりにもったいない。親は自分より先にいなくなり、パートナーとは別れるかもしれない。でも、本当の友達は、人生の最後まで一緒にいてくれるかけがえのない存在です。
僕が今こうして事業を続けていられるのも、絶望的な状況でも支えてくれた仲間たちがいたからです。彼らがいなければ、とっくに心が折れていたでしょう。自分のことを本気で想い、時には厳しいことも言ってくれる友人は、何よりも代えがたい財産です。どうか今そばにいる友人を大切にしてください。その繋がりが、いつか必ずあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。

