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【株式会社ジンジブ 森 隆史】高卒採用に革命を──自らの選択を「正解」に変える力。

2025/11/05

Profile

森 隆史

株式会社ジンジブ 専務取締役

1983年奈良県生まれ。大学卒業後、2006年に株式会社ジンジブの前身である広告ベンチャー・株式会社ピーアンドエフに新卒1期生として入社。様々な大手クライアントから中小企業までを担当し、営業として実績を重ねる。
「28歳で独立する」という目標を掲げていたが、入社5年目・27歳で最年少取締役に就任し、経営の道へ進む。その後、社会課題の解決に日本初で挑む事業に魅力と可能性を感じ、高卒採用支援事業の立ち上げと拡大を牽引。
2018年7月、グループ会社であった株式会社ジンジブの代表取締役に就任。その後グループ会社をジンジブに一本化し、経営統合を実現。現在は専務取締役として、複数部門を統括している。
これまでに3,000社以上の高卒採用を支援し、長年続く高卒の就職・採用慣習の改革に挑戦。コロナ禍の倒産危機を乗り越え、2024年の上場にも大きく貢献した。
今回は、同社の専務取締役である森 隆史氏に、事業に懸ける想いと、会社を倒産の淵から救った壮絶な逆境経験について伺った。

月7,000万円のキャッシュアウト。勝負をかけた矢先に訪れた倒産の危機

──逆境経験について教えてください。

僕たちにとって最大の逆境は、2020年のコロナ禍でした。まさに地獄を見た経験です。僕らは、高卒採用というブルーオーシャン且つニッチな市場で、古い慣習を改革し高卒民営化の新たな文化を創るために、2019年から大きな投資に踏み切りました。高校生に人気な有名タレントを起用したテレビCMなど、年間2億円規模のプロモーション費用をかけて「ここから勝負をかけるぞ」というタイミングだったんです。

しかし、2020年4月、緊急事態宣言が発令され、社会は完全に止まりました。当時、毎月の販管費が約8,000万円かかる中、売上は1,500万円ほどに激減。毎月7,000万円近いキャッシュが、ただただ流れ出ていく状況に陥りました。日に換算すると、毎日200万円以上のお金が消えていく計算です。

営業活動の主軸だったテレアポをしても、企業に誰もいない。アポイントも取れず、商談もできない。打つ手が何もなく、このまま数ヶ月続けば確実に会社は倒産する。当時約100名いた従業員全員を路頭に迷わせてしまう…その恐怖は、今でも忘れられません。

どん底が生んだイノベーション。全員で掴んだV字回復への活路

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

まさに倒産寸前という時、創業者の佐々木から「もう私一人の力でどうこうできる状況じゃない。3人の取締役に経営判断をすべて任せる。会社が潰れてもいいから、後悔のないように思い切ってやってみ」と、経営の全権を委譲していただいたのです。僕たち役員が本当の意味で腹を括った瞬間でした。

「本気の人だけ残ってくれ」。苦しい決断でしたが、全従業員に会社の危機的状況を正直に伝えました。しかし、結果は驚くべきものでした。「給料が下がってもいい。この事業をなくしてはいけないから、全員でついていきます」と。誰一人、会社を去る者はいなかったんです。

この経験から得た最大の教訓は、「イノベーションは、どん底の時にこそ生まれる」ということです。テレアポという従来のやり方が通用しなくなった僕たちは、活路を求めて「銀行との提携」に完全に舵を切りました。コロナ禍でも成長を目指す企業を、銀行は知っているはずだと。そこからゼロベースで全国の銀行とのビジネスマッチング提携を進め、逆張りで採用に動く優良企業の紹介を次々といただけるようになったのです。

この戦略転換がなければ、今のジンジブはありません。危機的な状況が、役員だけでなく従業員一人ひとりに「自分たちが会社を支えるんだ」という強烈な当事者意識を芽生えさせ、組織を一つにしました。困難や障害は、挑戦しているからこそ起きる。そして、それを乗り越える先にこそ、大きな成長があるのだと確信しました。

高校生の夢や希望のために。高卒採用の民間サービストップランカーとして。

──会社の強みや魅力について、教えてください。

私たちの事業は、高校生に自由な職業選択の機会を提供し、夢や希望のある進路選択ができる世界観を実現することにあります。

70年以上続いている「一人一社制」などいわゆる「学校斡旋」という学校サポートの高校生就職ルールでは、きめ細かなサポートや就職先の確保という側面を持つ一方で、高校生が多くの企業や職業を比較検討する機会を狭めることがあります。納得感のないままの就職活動でのミスマッチは双方にとってデメリットでしかないですよね。

高校生にとって学校の先生の他に、情報を得られるサービスがあることは主体的な進路決定のためにもとても大切だと考えています。

この高校生の就職における進路選択の可能性を広げる民間サービスとして、全国規模で挑戦しているのは私たちだけだと自負しています。私たちの強みは、高校生のための求人サイト『ジョブドラフトNavi』や合同企業説明会『ジョブドラフトFes』を通じて、高校生と企業が直接出会える場を創出している点です。自分で企業を調べることや、担当者との話ができることで、より仕事をイメージすることができるようになります。企業にとっても従来は学校の先生と関係性を築くことが唯一の採用活動でしたが、直接高校生に自社の魅力を伝えることができます。

また、私たちの大きな強みは、全国の高校と連携して、キャリア教育の授業(ジョブドラフトCareer)を行っています。学校現場との強い信頼関係やパイプを築き、先生にとっての進路指導の選択肢としても機能しています。今後は、これまで高卒採用をほとんど行ってこなかったIT企業や営業職のような求人の種類もさらに増やし、高校生たちに大学生と同じような多様な選択肢をつくりたいと思っています。

日本の未来を担う若者の可能性をひらくこと。それが私たちの使命です。

人生は、すべて自分次第。選んだ道を「正解」にするために

──若者へのメッセージをお願いします。

「将来やりたいことが見つからない」と焦っている人も多いかもしれませんが、全く心配する必要はありません。僕自身、学生時代は「楽して稼ぎたい」と考えるようなダメ大学生でしたから。夢や目標は、無理やり見つけるものではなく、目の前のことに一生懸命取り組む中で、自然と見つかっていくものだと思います。

僕が毎年、新入社員に必ず伝えていることがあります。それは、「自分の選択を正解にできるのは、自分しかいない」ということです。

私自身、就職活動の際、大手企業の内定を辞退し、当時はまだ20名ほどだった小さなベンチャー企業(ジンジブの前身の会社、ピーアンドエフ)を選びました。周りからは「なぜ?」と言われましたが、その選択を正解にするためにがむしゃらに働き、今の自分があります。

人生は選択の連続です。その時々の選択が合っているか間違っているかなんて、誰にも分かりません。大切なのは、自分で信じて選んだ道を、自分の力で「正解だった」と胸を張って言えるように努力し続けること。人生は人任せじゃない、すべて自分次第です。ぜひ、自分の選択を信じて、一度きりの人生を全力で生きてください。

株式会社ジンジブ

設立 2015年3月23日(グループ創業:1998年9月1日)
資本金 3億0,310万円(2024年12月末現在
売上高 非公開
従業員数 224名(2025年4月1日現在)
事業内容 ■高卒就職採用支援サービス
■高卒人財育成サービス
■離職の防止の仕組みを強化するサービス
■人材紹介事業(厚生労働省許可番号 27-ユ-303477)
■労働派遣事業(厚生労働省許可番号 派27-304828)
URL https://jinjib.co.jp/
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