崩れ落ちた“理想の幸せ”──そこから始まった再生
──逆境経験について教えてください。
私の人生は、学生時代から世間の常識とは異なる選択の連続でした。まず、大学3年生の休学中に妊娠・出産を経験し、幼い子どもを育てながらの就職活動という、時間的にも精神的にも大きな制約の中で社会への一歩を踏み出すことになりました。周りの同級生がキラキラと卒業旅行や就職活動を楽しんでいる一方で、私は授乳やおむつ替えに追われる日々。友人のSNSを見ては「自分は何をしているんだろう」と涙することも少なくありませんでした。
それでも「女性が自由に生きるためには経済力が必要」という幼い頃からの信念があったため、とにかく仕事で成果を出そうと、大手企業に狙いを定めて就職活動をしました。結果的に複数内定をいただくことができましたが、そこが第一の逆境の始まりだったかもしれません。
前職では、人材紹介事業の企画部署に配属されました。「働く喜びの輪を広げる」という会社のビジョンに深く共感して入社した私ですが、実際に担当したのは、何百億もの数字をエクセルで分析し、目標達成のための戦略を立てる日々でした。現場の営業担当に厳しい数字目標を課すような仕事は、私が思い描いていた「手触り感のあるキャリア支援」とはかけ離れており、「組織の歯車」であることに虚しさを感じるようになりました。社内にロールモデルとなる女性も見当たらず、自分はこの会社で何をしたいのか、わからなくなっていったのです。結果、過度な精神的負荷から適応障害を発症。夫婦関係も悪化し、家庭も仕事も最悪な状態に陥ってしまいました。
そして、退職するタイミングで、人生最大の逆境が訪れます。適応障害で働けない状態になり、夫婦関係も破綻して離婚。貯金も底をつき、引っ越しのお金すらなく、幼い息子とも離れて暮らすことになりました。それまで必死で手に入れてきた学歴、社歴、収入、結婚、子ども…「幸せになるための要素」だと信じていたものが、まるで砂の城のように全て崩れ去った瞬間でした。「自分の人生は何だったんだろう?」と、アイデンティティを完全に失い、虚無感に苛まれる日々。この時こそが、私の人生で最も深く、全てを失った「どん底」でした。

表面的な成功ではなく、自分の“コア”で生きる
──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。
幾度となく訪れた逆境、特に全てを失ったどん底の経験は、私にかけがえのない教訓を与えてくれました。最も大きな学びは、「自分の価値観に正直に生きること」の重要性です。どんなに世間的に成功していると言われる状況であっても、それが自分の「コア」と繋がっていなければ、人は決して満たされない。私自身、高学歴、大手企業、結婚、出産と、世間一般の「幸せ」とされるものを手に入れたはずなのに、心は虚無感でいっぱいでした。この経験を通じて、表面的な成功ではなく、自分が本当に何を大切にしたいのかを常に模索し、そこに立ち返ることこそが、真の幸福への道だと気づかされました。
私の「コア」にある価値観は、高校生の頃から一貫して変わらない「出会った人が幸せであってほしい」という思いです。両親の不仲を経験した時、「この辛い経験を、同じように苦しむ人の気持ちを理解するために昇華しよう」と心に誓いました。それは単なる綺麗事ではなく、「こんなことで負けてたまるか」という強い反骨心から生まれたものでした。この反骨心があったからこそ、適応障害や離婚といった困難な経験も、「誰かの役に立つための学び」として捉え、自らを奮い立たせることができたのです。
また、「自分の気持ちや考えていることを正直に伝える」ことの大切さも学びました。損得勘定抜きで自分の本音を発信することで、環境や人間関係のミスマッチについても合わないことが早期に分かり、柔軟に軌道修正ができます。学生時代に子どもがいることを隠さず就職活動に臨んだこと、リクルートで部署異動を希望したことなど、常に自分の気持ちを伝え続けた結果、人よりも早く人生のステージを進むことができたと実感しています。
そして、最も重要な教訓は、「自己肯定感」こそが幸せの鍵であるということです。どんな状況に置かれても、「自分が自分の人生を選んでいる」と心から肯定する力がなければ、どんなに多くのものを手に入れても不幸だと感じてしまう。この気づきがあったからこそ、私は「自己肯定感」を屋号にし、それを根底から育む支援をしたいと強く思うようになりました。困難を乗り越えるたびに、「自分はできる」という確信が生まれ、自己肯定感が高まっていく。その循環こそが、人生を豊かにする原動力となるのです。
事業成長と自己肯定感を両立させる、唯一無二の伴走型支援
──会社の強みや魅力について、教えてください。
株式会社自己肯定感の強みは、私がこれまでの人生で培ってきた波乱万丈な経験と、リクルート時代に徹底的に鍛えられた事業企画・戦略立案の能力を掛け合わせ、お客様の「自己肯定感」と「事業成長」の両面を強力にサポートできる点です。
現在提供している事業は大きく2つあります。一つは、経営者向けのエグゼクティブコーチングです。社長と役員のコミュニケーションの改善から、組織全体の売上を上げていくための基盤作りを、外部のプロとして支援しています。経営者は孤独な存在であり、事業の成長と個人の幸福度が密接に結びついています。だからこそ、経営者のマインドのサポートから事業戦略まで、多角的な視点での伴走が可能です。
もう一つは、事業戦略・マーケティング支援です。これは、私がリクルート時代に事業計画や売上計画、集客戦略の立案に携わっていた経験を活かし、新しいブランドやクリニックを立ち上げたオーナーを中心に、事業計画から集客戦略の策定、必要であれば実装までを一貫してサポートしています。小手先のノウハウではなく、本質的な戦略設計を通じて、お客様の事業を力強く成長させることを目指しています。特に、親世代から事業を引き継いだ若手経営者層のサポートも多く、彼らが自信を持って事業を推進できるよう、ブレインとして寄り添っています。
私の支援の根底には、「自分を肯定する力がなければ、何を得ても不幸だと感じる」という確信があります。だからこそ、表面的な課題解決だけでなく、経営者自身の「自己肯定感」を高めることに重点を置いています。これにより、お客様は事業の成長だけでなく、人生そのものに対する満足度も高めることができるのです。
今後、目の前に困っているお客様がいる限り、その声に応えたいという強い使命感があります。お客様の課題解決に真摯に向き合うことで、自然と事業は拡大し、仲間も増えていきます。私自身が大きな旗を立て、より多くの人々の「自己肯定感」を高め、人生を豊かにする支援をできるような存在でありたい。そのために、今は目の前の仕事に全力を注ぎ、経験を積み重ねていくことが重要だと考えています。

心に正直に、貪欲に!苦労こそ、人生を豊かにする最高のギフト
──若者へのメッセージをお願いします。
若者の皆さんには、とにかく「自分の心に正直に生きてみよう」と伝えたいです。そして、恐れずに「行動」してみてください。行動していく中で、きっと見えてくるものがあります。
そして、ぜひ「つらい経験は早くした方がいい」と思ってほしいです。若い頃に経験する苦労は、その後の人生を格段に楽にしてくれます。もちろん、年齢を重ねるごとに問題のレベル感は上がっていくものですが、早い段階で「逆境の捉え方」を変換する術を身につけていれば、どんな困難も乗り越えることができるようになります。むしろ、それを楽しめるようになるのです。同じ重さの試練が訪れても、捉え方一つで負担は全く違います。早くから逆境への捉え方を変えることができれば、人生は楽になり、そして扱える問題の大きさが大きくなることで、できることもどんどん増えていきます。だから、どんどん苦労してください。自分の心に正直に突っ走った結果、一度は苦労を経験してみてください。そうすれば、その苦労は、きっとあなたにとっての「苦労」ではなくなるはずです。
特に女性の皆さんには、心から「貪欲に生きてほしい」と願っています。キャリアも手にしてほしいし、お金も稼いでほしい、綺麗でいてほしい、そして子どもも産めばいい。全部やればいいと私は思っています。女性は賢いがゆえに、ついついシミュレーションをしてしまい、行動を躊躇しがちです。しかし、そんなことは気にせず、とりあえず色々なことを試してみるべきです。結婚もすればいい、子どもも産めばいい、会社員として頑張りながら副業だって始めればいい。そうすれば、必ずキャパオーバーになる瞬間が訪れます。そのキャパオーバーを経験して初めて見えてくるもの、気づくことがたくさんあるのです。早いタイミングで「苦労」を経験することで、結果的に人生で望むもの「全て」を手に入れることができるでしょう。

