挫折や逆境を味わうも、敢えて厳しい環境に飛び込み自らを鍛える。
──逆境経験について教えてください。
人生で最も大きな挫折は専門学校生のときに、「社会人野球選手になる夢」を諦めざるをえなかった出来事です。事故に巻き込まれて全治半年という大きな怪我を負ってしまったり、年に1度の日本選手権予選前にで筋断裂に襲われたり…といった不運が重なりました。青春時代のすべてを注ぎ込んでいたので、「選手になれない現実」に打ちひしがれた記憶が脳裏に焼き付いています。その後、就職して社員として働くことになるのですが、同じ年齢のアルバイトの学生たちから「テレビ局の会社説明会に行ってきた」「今日は証券会社の面接だった」といった、きらびやかな就活の話が出るたびに、「選手として脚光を浴びる未来があったかも知れないのに…」という、劣等感にさいなまれるような逆境経験がありました。
そこで一念発起し、アスリートの転職を専門にサポートしているエージェントに登録。建築会社を紹介してもらい、2年ほど営業のキャリアを積みました。その会社には非常にお世話になり、今でも交流が続いています。また、会社員をしているとき「もっと上のステージに挑戦したい」という気持ちが湧き上がってきました。そこで経営やマーケティングなどをスクールで学び、「ECサイトでアパレル販売」のスモールビジネスを立ち上げました。しかし勉強と実践は大違いで、赤字に。マイナスは20万円ほどでしたが、22歳の私には辛い経験でした。
その後SNS運用事業に挑戦するも、失敗に終わるという再度の挫折を味わいました。しかし「自分のように、逆境経験を持つ人が輝けるようなサービスを仕掛けられないだろうか?」という、今のビジネスの種となる発想が湧き出てきたのです。その頃、経営者の先輩たちに会いに行って教えを請うという日々を送っていたのですが、中でも全幅の信頼を置いている先輩にアイデアを伝えて相談しました。すると人材サービスの社長を紹介してくださったのですが、その社長から「甘い世界じゃないよ」という、キツイ一言をいただきました(笑)。
ただ、当時の私は「自分には厳しい言葉や環境が必要だ」と肌身で感じていたフェーズだったので、その社長に熱意を持ってアプローチしたところ、業務委託のパートナーになることができたのです。そこから“順風満帆”だとカッコいいのですが、最初の成約に至るまでに2つの季節を跨ぐほど時間がかかってしまったので、「スキル不足」を実感するという試練を味わいました。
スポーツと経営に共通するのは、「愚直に一つのことに集中する」こと。
──逆境があったからこそ得られた教訓や学びについて、お聞かせください。
まずはシンプルに、「愚直に一つのことに集中すれば、突き抜けることができる」ということです。これはスポーツでも経営にも、共通する原則だと気づかされました。私が野球に打ち込んでいたときに実力を向上させる方法は、「ひたすら、誰よりも練習すること」でした。「効率よく短時間に」という頭脳派もいましたが、私は時間を費やすことで「レギュラーを獲得する」などの成果をもぎとっていったのです。もちろん、スポーツも経営も「努力=必ず成功」というほど甘い世界ではありませんが、努力が無ければスタートラインに立つことすらできず、望んでいる結果を得ることはできません。
あとは「腹を括ること」の大切さですね。ECサイトやSNS運用の事業での失敗を経て、人材サービスに挑戦するとき「このビジネスで1年努力して成功に届かなければ、経営者の道はきっぱり諦めよう」と退路を絶って望みました。経営者になった今では「損切りラインを冷徹に定めること」の重要さを意識していますが、チャレンジャーの立場であるにも関わらず“ダメだったときのことをあれこれ考える”のは覚悟が足りない証拠です。また、撤退したビジネスにおいても「会社が終わったら、夕方から飛び込み営業」「土日のプライベートもすべて注ぎ込む」という努力を重ねてきたので、そこで育まれたハングリー精神は、今に活きていると感じます。
──経営者として全力疾走されている「原動力」は何でしょうか?
うちはシングルマザーなのですが、本当に愛情を注いで育ててもらいました。そして少年期から専門学校卒業に至るまで野球漬けの生活を送っていたので、金銭的に苦労をかけたと思っています。社会人になってからは挫折や逆境を糧にして起業し、周りの協力のおかげで二期目に入りました。まだまだこれからというフェーズですが、「母親への恩返し」という気持ちが、自分の中で最大の“原動力”になっています。

コーチングの要素も取り入れ、徹底して求職者様に寄り添う強み。
──会社の強みや特徴を教えてください。
強みとしては、徹底して求職者様に寄り添い、本質的な転職支援を行なっている点になります。求職者様と本音ベースでコミュニケーションを図ることで、良いところを引き出すのはもちろんのこと、耳が痛い内容もしっかりと伝えます。そして丁寧な自己分析やコーチングの要素も取り入れることで、一緒にキャリアビジョンを明確にし、的確なサポートを実行しています。極端な言い方をすると、「求職者様の希望」を起点に「それが叶うクライアント様を探し出して営業に伺う」というスタンスです。
求職者様への価値提供に努めてきた結果、「思い描いていた会社に巡り会うことができました」という喜びと満足の声を数多くいただいています。おかげさまで「ぜひ、友人も紹介したいです」という要望が絶えず寄せられており、ビジネスとしてグッドスパイラルが連鎖しています。就職後も求職者の方と、末永いお付き合いが続いていることも特徴です。当社を頼ってくださる求職者様のタイプとしては、業種や職種を問わず「ポテンシャルは最高。あとは経験してスキルアップするだけ」という若手の方が多いですね。
クライアント様からは「母集団形成」などに費用をかけることなく、「求めている人材を、ピンポイントでご紹介する点」に高い評価をいただいています。事前に本気で求職者様と向き合い、志向性などを熟知した上で転職をご支援しているため、入社後のミスマッチや短期離職が極めて少ないという実績につながっています。
まずは自分の“根源”を見つけ出そう。そして、磨き続けよう。
──若者へのメッセージをお願いします。
仕事に対して「キラキラしてそう」「苦労せずに高収入」といった、表面的なところで安易に選ぶのではなく、まずは自分の中にある“根源”を見つけ出すことから始めて欲しいと思います。すると、自分の中にある人生哲学にたどりつくことができ、自ずと「何のために働くのか?」が導き出されます。その上で「どんなキャリアを築きたいか?」を考えて行動すると、自分らしい豊かな生活を手に入れることができるのではないでしょうか。
ただ、「“根源”を探り当てるなんて、難しい」と感じる方もいるでしょう。そんなときには、過去を振り返ってどんな些細なことでもいいので「喜びや達成感を感じたこと」や、逆に「悔しかったこと」を思い出してください。たとえば「挫折」という感覚は人それぞれ違いますが、多かれ少なかれ誰しも味わったことがあるはずです。そのときの「何故か?」を深堀りしてみてください。そこに、自分のこだわりや、本気になれる瞬間のヒントが隠れています。
ちなみに、当社では求職者様の「やりがい」を重視した転職支援を行なっているのですが、面白いことに「やりがい」は4つの項目に定義分けすることができます。1つ目は「後輩に物事を教えて成長した」「与えることで自分の存在価値を感じる」という、他者貢献型。2つ目は「役職に付きたい」「キャプテンとして指揮をとりたい」といった、ステータス承認型。3つ目は、「設定した課題などをクリアするのが楽しい」という、目標達成型。4つ目が、「スキルアップや学習による成果を味わいたい」という、自己成長型です。
自分が大事にしている「価値観」を見極めることができれば、ストレスを受けるようなことがあっても「土台となるやりがい」があるので、頑張ることができます。実は「自分の強みを活かし、適度なプレッシャーのある環境が、最も継続力と幸福感が高い」といったデータも存在します。“根源”を軸に、自分だけのエッジを磨き続けましょう。