生と死の狭間を越え、過去と決別した20歳。
──逆境経験について教えてください。
ビジネスを始める前の19歳のとき、「人格そのものを180度変える」という経験をしました。当時、極度の精神的な辛さを抱えており、「生きるか死ぬか」レベルまで自分を突き詰め、「別の人格へと生まれ変わった」という出来事があります。それまでの自分はとにかく人目を気にし過ぎることで自分を追い込んでしまうタイプでした。しかし、精神論に関する書籍を6冊ほど購入し、その中に「人の評価は関係ない」という文言を見つけ、その言葉を半年間ひたすら脳に叩き込み、ある種の“自己暗示”をすることで過去の自分と決別。「何かを恐れることはない」という無敵のメンタルを構築するに至りました。
ビジネスをスタートした後の逆境は、店舗拡大のため、東京進出に向けて活動していたときのエピソードがあります。その際、大阪の拠点を当時の幹部に任せていたのですが、なんと初めて赤字へ転落。冷静に判断すると、既存店舗の半分を売却しなければ、経営を立て直すことは難しい状況でした。しかし、関西に戻って立て直しに奔走した結果、1店舗も売ることなく現在も6店舗を運営しています。その後、「コンセプトカフェは属人性が高いビジネスモデル」であり、自社で店舗拡大をしていくのは難しいと判断。「新規事業を立ち上げ、ビジネスをスケールする」という経営戦略に切り替えました。
逆境を乗り越えた方法は、人事の変更、そして自ら現場で陣頭指揮を執ることでした。すると「違和感のあった状態から、しっくり来る感覚」へ変化。売上も過去と比較して、2.5倍を達成しました。その経験で気付かされたのは「適材適所」ということでした。管理者であるマネージャーの仕事は、お店で働く「女性スタッフのモチベーションを向上させること」です。そのためには「自分自身が目立ちたい」というベクトルから脱却する必要があります。その視点を持つ人材を幹部に配置することが、関わる全ての方の幸せに繋がると改めて認識しました。

「自分を変える」ことで、組織を変革。陣頭指揮で売上を2.5倍に。
──逆境があったからこそ得られた教訓などはありましたか?
「人格を180度変える」という出来事以前の私は、頭のほとんどが“人間関係の大変さ”で占められていました。そこに煩わされることが全くなくなったことで、一心不乱に仕事に打ち込めるようになりました。たとえるなら営業職であれば、「お客様を獲得する」ことがミッションであり、「上司や同僚からどう思われるか?」は、関係ないはずです。しかし、現実は「周りの目が気になる」という方がほとんどではないでしょうか。人の目さえ気にならなくなれば、無駄なノイズに惑わされることなく、本来やるべきことに没頭することができるようになるのです。
また、「視座を高める」ことも大切です。多くの人は生きていく過程で、世の中のあらゆることに執着し囚われています。しかし、一歩下がって上から物事を見渡すと、物質界で起こるほとんどの出来事は大したことではないことに気付きます。私の場合は、人格を変える過程で「生と死の淵」を彷徨い、端的に言えば「この世界の成り立ち」という極地に辿り着きました。そして、「色んな体験をしたいために物質世界へやってきたんだ」という、達観した視座で世界を眺められるようになりました。
ビジネスにおける逆境から学んだことは、「拡大を目指すために、良くも悪くも自分自身のエゴが強かった」「そんな自分と同じようなタイプで、周りを固めてしまっていた」という気付きです。事業を立て直すためにやったことは人事の入れ替えでしたが、それと並行して毎日瞑想を行い、自分を見つめ直していました。すると「エゴが強いままでは、同じことを繰り返す」ことを悟り、組織のマイナス要素を消すための努力をしました。「マウントをとりがちだった運営」を改善するために、組織体制を大きく変更。しかしそれは本質的な話ではなく、あくまでも「自分を変える」ことで抜本的な改革へと踏み切ったのです。すると組織が安定し、女性スタッフのエンゲージメントも向上しました。

自由と進取性を組織で追求し、最先端のビジネスに挑戦。
──会社の強みや魅力についてお聞かせください。
1つ目は「自由」です。もちろん自己責任はセットですが、「結果さえ出していて、かつ基本的なルールを守っていれば、自由がある」という社風になります。その社風がスタッフの自発性向上に繋がっています。2つ目が「新規事業の立ち上げなど、チャレンジを続けている」という成長性でしょうか。企業という組織に属するメリットとして、「正社員でいれる」「安定している」という考え方がありますが、それはもう時代遅れです。組織の最大の利点は「自分の1のパワーを、10にも100にもできる」ところであり、「挑戦したい」という方にとって魅力的な会社だと思います。
3つ目は「時代の変わり目の好機を取り入れる、進取性」です。AIが到来した現在、社会は大きな節目を迎えています。1990年代後半に「ITバブル」が勃興しましたが、AIではそれ以上のことが今後起こります。その「誰にでも訪れている、目の前にあるビジネスチャンス」を活かすために、組織として邁進中です。事業としては、「コンセプトカフェ」「ライブ配信/ライブコマース事務所」「AIを活用したアプリやシステム開発」「クリエイティブ制作」を多角的に展開。加えて他社の顧問も務めており、高いシナジー効果を生み出しています。
特に力を入れて立ち上げている新規事業が、医療・美容・農業・AIなど多数の事業コミュニティが参画するBusiness HUB『Deal Den』です。Web3.0の「シェア」の概念を土台として、「各コミュニティをシェアし、集合体として横断的にサポートする」という既存のやり方とは一線を画すビジネスモデルであり、世界各国合わせて「10,000コミュニティの参画」を目指しています。
激動の時代の今こそ、自分と向き合い「やりたいこと」をやろう!
──若者へのメッセージをお願いします
AIの著しい開発競争など時代の過渡期にある現在は、目指している自分になるためのチャンスに溢れています。まずは「何になりたいのか?」を明確化し、行動することで願いを叶えることができるでしょう。ただし、一口に「行動する」といっても、環境を変えて新しい世界へ一歩踏み出すことは勇気もいるし、人によっては難しいことだと思います。そんなときは、「遊園地のアトラクションを体験する」という感覚で動くのがオススメです。多くの人は目標を達成するために「行動をしなければならない」と思いがちです。しかし、「◯◯しなければならない」と思えば思うほど、行動力は減少していきます。乗りたい遊園地のアトラクションを待っている時って早く体験したくてワクワクしませんか。ワクワクすれば身体は勝手に動きます。「いつの間にか行動をしていた」の状態になるためのオススメの考え方が「行動する」ではなく、「体験する」という考え方なのです。
また、何をするにもわからないことがあれば、これまでは人間のメンターが必要でしたが、今はAIが答えてくれる時代です。苦手な人から、「嫌々何かを教わる」必要はありません。「好きな人とだけ一緒に仕事をする」「好きな環境で仕事をする」「やりたい仕事をする」そういったことが可能になっていく時代なのです。
だからこそ、「やりたいことが見つからずモヤモヤしている」という方へ最後にアドバイスさせてください。もし、その気持ちが湧き出ているということは「現状に満足していない証拠」なのです。「今が最高」ならモヤモヤなどなく、幸せな日々を過ごすことができているでしょう。しかし、「何かしらやりたいことがあるのに、できていない」のであれば、心の奥の“わだかまり”のようなものが頭をもたげてきます。まずは自分に真剣に向き合う時間を作り、「何をしたいのか?」を紙に書き出すことからスタートしてみてください。半年間ほど毎日書き出してみると、思考はどんどんクリアになり、「自分は本当は何がやりたいのか?」「何のために生まれてきたのか?」の答えにきっとたどり着くことができます。