経営に打ち込む“充実感”は、苦労を遥かに凌駕する。
──逆境経験について教えてください。
高校を卒業してから飲食店を切り盛りしてきました。そこからグループ企業であるグッドブリッジ社に参画することになるのですが、ITの知識はほとんどなく、パソコンの使い方もわからない状態だったので最初は大変でした。そこでまずはタイピングを必死で覚えながら、WordやExcelといった基礎知識の吸収に全力を注ぎました。加えて、例えばWebマーケティング領域においては、コンサル的な要素も求められるビジネスだったので、基礎から応用までを身につけるために必死だったことを覚えています。
飲食店時代を振り返ると経営業務に没頭し、「かなりの長時間労働」で仕事に打ち込んでいました。これは俯瞰的にみれば“苦労”や“逆境”なのかもしれないのですが、私としては正直なところ“充実感”の方が勝っており、楽しい思い出になっています。いわゆる「ワークライフバランス」とは真逆のスタイルですが、20代は全てにおいての優先順位を「仕事」に置いてきましたし、その考えは30歳になった今も変わっていません。
──設立して半年の「ベストブリッジ社」の代表として、逆境や苦労を感じた経験はございますか?
当社はグループ企業の「人材に対する課題解決」からスタートしました。事業内容は大きく分けて「人事業務代行(主に採用代行)」「人材紹介」「求職者や経営者に向けたイベントや交流会」の3つで、幅広く人材に関する支援活動を行っています。現場についてパートナーたちが担当し、奮闘してくれている最中です。苦労している点としては、これまで私がHRビジネスに対して直接関わったことがないので、「現場との乖離がないだろうか?」など経営判断で悩む場面が出てくるところでしょうか。ただ、飲食店の経営やグループ会社で豊富な面接経験があり、企業と求職者がそれぞれ求めているものの把握は得意分野です。そのキャリアなどを礎として、これからの経営に役立てる方針です。
若者に求めるのは「誠実さ」。等身大が一番美しい。
──逆境から得た「学び」などはありますか?また、「仕事を第一にする」というモチベーションの源泉をお聞かせください。
知識や経験がない中で乗り越えた方法は、「模倣から始め、時間をかけて習得する」という極めてシンプルな方法でした。もともと自分が新しいスキルを身につける上で、すぐに結果が出るタイプではありません。そこで、周りよりも時間をかけて集中して取り組むことで、着実に成長することの大切さを学びました。
モチベーションについては、もともと「豊かな人生を歩みたい」「満ち足りた生活を享受したい」という理想を持っています。そんなプライベートを満たすためには、仕事の充実が不可欠です。そして、当社も含めてグループ会社全体で切磋琢磨できる仲間たちが集まっており、「自分だけ負けられない」「みんなよりも高い成果を上げて、勝つ!」という強い気持ちが育まれる環境になります。それが、モチベーションを加速させてくれていると思います。なお、みんなとは一緒に楽しく遊びに行くことも多く、非常に良好な関係性です。
まれに落ち込むこともありますが、すぐに「考え込んでいても、時間の無駄」と思考回路を切り替えて解決策を模索し、行動に移すことを心がけています。この考え方は、仕事をしているうちに鍛えられたメンタルのおかげです。
──山中さんが面接で重視しているのは、どんなところでしょうか?
一番は「誠実さ」で、人間性の部分です。「自分を大きく見せるために、嘘をついていないか」などを注視しています。もちろん一瞬で見抜くのは難解なので、「他責思考タイプなのに、行動や結果が違っている部分」などを、過去の職務経歴などを伺いながら調べていくイメージです。例えば「デザイナー」の場合だと、ポートフォリオを見せてもらいますが、内容は実のところどうでもいいのです。スキルは入社後に上達しますから。
それよりも「1人だけで担当していない案件」なのに、あたかも自分だけでやったかのように主張する方はNGですね。逆に「ここまでデザインして、あとは上司に助けてもらいました」と、正直に自己申告する方は好印象です。この「人を見る」という業務は、最初の頃は失敗もありました。ただ、徐々に自分の中にノウハウが蓄積されていき、直近では成功事例を積み重ねています。
人材と企業に向き合い、「寄り添っていく」。
──会社の強みや、目指している方向性などを教えてください。
企業と求職者に「向き合う」「寄り添う」という点が、大きな強みです。ミスマッチなどを防ぐために“土日に活動したい”という求職者の都合に合わせて、当社は休日出勤で「面接対策」などの対応を行っています。求職者の満足度を追求するため、とことんこだわっています。それが『人材紹介』領域です。
『採用代行』についてお話しをすると、既にグループ内の求人に合わせて採用を担っており、初月から成果をあげています。今後は、他社の採用にも業務を拡大する方針です。なお、HR領域では「会社と求職者のバランス」について話題になることが多いですが、当社ではバランスを重視。将来発展させていく上での、土台にしています。
『交流会』については、これまで何回か不定期で開催しており、会社員や経営者など多岐にわたる業界や職種の方が参加してくれています。「普段の生活では出会えない層の人達と、ご縁を紡ぐことができた」「いろいろな方とコミュニケーションをとれたことで、視野が広がった」と好評です。今後は定期的に開催し、回数も増やしていきたいと考えています。現時点ではいたずらに人数を増やすというより、お人柄に定評のある10数名程度の少人数制で関係性を深めていきたいと考えています。いずれにせよ、さらなる発展が目標です。
始まったばかりのサービスなので、実績については「これから」というところですが、現場を担当しているパートナーたちは人事の経験者で、HRに関する知見を有しています。私も数多くの面接を担当し、採用による組織強化に尽力してきました。
まずは量を追求しよう。そして経営目線を持とう。
──若者へのメッセージをお願いします。
「質」の向上は人生の核となる要素ですが、一方で「量」にも目を向けてほしいと思います。特に20代のうちは、「量」を追いかけるのが前提ではないでしょうか。そうやって培ってきた20代を土壌として、30代以降の人生が決まってくると信じています。「量」はいつか「質」へと変化しますので、頑張ってください。また、自分を振り返ってみると「高めあえる環境」に恵まれていたとしみじみ実感します。ですので、「お互いに研鑽できる環境」に飛び込むこともオススメしたいです。過去を顧みると、もともとは野心的だった同級生が競争の少ない組織に属するようになって「安定志向」になった事例も見てきました。
あとは、「仕事をしているときだけが、仕事ではない」という感性を養うことでしょうか。心身の健康に不可欠な休息を、しっかりとることは重要です。ただ、プライベートであっても、アンテナを張っていると急にパッと「良いアイデアが思い浮かぶ」といったことがあるので、その意識を持っていると周りとの差につながるかも知れません。最後に「経営者目線を持つ」ことです。与えられている役割だけをこなすのではなく、新入社員であれば係長や部長など「上のポジションだと、どんな着眼点で動いているのだろうか?」と思い巡らせるだけで、仕事の質が自ずと向上するでしょう。