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【株式会社ENTER THE POCKET 宮本 慶太】どん底からの覚醒!理不尽を糧に「総合力」で拓く100億円の挑戦。

2025/10/26

Profile

宮本 慶太

株式会社ENTER THE POCKET 代表取締役

光通信グループに入社。パソコンすら触れなかった状態から猛勉強を重ね、厳しい営業現場で実力をつける。その後、Web制作会社に転職し、組織づくりや仕組み化の手腕を発揮。入社5年で子会社の社長に就任。経営者としての経験を積んだ後、独立を決意し、株式会社ENTER THE POCKETを設立。現在は中小企業向けに、実践型の経営支援や人材育成を行う。
波瀾万丈なキャリアの根底で、何を学び、何を得てきたのでしょうか。宮本氏の半生と、若者への熱いメッセージに迫ります。

怒りをバネに──無力な自分を変えた原点の夜

──逆境経験について教えてください。

私のキャリアの原点ともいえる逆境は、カスタマーリレーションテレマーケティング(CRTM)での経験にあります。20代前半で入社した当時は、創業して間もなく今でこそホワイト企業として知られていますが、当時は極めて「過酷な」と環境でした。休みはほとんどなく、毎日12時間以上働くのが当たり前。終業後に資料作成を命じられることも珍しくありませんでした。

中でも忘れられないのが、ある役員からの一方的な指示です。夜9時のテレアポ業務が終わり、チームが解散しようとしている中、突然「明日までに自分の担当支店のプレゼン資料を作ってこい」と言い渡されました。当時、私を含めSV(スーパーバイザー)10人全員がPowerPointの操作方法すら知らないパソコン素人集団。何をプレゼンすべきかの指示もなく、期限は翌日の午前中から昼まで。終電にはもちろん間に合う訳もなく、比喩ではなく文字通り“寝ずに”作る理由の分からない資料を必死に作成しました。

しかし、翌日のミーティングにその役員は3時間遅刻し、現れたかと思えば不機嫌。全員が寝ずに作った資料を一枚も見ることなく破り捨て、「こんなの紙の無駄だよ」と言い放ったのです。あの瞬間は、さすがに私も怒りを通り越して「マジで黙らせてやりたい」と思いました。
ただ、その怒りを感情的にぶつけるのではなく、「俺のパソコンスキルが足りなかったからだ」と捉え、猛烈な勢いでパソコンの勉強を始めました。操作方法だけでなく、仕組みやインフラについても人一倍詳しくなろうと努力しました。この理不尽な経験こそが、私のパソコンスキルを飛躍的に高めるきっかけとなり、今の事業の基盤を築く上で最も重要なターニングポイントになったのです。

理不尽は「自分を成長させる機会」と捉える

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

あの理不尽な経験から得た最大の教訓は、「外的要因で変えられないことでも、すべてを自分を源泉として捉え、行動と思考を巡らせれば大概のことは乗り越えられる」ということです。怒りに任せて辞めるのではなく、「この役員を黙らせるにはどうすればいいか」と考え、スキルアップに努めました。

結果として、感情的ではなく論理的に物事を判断できるようになり、どんな理不尽な状況でも「どうすれば解決できるか、次に起こさないようにできるか」という視点を持てるようになりました。

また、当時の職場は退職率が非常に高く、人の入れ替わりが激しかったため、「人はいつか入れ替わる血液のようなものだ」という合理的な思考も身につきました。これは一見冷酷に聞こえるかもしれませんが、人材や組織をマネジメントする上で、感情に流されず、全体最適を冷静に判断する上で必要な視点だと考えています。

働く側が「働いてあげている」という思考になった時点でパフォーマンスは下がり続けて、結果的に会社も個人も不幸になります。なので早期退職するのは何ら悪い事ではないと思います。これはマネジメントについての持論ですが、一般的なビジネス書で推奨されるような「加点方式」ではなく、「減点方式」が重要だと考えています。

上司がマイナスになる行動さえ取らなければ、自然と70〜80点のマネジメントはできるもの。これは、長年の経験と多様で多数の人数のマネジメントを通じて体得した、まさに現場でしか得られない知識だと自負しています。

例えば、営業会社で成果が出ていないのに「遅くまで残って偉いね」と褒めるのは逆効果です。何故なら結果の評価ではなく、過程を評価しているからです。残業をたくさんするけど結果を全然残さない人と、残業をしないけど結果を残す人ならば後者を評価すべきです。にも関わらず残業自体を評価してしまうと本人は結果の善し悪しに関わらず「残業している自分」を評価し出してしまいます。もし仮にそのような状態になった後に結果を求め出すと「こんなに残業して頑張っているのに」と会社に不満が向けられてしまいます。また結果を出していない人が評価をされるような環境では、結果を出す人は不満に感じることでしょう。

このように上司はマネジメントをする上では“何をしたら正解(加点)”ではなく“何をしたら駄目(減点)”という意識を持つことの方が正しくチームを率いることが出来ます。

部下に対してモンスター部下などと揶揄して不満を持つ上司がいますが、自分で生み出してしまっていることを経験がないから知らないだけなのです。

中小企業の「右腕」として、ワンストップで課題を解決する総合力

──会社の強みや魅力について、教えてください。

株式会社ENTER THE POCKETの最大の強みは、中小企業の「右腕」として、あらゆる経営課題にワンストップで対応できる「総合力」にあります。私たちは、人材・組織構築・人事評価制度の策定から運用代行といったコンサルティングに加え、営業戦略の改善、新規事業の立ち上げ支援、広告運用からWEBマーケティングまで幅広く手掛けています。

新規事業の立ち上げでは、アイデアの壁打ちからプライシング、WebサイトやLPの制作、さらには営業のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)まで、実行支援も含めて一貫してサポートします。特定の分野に特化して「これがめちゃくちゃ強い」と尖っているわけではありませんが、マーケティング、営業、マネジメントなど、あらゆる領域で60点のスキルを複合的に提供できる。この「総合力」こそが、多くの中小企業が抱える「バラバラな依頼先への煩わしさ」を解消し、真に寄り添った支援を可能にしているのです。

現在の顧客は、IT・Webサービス企業から地方の中小企業まで多岐にわたり、特に営業会社やマーケティング会社のコンサルティング案件が多いです。

今後の展望としては、10年以内に売上100億円のグループ企業を目指しています。ただし、これは一社で達成する目標ではありません。私自身が若い頃にお金で苦労し、独立が遅れた経験があるからこそ、金銭的な蓄えはないけれどスキルや意欲に溢れる若者を、子会社の社長として育成していきたいと考えています。1億から5億円規模の子会社を20〜100社作り、連結で100億円を達成する。そうすることで、多くの若者に「V字復活できる場所」を提供し、彼らが輝ける未来を創り出すことが、私の真の目的です。
最近では新電力の代理店やMEO対策事業も手掛けており、顧客のコスト削減や集客支援にも力を入れています。

若者よ、急がば回れ。未来を切り拓くための「本物のスキル」を掴み取れ

──若者へのメッセージをお願いします。

「何がしたいか分からない」と悩む若者が増えているように感じます。そんな時は、「自分がどういう未来になりたくないか」から逆算して考えてみてください。周りが活躍している中で30代、40代になって自分だけが窓際社員になっている姿、体力的に厳しい50代、60代になっても肉体労働で苦労している姿――。なりたくない自分を想像すれば、自ずと避けるべき道が見えてくるはずです。

そして、短期的な快楽や「裏技」で稼ぐことに目を向けず、自分に紐付いた「一生もののスキル」を身につけることを大切にしてください。会社選びも、福利厚生や待遇の良さだけで判断せず、まずは今いる環境で最大限の結果を出し、爪痕を残すことが重要です。

最期に伝えたいのは、社会に出たら「やらされること」「やれること」「やりたいこと」は全く違います。

私のキャリアも、やりたいことは「社長になりたい」でしたが、会社に就職して最初は自分が絶対にやりたくない「やらされること」からスタートしました。テレマーケティング営業で教育を学び、ウェブ制作でパソコンスキルを磨きました。

そしてやらされている感覚がなくなったころに「やれること」が増えてきて結果が出せるようになりました。結果を出せるようになったことで最終的に「やりたいこと」ができるようになったのです。

つまり私の人生を通して伝えられる教訓は「急がば回れ」です。

若いからこそ、多様なことにチャレンジできるチャンスがあります。安易に自分の選択肢を狭めるのはもったいない。夢がないなら、とりあえず自分が避けたいと思うような「過酷な環境の企業」に行ってみてください。そこで得られる経験は、他のどんな環境よりもあなたを成長させるはずです。理不尽をバネにして、本物のスキルを身につける。そうすれば、どんな困難にも立ち向かえる、強い自分になれるでしょう。

株式会社ENTER THE POCKET

設立 2023年6月
資本金 5,000,000円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 WEBコンサルティング
WEBディレクション
ビジネスデザイン制作
セミナー/講師
ファイルメーカー開発・支援
PMI支援・コンサルティング
ポータルサイト運営
URL https://enter-the-pocket.com/
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