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【ドリームファクトリー株式会社 大野 義啓】逆境を乗り越え「あり方」を問う。若者に贈る、自分軸で生きる羅針盤。

2025/10/25

Profile

大野 義啓

ドリームファクトリー株式会社 代表取締役

長年スポーツの世界で活躍し、オリンピック出場を目前で断念するも、その経験を糧に実業界へ転身。ドリームファクトリー株式会社を設立し、リハビリ特化型デイサービスや放課後等デイサービスといった福祉事業を展開。さらに、兵庫県丹波市でグランピング事業を立ち上げるなど、多角的な経営手腕を発揮されています。トップアスリートとしての経験と経営者としての深い洞察から生まれた「あり方」の哲学は、多くの人々に影響を与え続けています。
自身の様々な経験から何を学び、そして未来を担う若者たちへどのようなメッセージを贈るのか、深く掘り下げていきます。

オリンピック断念と倒産危機。二度の「まさか」が人生を変えた

──逆境経験について教えてください。
私の人生における大きな逆境は二つあります。一つは、長年追い求めたオリンピック出場という夢が、最終選考会の決勝で敗れたことで絶たれた時です。それまで、周囲からは「彼が出場するだろう」と注目されていた中で、まさかの敗北。その挫折感は計り知れないものでした。

もう一つは、会社を設立して8年目から10年目くらいの時期に経験した、会社の倒産危機です。創業当初から数年間は自転車操業のような状態で、銀行からも追加融資を断られるほどに追い詰められました。この二つの経験は、私の人生において最も大きなターニングポイントとなりました。

成功を阻む「心のあり方」の未熟さに気づく

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

オリンピック出場を逃した際、私はなぜ負けてしまったのかと徹底的に自分と向き合いました。その結果、行き着いたのは「能力や実力が劣っていたわけではない。心のあり方、物の考え方が未熟だった」という結論です。それまでの私は、自分に自信があり、どこかで油断があったのかもしれません。謙虚さや感謝の気持ちが足りず、トップアスリートとしての心の成熟度に欠けていたと痛感しました。

そして、会社の倒産危機に直面した時、私は「あの時のオリンピックの挫折と同じことをしている」と気づきました。売上目標ばかりを追い求め、経費管理やキャッシュフローといった経営に必要な「守り」の部分を疎かにしていたのです。頭の中では「親孝行したい」「スタッフに恩返ししたい」と思っていても、現実の行動は、他社との競争意識や「勝ち負け」に囚われていました。この二つの経験から共通して学んだのは、物の考え方、心のあり方が間違っていると、どんなに努力しても、頑張り方が間違っていれば結果には繋がらないということです。まさに「頑張り方の質」が問われた経験でした。

理念経営と「再現性」への挑戦

──会社の強みや魅力について、教えてください。

当社の強みは、社員一人ひとりが「自ら考えて動ける主体的組織」を目指している点です。私たちは「理念経営」を掲げ、「何のために仕事をするのか」「何のために生きるのか」という目的意識を強く推奨しています。指示を待つのではなく、自ら目標を明確にし、それに向けて考えて行動できる人材を育てることを重視しています。

私自身がその理念を証明するために始めたのが、兵庫県丹波市でのグランピング事業です。宿泊業、飲食業、レジャー業の経験が全くない中で、この事業を立ち上げました。これは、私自身が提唱する「目標設定と計画実行のメソッド」が、どんな分野でも再現性があることを示すための「社会実験」でもあります。コロナ禍という厳しい時代でも、正しい考え方と実践があれば発展できるということを社員たちに見せたかったのです。ありがたいことに、このグランピング事業も着実に成果を上げています。

私が長年の経験と知識を体系化した人材育成コンテンツ「グリッドアカデミー」も、当社の大きな強みです。これは、私が人生をかけて培った再現性のあるメソッドであり、社員やスポーツ選手が一定の成果を出すことを実証済みです。今後は、このコンテンツをより多くの若者たちに届け、社会に貢献していきたいと考えています。

『できること』から始め、『自分軸』を磨け

──若者へのメッセージをお願いします。

これからの時代を生きていく皆さんは、本当に優秀で、可能性にあふれています。しかし、情報過多の社会の中で、世の中の評価やニュースに簡単に流されてしまう危険性もはらんでいます。だからこそ、私は若者の皆さんに「自分軸を持ってほしい」と強く伝えたいです。

「やりたいことが見つからない」と悩む若者も多いですが、それは当たり前のことです。まだ多くの経験を積んでいないのですから。大切なのは、「今自分にできることを一生懸命頑張る」こと。そして、人から「ありがとう」と感謝され、人の役に立てたという小さな成功体験を積み重ねていくことです。そうすることで、人は「もっとこうしたい」という気持ちが芽生え、自ずと「やりたいこと」が見つかっていきます。

また、失敗を恐れないでください。「失敗してもいい」という言葉だけを鵜呑みにせず、「失敗の中から成功のヒントを見つける」という意識が重要です。ヒントを見つけるためには、失敗を分析し、行動を改善し続ける必要があります。

メンタルが弱い、才能がないなどと自分を決めつける必要はありません。正しい「頑張り方」を知り、習慣化すること。そして何よりも、「あり方」を磨く学びを怠らないでください。情報や人の良し悪しを見極める力がなければ、この先の時代を生き抜くのは難しいでしょう。

夢や目標を持つことは素晴らしいですが、まずは「できること」をコツコツと積み上げ、小さな成功体験を通して自分軸を確立していくことが、皆さんの未来を明るく照らす羅針盤となるはずです。

ドリームファクトリー株式会社

設立 2007年
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 リハビリ特化型デイサービス(介護事業)
運動療育特化型放課後等デイサービス(福祉事業)
グランピング事業
URL https://www.dreamfactory-care.com/ https://shiguraresort-glamping.jp/ http://yawaranokokoro.com
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