「お前には行くところがない」―愛情に飢え、自分を傷つけた少年時代
──逆境経験について教えてください。
私の人生の価値観を形作った原点は、小学2年生の時の両親の離婚でした。自分の意思とは関係なく家族が離れていく現実に、子どもながらに強烈な寂しさを感じたことを覚えています。その後、母の再婚相手である義理の父と暮らすことになったのですが、そこからが本当の試練の始まりでした。
勉強が得意だった義父にとって、勉強が苦手な私は理解できない存在だったのかもしれません。「お前には行くところがない」と何度も言われ、反発心は日に日に強くなっていきました。愛情を求めているのに、それが得られない。その満たされない想いの矛先は、次第に破壊的な行動へと向かいました。家の窓ガラスを割り、不良仲間とつるむようになり、ついには自ら命を絶とうとリストカットや飛び降りを試みたこともあります。
行き場のない怒りと悲しみから自分を責めることしかできなかった私を、最後に止めてくれたのは母でした。この出来事をきっかけに、私は親元を離れ、岩手にある男子高校の寮で生活することになったのです。
第二の父母との出会い。寮生活で見つけた「本当の感謝」
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
反抗の末に入った寮生活が、私の人生を大きく変える転機となりました。そこで出会った寮母さんご夫妻が、私にとって「第二の父母」のような存在になったのです。勉強のこと、生活のこと。家庭では得られなかった基本的なことを、時には厳しく、しかし深い愛情を持って教えてくれました。
それまで誰かにやってもらうのが当たり前だった洗濯や掃除を自分一人で行う中で、初めて母への感謝の気持ちが芽生えました。寒い日も暑い日も、文句一つ言わずに自分のために家事をしてくれていた母の姿が目に浮かび、「自分はなんて恵まれていたんだろう」と気づかされたのです。
この経験を通して、「泥臭く一生懸命頑張っている人を、今度は自分が支えたい」「自分の周りにいる大切な人を、決して悲しませたくない」という想いが強く芽生えました。私が起業した根底にあるのも、「お母さんに『頑張ったね』と褒めてもらいたい」という、あの頃から変わらない純粋な気持ちです。辛い過去も、今となっては全てが感謝に変わっています。

強みは「家族」のような伴走力。課題の真髄まで深く、泥臭く
──会社の強みや魅力について、教えてください。
現在の主な事業は、プロデュース業として、イベント事業にて上場企業、官民連携となった地方、地方企業の課題を解決としたセールス&マーケティングのコンサルティングです。特に、一人で事業を営む社長様から「何に困っているかも分からない」という段階でご相談いただくことが多く、課題を言語化するところから泥臭く伴走させていただいています。
私の強みは、相手の課題の表面だけでなく、その奥にある真髄まで深く掘り下げてヒアリングできること。そして、過去の経験から育まれた「この人の力になりたい」という強い想いです。私自身が愛情に飢えていたからこそ、相手が本当に求めていること、言葉にならない想いを汲み取ることができるのかもしれません。
将来的には、会社をただ大きくするのではなく、関わってくださる方々と「家族」のようなチームを作りたいと考えています。クライアントはもちろん、自分の家族や仲間、そして両親。何かあった時に全員を守れる存在であることが、私の目標です。
辛い経験は、未来のあなたを照らす光になる
──若者へのメッセージをお願いします。
今、もしあなたが辛い状況や苦しい環境の中にいるとしても、決して自信を失わないでください。その経験は、数年後、数十年後に振り返った時、必ず「あの時があったから今の自分がいる」と思えるような、かけがえのない財産になっています。
最後は、自分を信じるしかありません。自分の直感を信じて、「これだ」と思った道に一歩踏み出してみてください。そして、今あなたの周りにいる友人や仲間との繋がりを大切にしてください。その一つひとつのご縁が、未来のあなたを支える大きな力になるはずです。私も、泥臭く頑張る皆さんを心から応援しています。


 
         
                     
                                            