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【株式会社LIVE GO 藤末 匠吾】新幹線運転士から起業へ。異色のキャリアが拓くライブ配信の未来。

2025/10/24

Profile

藤末 匠吾

株式会社LIVE GO 代表取締役

15年間、鉄道会社に勤務し新幹線運転士などとして活躍。安定したキャリアから一転、「社会で通用する人間になりたい」とMBAに進学。その後、ライブ配信の世界と出会い、株式会社LIVE GOを設立。元ライバーとしての経験を活かし、ライバーマネジメントとECサイトコンサルティングを手がける。
安定を捨て、未経験のビジネスの世界へ飛び込んだ藤末氏。そこで何を感じ、いかにして道を切り拓いていったのか。波乱万丈のキャリアパスと、若者たちへの熱いメッセージに迫ります。

大企業の幻想と、ゼロからの出発で直面した「現実」

──逆境経験について教えてください。

前職では会社という大きな組織の歯車として、指示されたことをこなす毎日でした。安定はしていましたが、「仕事は与えられるもの」という感覚が染み付いてしまっていたのです。MBAで経営学を学んだものの、それは自動車教習所の「学科」のようなもの。ハンドルを握ったことのないペーパードライバー状態で起業した私へ、ビジネスの世界は想像をはるかに超える現実を突きつけました。

起業後、最初の1年は大赤字。資金繰りに苦しみ、業務委託のメンバーに給料を支払えないという事態も経験しました。前職にいた頃は、名刺の渡し方すら知らず、お客様への感謝の気持ちも薄かったのかもしれません。何より「ビジネスマナー」や「営業ノウハウ」、そして「お金の流れ」といった社会人としての基礎能力が著しく欠けていたのです。新幹線運転士という肩書きがあった頃は、周囲から一目置かれていましたが、起業をしてそれがなくなると、多くの人が離れていきました。「俺って何もできない人間なんだ」と痛感し、プライドが崩れ落ちていく感覚は、筆舌に尽くしがたいものでした。特に、給料を支払えなかった時のメンバーへの申し訳なさは、最大の逆境でしたね。

逆境から得た教訓は、遠回りなようで最も確かな「地道な成長曲線」

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

この逆境から得た最大の教訓は、「楽して稼げる道は存在しない」ということです。人間は誰もが楽してすぐにお金持ちになりたいと願いますが、それは幻想だと身をもって知りました。私自身も、起業前は「いかに要領よく楽して給料をもらうか」という思考に支配されていました。しかし、起業をしてからはそれが全く通用しないことを痛感したのです。

泣きそうになりながらも、地道なトライアンドエラーを積み重ね、正しい成長曲線を描いていくこと。これこそが、成功への唯一の道だと確信しました。決して楽な道のりではありませんでしたが、この経験があったからこそ、今の私があると感じています。

ライバーは「一人社長」。人間力を育むマネジメントと新たなビジネスの可能性

──会社の強みや魅力について、教えてください。

当社の強みは、何よりも「ライバーの気持ちに寄り添ったマネジメント」ができる点です。私自身が1年半ライバーとして活動していた経験があるため、ライバーさんが「今、何に悩んでいるのか」「どうすればもっと輝けるのか」を深く理解できます。一般的な芸能事務所のマネージャーがアイドルの経験がないのと同様に、ライバーの気持ちが分からないマネージャーも多い中で、私たちは単なる「商品」としてではなく、「人間」としてライバーさん一人ひとりと向き合うことを大切にしています。

また、日本最大級のライバー事務所と提携していることも大きな強みです。この提携により、ライバーハウス(3ヶ月家賃・光熱費無料)、アイドルグループへの加入、メディアへの出演チャンス、リアルイベントへの無料参加など、ライバーさんの夢を広げるための多様な機会を提供できています。

私たちは単に「お金を稼がせる」だけでなく、ライバー活動を通じて「人間力」を伸ばすことを重視しています。ライブ配信は、コミュニケーション能力、企画力、目標達成力、そして人を巻き込む力など、実に多様なスキルが身につく場です。

今後の展望としては、ライバー事業の裾野を広げていきたいと考えています。特に地方に住むシングルマザーの方々から、場所や時間に縛られずに働けるライバーという選択肢に注目が集まっています。また、「怪しい」「若い子だけのもの」といったライブ配信へのイメージを払拭し、「起業の練習」「マーケティング・ブランディングの学習」といった切り口で、学生やビジネスパーソンにもその価値を伝えていきたいです。

さらに、もう一つの事業の柱として、ECサイトのコンサルティングにも力を入れています。ECサイトは作って終わりで放置されているケースが多く、運営者が課題を抱えながらも、相談できる場所が少ないのが現状です。そこで私たちは、無料でECサイトの課題をフィードバックする「セカンドオピニオン」を提供しています。これは、ECサイトをこれから作りたい方、立ち上げたものの、売上が伸び悩んでいる方、あるいは現状で満足しているが客観的な意見が欲しい方々から大変喜ばれています。契約を前提とせず、まずは皆さんのECサイト運営がより良くなるようサポートすることで、この分野の発展に貢献していきたいと考えています。

失敗を恐れず、まずは「小さな一歩」を踏み出す勇気を

──若者へのメッセージをお願いします。

若者の皆さん、そして起業を目指す社会人の皆さんへお伝えしたいのは、「日本では失敗しても死ぬことはない」ということです。私自身、安定した大企業を辞める際、「もう生きていけない」と周囲から言われました。しかし、実際には失業保険もあり、家がすぐなくなるわけでもありません。失敗しても、日本には再挑戦できるセーフティネットがしっかりと存在します。過度に失敗を恐れる必要はないのです。

そして、何よりも大切なのは「やってみる」ことです。究極の正解なんて、誰にも分かりません。起業した私自身も、これが正解かどうかは、まだ分からない。だからこそ、少しでも「これ面白そうだな」「これに挑戦してみたいな」という気持ちが頭に浮かんだら、まずは一歩踏み出してみてください。やってみて違和感があれば、いつでも方向転換できます。

「一歩を踏み出す」と聞くと、とても大それたことのように感じるかもしれません。しかし、その「一歩」は、決して大きなことでなくても良いのです。まずは、日々の小さな「やってみる」から始めてみてください。それが、皆さんの未来を切り拓く第一歩となるはずです。

株式会社LIVE GO

設立 2023年7月
資本金 9,000,000円(資本準備金含む)
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 ライブ配信ライバーマネジメント
ECサイトコンサルティング
URL https://livego1.com/ https://lin.ee/T8K7Thu https://www.instagram.com/livego_official?igsh=MXY1bWg0cHdiYm92cA%3D%3D&utm_source=qr
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