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【株式会社REOL 上堀 元太】業界に革命を。「人を救う」というミッションを、理学療法士として追求。

2025/02/14

Profile

上堀 元太

株式会社REOL 代表取締役CEO

野球に情熱を燃やす学生時代を過ごし、高校1年生のときに将来の進路として「スポーツに関わり、人を救う仕事」の理学療法士に興味を持ったという上堀氏。その後、専門学校で学び、理学療法士に。病院勤務と訪問介護を経験後、世間や業界への危機感をもち、「世の中の意識を変え、社会課題を解決したい」と独立し、個人事業主を経て株式会社REOLを設立する。

今回は現役の理学療法士で起業家である上堀氏に、逆境経験や独立から得た教訓、会社の魅力などを伺いました。

思い通りにならなかった経験が、起業の原点に。

──逆境経験について教えてください。

過去を振り返ると、自分のバックグランドとして「劣等感の塊」といえる時期があったことを思い出します。私は男3人兄弟の真ん中なのですが、兄が勉強ができるタイプで小さい頃は「お兄ちゃんは優秀なのに」という言われ方をしていました。また、小学校から野球に打ち込んでいたのですが、父親が戦績に非常に厳しく、三打席三振で帰ろうものなら怒られるような家庭環境でした(笑)。次に理学療法士になって就職したとき、望んでいた「病院」ではなく新人としてはほとんどないとされていた「訪問リハビリ」に配属になったのです。

ちなみに、訪問リハビリの経験は、後に「起業する原点」にもなるほど、貴重な体験になり、多くを学ばせていただきました。ただ、当初は病院で働きたい気持ちが強く、逆境を感じました。そこでは上司の業務も積極的に取りに行き、認めてもらうためにがむしゃらに頑張ることにしたのです。その働きが評価されて、役職を任せてもらったり、念願の病院勤務が叶ったりして、トータル7年ほど勤めていました。

ただ、そんな中で「人を救う」ことへの喜びから、「この仕事で、起業したい!」という志を抱くようになったのです。そこで、訪問看護ステーションで経営の修行を積ませてもらいつつ、会社員と並行してまずは個人事業主として独立。そこで自分のやりたいことが明確になり、昨年会社法人を設立しました。

独立後の苦労は、セミナーの反応や営業活動の際に「理学療法士」という存在が、一般の人たちに知られていないことを痛感した出来事があります。また、最初は対個人に向けて、姿勢改善や動作指導などをしていたのですが、保険が使える整体などと比較すると高額になってしまうこともあって、よっぽど自分の体や健康に興味がある方以外にとってはハードルが高く、難しい門出でした。そこでtoCからtoBをメインに据えたビジネスモデルへの転換を決意。ただし「理学療法士のことを、世の中に広めていく」「理学療法士として、人を救う」という、起業したときの理念はずっと変わっていません。

コンプレックスをバネにして磨かれた、思考力と行動力。

──逆境を乗り越えた方法や、得られた教訓はありますか?

少年期に感じた「劣等感」は、「周りよりも思考を研ぎ澄まし、言われる前に行動する」という行動様式につながりました。常にケーススタディを考え、準備を欠かさないようになったのはその頃の体験のおかげです。今は会社を立ち上げてすぐの時期なので、自社サービスをプレゼンする機会が自然と多くなりますが、そんなときにこれまでの経験から「どういうワードが刺さり、響くのか?」などを事前にリサーチしておいて、毎回違う言葉で伝えるようにしています。また、どんなところからも「今の課題に紐づけて、戦略を練る」というスタンスが培われました。当社の現在の課題は新規顧客の開拓ですが、これまでの経験が役立っています。

また、独立したことで得られた教訓としては「自分で意思決定を行い、決めたビジネス領域を追求できる」ということです。大変でリスクもありますが、それ以上にやりがいがあります。例えばセミナーなどを通じて「理学療法士」のことを世の中に発信できることもそうですし、経営者同士の集まりに参加した後などに「従業員のヘルスケアのために、何をしたらいいでしょう?」という質問を受けて悩みを解決したり、ビジネスへと発展して多くの方の健康増進に貢献したりできるのは、経営者になったからこその醍醐味だと思います。

そして、先述した「人を救う」ことへの喜びの話ですが、理学療法士になってから、仕事に関係なく「体の困りごとを解決する」のが好きでした。解剖学や運動学、生理学を学んで医学的視点を習得するなかで、「救いたい」というその気持ちがさらに高まったのです。これは「訪問看護」をしていたときに、高齢者やそのご家族から「ありがとう」の言葉を継続してもらえたことが大きなきっかけの一つになっています。病院の場合は、治療が目的なのでリハビリを経て退院後はそれで終わりですが、訪問看護はお付き合いが継続するため、理学療法士として奥深い醍醐味があるのです。この「なんとかしてあげたい」という気持ちは年々強くなっているのを感じます。

国家資格を持つ専門家が、独自の知見で健康をサポート。

──会社の強みや魅力について、お聞かせください。

当社の強みは健康経営を、「理学療法士という専門家」が伴走して支援するというモデルであり、医学的見地に基づいて課題を抽出した上で解決へと導くことができます。補足すると、実際の医療現場の中で「どうしても超えられない壁」を実地で経験してきた当社だからこそ「独自の知見」を有していることも特色です。

事業内容としては、大きく分けて4つになります。1つは企業向けの健康経営支援「サポタス」というサービスでは、アンケート調査からその企業における「労働損失」を数値化。金額で示すことで企業が従業員の健康経営に取り組む意味を提示します。そこで挙がった健康課題を理学療法士が伴走することで解決し、生産性向上や企業価値の向上を目指していくサービス。その中で姿勢や歩き方の指導も行っています。

次に子どもたちに向けて体の使い方などを教える「カラダの授業」を展開。低学年に対しては、遊びを交えて運動の仕方などをレクチャーし、高学年になると「将来的に気をつけるべきところ」なども伝えるようにしています。さらに教員や親御さんにも、必要な知識を届ける講座を開催しています。

3つ目は「MEDICAL AGENT」という領域になります。これは、第三者機関を創設することで「リハビリ医療における、代理人制度」を確立し、自分が望んでいる治療を受けられるようにすることを目的としています。各所との調整が難しい分野なのですが、目下さまざまなところに働きかけている最中です。また、当社では「理学療法士がもっと自分の仕事に自信と気概を抱き、やりがいを持って働ける環境を作りたい」という希望を追求しています。そのほかにも、「健康寿命を延ばす」ための取り組みとしてパートナー企業と協業して、スマートウォッチとAIを駆使した「AIによる健康見守り」もしています。

現状に文句を言っても、何も変わらない。だったら、行動に移そう!

──若者へのメッセージをお願いします。

「今ある環境にいくら文句を言っても始まらない。だったら、自分ができることを考えて行動すること」をオススメします。今の自分という存在は、過去の自分の選択の上に成り立っています。愚痴を言ったり、誰かに責任転嫁して自分を正当化したりすることは「楽」かもしれませんが、何の解決にもなりません。例えば「ブラック企業で、しんどい思いをしている」場合、その会社を“辞めないという選択”をしているのは、自分自身なのです。かくゆう私自身も、「業界の制度や仕組みが悪い」と環境のせいにしている時期がありました。しかし、嘆いているだけでは前には進めません。

周りと同じことをしていると、「安心感」があります。しかし、「何かを成し遂げたい」という志があるなら、人と違うことをしなければ勝ち取ることはできません。それにはリスクや恐怖が伴いますが、ほかでは得られないような「人生の楽しさ」も待っているのです。

僕が好きな言葉で、ファッションブランド「#FR2」創設者の石川涼氏の「俺はやるけどお前はどうする?」というフレーズがあるのですが、思い出す度に自分の行動を問われているような感覚に陥ります。結局のところ、「やるかやらないか」で将来が決まるように思うのです。若いうちは「年齢を重ねた後の自分の姿」を把握することは難しいでしょう。しかし、私は高齢の人生の先輩たちと、数多く接してきました。そして「若いときに苦労し、挑戦してきた方たちは豊かな人生を送っている」という確証を得たのです。逆に楽をしてきた人たちからは不平不満や「若いときにああしとけば」という後悔の言葉ばかり出てきます。

若いうちに失敗したとしてもそれは必ず経験値になり、財産として残ります。そして、人脈や資産など広い選択肢を持てるようになるのです。ぜひ今のうちに、足掻いて強くなってください。

株式会社REOL

設立 2023年1月
資本金 100万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 地域包括ケアシステム・地域医療連携推進
ヘルスケア・健康経営支援事業
健康教育事業
URL http://www.reol.jpn.com https://x.com/GenUehori
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