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【NOBORDERS株式会社 北村 裕一郎】ボーダーを超えろ!逆境から生まれた「本気」の力で社会を変える。

2025/10/07

Profile

北村 裕一郎

NOBORDERS株式会社 代表取締役社長

株式会社バンタンで10年間、クリエイティブ系のスクール運営に従事。特に赤字に苦しむ飲食系スクールを立て直し、社内トップに導いた経験を持つ。その後、ヘッドハンティング会社で営業部長を務め、2022年に39歳でNOBORDERS株式会社を設立。建築領域に特化した人材紹介事業と、日本の空き家問題解決を目指す空き家再生事業の二本柱で、社会に新たな価値を提供している。

「日本から空き家を減らしたい」「建築業界を盛り上げたい」——。そう語るのは、NOBORDERS株式会社の代表取締役社長、北村裕一郎様です。人材紹介事業で地方を訪れた際に出会った「空き家」の衝撃から、社会課題解決への熱い思いを抱いた北村社長。しかし、その根底には、かつて会社員時代に経験した「スクール廃校危機」という大きな逆境と、そこで得た「本気」の哲学がありました。今回は、その半生を振り返りながら、ビジネスにおける「本気」の重要性、そして若者へのメッセージを伺いました。

廃校寸前の危機を「本気」で乗り越えた28歳の日々

──逆境経験について教えてください。

私が人生で最も大きな逆境に直面したのは、28歳の頃でした。当時勤めていた株式会社バンタンで、クリエイティブ系のスクール、特に飲食系の「レコールバンタン」の運営に携わっていました。しかし、私が配属された大阪校舎は、年間200人ほどの受講生がいるにもかかわらず赤字続き。入学者目標は未達、退学者は年間10人以上、就職率は50%と、散々な状況が数年続いていました。社内で最も業績の悪いスクールだったのです。

そんなある日、社長から「こんなに世の中から必要とされていない学校は存在する価値がない。廃校にする」と告げられました。当時の私たち社員は決してサボっていた訳ではありませんでした。毎日、終電まで働き、休みを返上して必死に頑張っていました。それなのに、努力が報われず、廃校を突きつけられたことに大きな衝撃を受けました。「マジか」という気持ちと同時に、これまで頑張ってきたことへの虚無感も感じました。しかし、ここで「やってやるよ」「もうやるしかない」という、ある種の吹っ切れた感情が生まれました。この時、真の「本気を出す」というスイッチが入ったのです。

「頑張る」と「本気を出す」の違いが未来を切り拓く

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

「頑張る」ことと「本気を出す」ことの違いを痛感したのが、このスクール廃校危機を乗り越えた経験でした。「頑張る」というのは、目の前の課題に全力で取り組み、言われたことをきちんとこなすこと。もちろんそれは大切ですが、時には「こんなに頑張っているのに」と、結果が出ないことや環境のせいにしがちです。しかし、「本気を出す」というのは、もっと大きな概念です。それは、数年先の未来を変えてやるという強い意志と、それを実現するための強烈なエネルギーだと私は捉えています。

廃校になると、学生たちの未来が閉ざされてしまう。その責任と、彼らの未来を守るためには、自分自身の「本気」が必要だと感じました。そこで、まず始めたのは、営業と運営間の連携強化でした。学生の不満の原因が、営業が語る夢と実際の教育内容の乖離にあると突き止め、営業が入学前に学生に伝えた約束事をすべて実行すると決めました。さらに、学校に批判的な発言をする先生たちを刷新。自分で当時のメディア記事やグルメ雑誌をみて、有名店に片っ端から電話をかけ、スクール方針や教育理念に共感してもらえるシェフを探し、新しい先生として招聘しました。全スタッフと一丸となって「この学校を絶対に潰さない」という一心で取り組んでいきました。

結果、わずか一年で、万年最下位だったスクールが社内トップの業績を達成したのです。今から15年ほど前、絶対的な人気を誇っていたグループ内のファッション系スクールさえも超える一種の革命的な結果を残すことができました。この経験を通じて、多責にせず、すべてを自分事として捉え、未来を変えるために「本気」を出すことの重要性を学びました。そして、「本気」のエネルギーは周囲を巻き込み、不可能を可能にする力があることを実感しました。

建築業界の「ボーダー」を越え、社会課題に挑む

──会社の強みや魅力について、教えてください。

NOBORDERS株式会社の強みは、建築領域に特化した専門性です。現在、建築領域に特化した人材紹介・支援事業と、建築従事者のたちと共に日本の空き家を減らすための空き家再生事業を二本柱として展開しています。そして11月からは、この空き家再生事業をさらに加速させるべく、不動産事業もスタートする予定です。

会社名である「NOBORDERS」には、「ボーダーを超えていく者たち」という意味が込められています。建築業界は慢性的な人手不足という課題を抱えています。この問題を解決するには、従来の建築会社や不動産会社だけが取り組むのではなく、多様な事業者や業種の方々が、建築領域や空き家問題に目を向け、新しい事業として関わっていく世界観が必要です。私たちはその「ボーダー」を越える架け橋となりたいと考えています。

空き家再生事業を始めたきっかけは、前職の人材紹介で富山県黒部市を訪れた際、綺麗な状態の空き家がほとんど人に住まわれていないという現状を目の当たりにしたことです。現在、自社でも鳥取県に20万円という驚きの価格で空き家物件を購入し、DIYでリノベーションを進めています。このDIYには、人材紹介でご縁のあった建築関係者や、私たちの活動に賛同してくれる仲間たちがボランティアで参加してくれています。彼らが「ここ、俺が作ったんやで」と語れるような、思い出と愛着が生まれるコミュニティを形成することも、私たちの重要な取り組みです。一軒目の物件は「経験と知識を蓄積するための実験の場」と捉え、二軒目、三軒目へと事業を加速させていく強力なツールと位置付けています。

若者へ、そして同年代へ「本気」を出すことの価値

──若者へのメッセージをお願いします。

若者の皆さんには、社会の中で一度「本気」を出してみてほしいと強く願っています。今の時代は、皆さんが頑張り、努力していることは重々承知しています。しかし、「頑張る」ことと「本気を出す」ことは違います。自分の未来を、数年先で良いから、変えてやるという「本気」のエネルギーを一度発揮してみてください。

本気を出すと、必ずそれを感じ取る人たちが周りに現れ、助けてくれます。たとえ失敗したとしても、本気を出したからこその対価は必ず得られます。効率化が重視される世の中ですが、「あの時、マジで本気出したな」と自分で言えるような経験は、何にも代えがたい財産になります。現状維持や安全地帯から一度飛び出し、仕事の枠に限らず、何事においても「本気」を出してみてください。そうすれば、きっと自分の人生や未来を自分でコントロールできるようになるはずです。

そして、私と同年代の40代の皆さんには、一度自分の力で会社や事業をやってみることをお勧めしたいです。私自身、社長になるつもりは全くありませんでしたが、前職で「もっとこうしたら良いのに」という思いが募り、それなら自分でやろうと独立を決意しました。会社員と経営者の間には大きな谷があるように見えますが、実際に飛び越えてみると「意外といける」と感じることも多いものです。もちろん大変なこともありますが、人生は一度きりです。リスクを伴う独立でなくても、副業やダブルワークからでも良いので、会社の看板ではない「自分」という存在を確立し、これまでの経験、知識、信用を発揮する場を設けてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。独立や副業がしやすい世の中になった今、きっと新たな発見と楽しさがあるはずです。私でもできたのですから、きっと皆さんもできると信じています。

NOBORDERS株式会社

設立 2023年1月6日
資本金 150万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 人材紹介事業(許可番号 27 – ユ – 304475)
空き家再生事業 戸建て住宅・マンション・店舗・オフィスのリノベーション
アウトソーシング事業の受託及び請負
ドローンによる撮影及び映像製作
URL https://noborders.site/ https://www.instagram.com/noborders.inc/ https://www.linkedin.com/in/noborderskitamura/
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