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【合同会社タケオプランニング 竹永 末雄】人生が激変した「コロナ禍」の出来事!業態転換と新規事業進出が活路に

2025/08/07

Profile

竹永 末雄

合同会社タケオプランニング 代表

高校卒業後不動産会社に勤務。複数の企業でキャリアアップを重ねた後、2011年に起業した竹永氏。独立当初は毎日10件以上飛び込み営業をこなしながら徐々に顧客との信頼を構築。現在は「不動産のよろず相談事」の窓口として確固たる地位を築かれています。その役割について「完全に裏方で地道だがやりがいに溢れている」と語ってくれました。

今回はそんな竹永氏に「コロナ禍という逆境」や「そこから得た教訓」そしてビジネスにおける「信念」などを伺いました。

病院の窓に向かって心の底から叫んだ、あのとき

──逆境経験について教えてください。

大変だったのは「コロナ禍」でしたね。本業である不動産事業は飛び込み営業がご法度な状況になり、賃貸仲介から売買仲介などにビジネスモデルを業態転換しました。そして「冷凍食品専門店」というまったくの未経験だった新規事業への進出を決意。冷凍食品を食べる機会がプライベートで急激に増えたため色々試したのですが、当時は「こだわった美味しい冷凍食品のお店」がないことに気づいたのです。そこにビジネスチャンスを感じて動き出したのですが「熱意はわかるけど本当にできるのか?」という疑念を呈されることが続く状況でした。今でも覚えているのが冷凍野菜を作っている農家の方に電話したときにおっしゃっていた「大事に想いを込めて生産している。それを的確に扱うことができますか?」という言葉でした。

「その通りだ」と受け止め、冷凍食品の業界専門紙などを購読し徹底して勉強を重ねました。そんな折私自身がコロナに罹患。40度ほどの高温が3週間ほど続き気力がなくなっていく中で「これは死の直前だな」と悟った感覚になり、家族に「これまでありがとう」とお別れの電話をしたことを覚えています。

ただ新規事業の件も含めてまだまだやり残したことがあったので、病院の窓に向かって「死ぬのは嫌だ」と心の底から叫んだのです。すると、まるで嘘のように次の日から熱が下がり、退院することができました。その経験で死生観が変わったことと、もともとの負けず嫌いな性格が重なり「何もまだ決まっていない状態で店舗を借りる」という決断を下します。

そこでも逆境がありました。コロナ禍で大家さんが慎重になっているご時世だったので、「貸し渋り」があったのです。3件断られてようやく4件目でご縁ができて何とか借りることができました。しかし、仕入れ先もまだゼロのままです。そこでこれまで連絡を取っていた方々に電話をすると、ある会社の社長が「店舗を構えるのは本気だという証拠ですね」と秋風を送ってくれました。そこからメディアで冷凍食品が取り上げられるなど、ブームが起こったことが追い風になり、経営を軌道に乗せることができたのです。

真摯に向き合い「決して嘘をつかない」ことを徹底する

──逆境から得られた教訓はどんなことでしょうか?

「地道にコツコツと真面目に商売をする」という信念が正しかったことを改めて再認識しました。不動産業で私が愚直に続けてきたことは、「真摯に向き合い決して嘘をつかない」というシンプルなことです。その積み重ねがお客様からの信頼につながるのです。そのためにはお金儲けだけに走ることなく、ときにはお客様のために「それは違います」とハッキリと告げることも必要だと信じて実行しています。たとえ当社の報酬がゼロになるようなことがあってもそれを貫いていますね。この理念は京セラの創業者である稲盛和夫さんの書籍などから学んだことです。「能力×熱意×考え方」が大切であり、ポジティブに考えることで物事はプラスの乗算になります。そして「利他の精神」は生きる指針のひとつです。

新規事業の「冷凍食品専門店」の立ち上げから得られた教訓は決して諦めないことです。そしてテクニカルなところでは美味しさを損なわないための取り扱いの仕方を学びました。加えて一つひとつ「何月何日までが賞味期限か?」を丁寧に書くということです。これはお客様からの声を取り入れて行うようになりました。そして、廃棄することがないように、期限が近づいたものは安くしてなるべく売り切るという方針をとっています。利益の追求だけを目指すなら詳細な日にちは記載せずに「何月まで」で良いのでしょうが当社ではこうした点でも正直さを重視しています。

幼少期の苦境は自分の中の根本に流れています。貧困と悲惨さを伴う経験をし当時は「毎日、暗い穴に落ちる夢をみる」というほど追い込まれていました。子ども時代は大人と違って逃げ道がありません。そのため「あの頃と比べれば今はなんてことはない」という気持ちは強くあります。また、もともとポジティブだった私の考え方に、コロナに罹患して生還したことで「悔いのない人生を送る」という死生観が加わり、さらに強化されました。

信頼を積み重ねた結果「不動産のよろず相談事」の窓口に

──会社の強みについてお聞かせください。

強みとしては、お客様から最初に相談していただける存在になれたということです。例えば「所有する土地の前の道路を確保したい。何とかならないだろうか?」という悩みの場合、その周辺の所有者のもとに足を運んで交渉します。もともと当社は「不動産のよろず相談事の窓口になりたい」という想いから設立した会社です。「最初の10年間は利益にならなくても、お客様のためだけに働こう」と心に決めました。そのためにも実績が必要であり、起業したての頃は、毎日10件以上の飛び込み営業をしていました。そのときの下積みが今の信用につながっています。

「よろず相談事の窓口」を目指した理由は、組織に属しているとどうしても「自分がやりたいことと、会社の方針にズレが生じてしまう」というジレンマをずっと抱えてきたからです。それを解決するには独立しかありませんでした。真にお客様のためだけに動く会社が当社です。ちなみに今まで勤めてきた会社とは良好な関係が構築されており、今でもお付き合いがありますよ。

幼少期の苦境があるので「苦しんでいる人を助けたい」というのが、心の根っこの部分にあると思います。もちろん自助努力がない人はどうしようもありませんが、何とかしたいと思っている方には、手を差し伸べたいです。そのためには、ときとして耳の痛いことをしっかりと伝えたり、当社の利益にならない判断を下したりすることもあります。そういう意味で少し変わった不動産屋だと思いますね(笑)。

ただ、おかげさまで独立から13年以上経った今では、思い描いた通りの会社になっています。今では口コミでのお問い合わせやお客様からの紹介は数知れません。これからも大小に関わらず、真摯なお付き合いを続けていきます。

「面白そうなもの」を追いかけてみよう

──若者へのメッセージをお願いします。

「やりたいことに挑み続けよう」「好きなことをやって欲しい」ということです。第一歩は難しいと思いますが、まずは踏み出してみましょう。そして、精一杯やってみた上で違うと思えば別の道に方向転換すればいいのです。挑戦に対して、大人が壁になることがあるかも知れませんが、自分の大事な人生なので己を貫いてください。そして、自分を信じて突き進んでいると誰かにその本気度が伝わり、応援してくれるものです。

また、「やりたいことが見つからない」という方も多いと思います。私自身も高校卒業後にフリーターをして将来が見定まらずにフラフラとしていた時期がありました。そこで、たまたま入社したのが不動産の会社で、その社長の営業の凄腕ぶりに私の「負けず嫌い」に火が付いて「社長を超えたい」とがむしゃらに頑張ったことがあります。結局その背中は大きすぎましたが、スキルアップにつながったことと「不動産の仕事は嫌いじゃないな」という気付きはや30年経ちました。

そうした経験から言えることは「とりあえず、何でもいいからやってみること」です。見つかればその道に進めばいいですし、違うと感じれば他の道があなたを待っています。これまで生きてきた中で楽しかったことが何かしらあるはずです。まずはそれに着手してみましょう。そのためには、周りのフォローや環境が大切だと切実に感じています。私も社会人の一員として、「若い人がチャレンジできる環境づくり」という役割を果たしたいと思います。

合同会社タケオプランニング

設立 2011年12月1日
資本金 3,000,000円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 店舗・商業施設の企画・開発業務
事業用不動産の売買仲介業務
コインパーキングの企画・開発業務
小売業(冷凍食品専門店)
URL http://takeoplan.co.jp/ https://reco-japan.com/
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