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【株式会社IDEAL 小林 奈紗】「やりたいこと」で起業へ。逆境で培われたスキルやマインドが活きる。

2025/03/17

Profile

小林 奈紗

株式会社IDEAL 代表取締役

大学卒業後、起業家を数多く輩出するグローバルテックグループに就職。人材領域に携わり、全国3年連続トップという輝かしい成績を残した後、独立された小林さん。現在は動画制作やSNS運用、内製化支援などを手がけるIDEAL社の代表として、会社を切り盛りされています。現在は経営に注力されている小林さんですが、当初は起業する予定はなかったそう。しかし副業で始めたビジネスが順調に推移し、会社員と同等の収入になったタイミングで組織化を決断し、法人化に至ります。

今回は、順風満帆なキャリアを歩まれているように見える小林さんに、実はその裏で経験されていた逆境やそこから得られた教訓などについて伺いました。

法人化前夜に感じた、「このままでは頭打ち…」という苦悩。

──逆境経験について教えてください。

学生時代にコミュニケーション能力に自信がなかったことから、「就活で苦戦するかも知れない」と考え、とにかく足で稼ぐ方針を立てました。そこで100件以上の会社説明会を受けるなど人一倍行動した結果、5社ほどから内定をいただくことに。そのうちの1社が前職のグローバルテックグループの一角である人材領域の企業で、「大手企業で社会人としての基礎力と、コミュニケーション力を身につけたい」と入社を決めました。

社会人になってから感じた逆境は大きく2つあり、1つ目が入社1年目になります。そのときは営業担当だったのですが、思うように成績が伸びず、上司から叱咤激励を受けて悩む日々でした。もちろん、今にして思うと当時の自分が未熟で上司の言動が正しく、その経験がビジネスパーソンとしてのスキル向上につながっていることが分かります。しかし、当時は「言われている内容が理解できない」「何をやっても褒められない」といった沼にハマっていくような感覚で、何回も辞めようと思うほど心が折れそうになりました。

2回目の逆境が、現在の動画制作事業を法人化する直前の時期です。もともと小学生の時にHPをHTMLでタグ打ちして制作する面白さに目覚めるなど、クリエイティブなことに興味がありました。そこで「自分で稼ぐ力を得よう」「手に職を付けよう」と、動画制作を副業として始めたのです。会社員と子育てと動画編集という複数のタスクを掛け持ちするのは大変でしたが、「自分のやりたいことが出来ている」「自らが生み出した価値で、報酬を得る楽しさ」の方が勝っていたので、辛さはありませんでした。

逆境を感じたのは「営業から制作までを、1人で請け負う限界点」に突き当たったときです。リソースが足りなくなり、危機感とともに組織化の必要性を意識しました。そこで夫に「このままでは、頭打ちになってしまう」と私が逆境に直面していることを相談したところ、「夫は営業、私は動画制作、それぞれの専門分野で力を発揮する」ことになり、法人化を決断しました。

反骨精神から生まれた、全国トップの成績とチームワークの喜び。

──逆境から得た教訓や学びについてお聞かせください。

社会人1年目の逆境では、営業として働くうえでの基礎的な能力を鍛えてもらったと思います。コミュニケーション力など自信がなかったところも、日々の業務のなかで徐々に培われていきました。また、叱咤激励は私の反骨精神に火が灯り、2年目以降に営業からキャリアチェンジしたコーディネーター職で「全国3年連続トップ」という成績へと昇華されたと思います。

ただ、これは自分の力だけで成し遂げたわけではなく、チームワークで周りに支えられたおかげです。この「強固なチームワークで物事を進めることの喜び」も、逆境があったからこそ得られた教訓だと思います。コーディネーター職では営業、求職者、クライアントの間に立って調整をしながら、スピード感を持って早期に意思決定することの重要性を学びました。

起業の局面では、周りから独立のリスクに関するアドバイスをたくさんいただきました。しかし、会社員の給与と同等の金額を副業で得るという実績があること、普段から夫婦で私の事業について話し合うなかで「営業に強い夫が参画してくれれば、成功する」という確証や信頼があったので、思い切って起業を決断。その結果、組織化が進み、ビジネスは一気に加速しました。例えば以前は、「もっと営業を行っていきたいが、リソースが足りない」という課題がありましたが、今は夫がXを駆使して数多くの案件を獲得しています。制作は、今は動画編集者やSNS運用の専門家たちとアライアンスを組んで推進する体制を整え、私自身は経営に専念しています。

あと、副業を始めたときは、いくつものワラジを履いた状態で複数の物事を展開していたので、「タイムマネジメントの精度」や「的確な優先順位の付け方」といったスキルが強化されました。子どもを寝かしつけた後の22時から夜中までを、動画編集の時間に。クリエイティブ能力を磨くためにスキマ時間を活用して勉強していた日々は、今となっては良い思い出です。

大手の1/3の価格で、ハイクオリティ。動画1本から対応。

──会社の強みや魅力について教えてください。

大きくわけて、3つの強みがあります。まず、「大手の1/3」の価格帯です。PRに大きな予算をかけられないような中小企業のクライアントの「試しに挑戦してみたい」という思いに応えることができます。もちろん質にもこだわり抜き、リピーター率は93%です。2つ目が、「ロット案件への対応」になります。制作チームがあるので「50本を受注」という場合でも、スムーズかつ納期も柔軟に応じられる体制です。

そして3つ目がパッケージ販売ではなく、「動画1本」や「SNSの運用代行を1ヶ月」といった単位で、個別に承っているところになります。低コストでスタートできるため、「今の時代に合わせた手法を試したいが、知見がない」という企業様から、気軽に始められると好評です。また、「1ヶ月単位で運用をお願いしたが、内製化したい」という依頼をいただいた場合にはコンサル契約に切り替え、ノウハウを提供しながら伴走型でご支援します。

今後の目標は、クライアントの組織内に「動画編集」「SNS運用」のスキルを持つ人材を育成するサービスの拡充です。既に助成金を活用したリスキリング講座として手がけている事業ですが、さらに加速させていく計画です。また、現在はtoBビジネスがメインですが、女性を応援する「toC」の分野にも進出したいと考えています。これは、私が副業としてビジネスを立ち上げたときに「やってみたい」「でも、行動できない」という声に数多く触れ、潜在的なニーズを実感したことがきっかけです。

とりあえず一歩踏み出そう。動き出すことで、世界が変わりだす。

──若者へのメッセージをお願いします。

学生時代、私は自己肯定感が低い状態で毎日を過ごしていました。そんな自分が、15年後に起業するなんて、当時は全くイメージしていませんでした。人生でステージやライフスタイルが移りゆくに従って、好きなことや志向性なども変化していきます。そんな中で、「やりたいこと」を探し続けて挑戦していくうちに、自己実現につながるのではないでしょうか。

私が副業で動画編集をしていたとき、「どうやって始めればいいのですか?」と質問する声はたくさんありましたが、「私もやってみます」という話はありませんでした。決断して行動しなければ、成果を得ることはできません。まずは、少しでも興味があることに一歩踏み出してみませんか。すると世界が変わり始めます。

ただ、「やりたいことが見つからない」という若い方も多いと思います。かくいう私自身も、やりたいことを見つけるのは得意ではありません。だからこそ、「とりあえずやってみる」ことが大切だと考えています。私の場合だと、学生時代に飲食店や塾講師、イベントスタッフなど多種多様な業態や職種のアルバイトを経験しました。実際に体験することで、好き嫌いや得手不得手が把握できるようになり、視野が広がっていきます。ぜひ思い切って一歩踏み出してみてください。

株式会社IDEAL

設立 2024年8月
資本金 100万円
売上高 非公開
従業員数 35名 業務委託含む
事業内容 動画制作・SNS運用代行・内製化支援
URL https://marke-ideal.com/
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