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【株式会社Canael 茂木 拓也】コロナ禍で億単位の赤字の危機。しかし、逆境が新ビジネスの起点に。

2024/10/25

Profile

茂木 拓也

株式会社Canael 代表取締役社長

茨城県潮来市出身。大学生時代の飲食店でのアルバイト経験を活かし、卒業と同時に飲食事業を起業した茂木拓也氏。その傍らでいくつかの法人も立ち上げ、多角経営を行う。現在、物件探しからハイクオリティな店舗デザイン・設計、施工からアフターフォローに至るまでを一気通貫型で担う、株式会社Canaelを率いている。

今回はそんな茂木氏に、壮絶な逆境経験やそこから得た教訓、現在のビジネスモデルに至るまでの軌跡などをインタビューしました。

首都圏一等地で5つの繁盛店を展開中に、未曾有の厄災。

──逆境経験について教えてください。

父親が看板デザイン製作会社の事業主という環境もあり、幼いころから漠然と「経営者になりたい」という気持ちを抱いていました。その後、地元から東京の大学に進学したのですが、同級生たちは桁違いのお金持ちの後継者が多く、生活レベルの差に愕然とした記憶があります。私は家賃を抑えたアパートに住み、飲食店でのアルバイトなどに精を出していたのですが、周りは高級マンションで暮らし、新車の高級車に乗っていたのです。そのとき、逆境を感じるとともに、「絶対に会社を立ち上げ、お金持ちになる!」というハングリー精神に火がつきました。

そして、卒業と同時にアルバイト経験があった飲食業のビジネスを起業。並行して、不動産賃貸仲介や小売電力事業、営業代行業も推進するなど、いくつかの法人を多角的に経営していました。特に飲食店は東京の渋谷や神奈川の横浜など、駅前の一等地に大衆居酒屋を5店舗ほど展開し、大きな売上を達成。1年間に1店舗のハイペースで出店し、従業員も120名に増えるなど「いけいけドンドン」な経営状態でした。当時を振り返ると、若くして成功したがゆえの“天狗状態”に陥っていたのですが、そこに「コロナ禍」が襲ってきたのです。

そこからは想像を絶するような逆境でした。お客様がほとんど来店されない状態で、ロケーションゆえの「高額なテナント代」がのしかかってきたのです。先が見えない状況下で、飲食事業を休止する決断をしたのですが、「6ヶ月分のテナント代」「内装を原状回復する工事費」などを含めると億単位の資金が必要でした。当時、それなりに内部留保もあったのですが全部吹っ飛び、数千万円の借金が残るなど資金繰りに四苦八苦しましたね。そのときのお金は、今もコツコツと返済を続けています。

“天狗状態”だったことも、その後に災いをもたらしました。120名いた従業員のうち、「再帰をかけ、ビジネスを仕掛けたい」と伝えたとき、付いてきてくれたのはたった1名。そのとき、「収入面だけで、本来のマネジメントができていなかった」ことに気づかされたのです。

多角経営がリスクヘッジに。

──逆境があったからこそ、得られた教訓はありますか?

コロナ禍は避けられない事態でしたが、私としては「冷水を浴びたおかげで目が覚めた」という認識があるので、若いうちの挫折は良い経験だと思っています。仮にあのまま突っ走っていたら、とんでもない事故につながったかも知れません。そして、戦略として良かったのは「多角経営」です。他のビジネスをしていなければ、自己破産の道しかありませんでしたが、視野を広げて挑戦していたことが功を奏しました。失敗した事業もありましたが、当社の主軸事業である「不動産×空間デザイン」において、多分に役立っています。逆境経験を経てノウハウや知見を実地で身に付けられたことは、私にとって貴重な財産です。

たとえば「飲食店を開きたい」というご相談を受けた場合、構造上から来店者とスタッフのオペレーションの動きやドリンクカウンターの設置場所といった動線を、すぐに頭に思い描くことができます。それを基にして具体的なアドバイスを行い、設計に落とし込めるのが私たちの強みです。また、「商業用の不動産賃貸」についての助言を求められた際には、不利な契約内容などを速やかに把握して指摘することができます。現地調査・ヒアリングの段階から参画し、内装のプランニングから施工、アフターフォローに至るまでを総合的にご支援できるという今のビジネスモデルに辿り着けたのは、逆境や失敗があったからこそだと思います。

マネジメントや人材での苦労から学んだのは、給与面のメリットを伝えるだけではなく、「相手とじっくりと向き合い、事業戦略に沿った人材をお迎えする」ということです。そして良い人材に当社を選んでもらえるように、発信することも大切だと感じました。

ハイクオリティなデザインで、約80%の時間とコストを削減。

──会社の特徴や魅力をお聞かせください。

現在当社は、不動産賃貸仲介に空間プロデュースをかけ合わせた事業を軸として運営しています。事業に関わるすべての人の幸せをつくり続けることが、1番の目標であり原理原則です。選ばれる理由としては大きく3つで、まずは幅広い業界での豊富なノウハウや変化に柔軟な「対応力」になります。2つ目は「コストの削減」でお客様をサポート。3つ目は、ハイクオリティな「デザイン」という強みです。

詳しく説明すると、忙しいクライアントに寄り添い、想いをカタチにするのが私たちの使命だと考えています。そのため、業者の比較や情報収集、打ち合わせや電話・メールなどのやりとりといった煩雑な業務を一括して当社が担当。さらに物件探しから理想を叶える店舗をデザインし、その後の設計・施工といった「店舗開業や、オフィス移転に必要なフェーズ」をワンストップで提供しています。その結果、一般的なやり方と比較して、約80%の時間とコストの削減を実現しているのです。さらに店舗完成後の集客サポートにも、評価をいただいています。

また、開業資金や運転資金で必要な融資や資金調達についても、専門家と当社がアライアンスを組むことで、最適なプランを提案することが可能です。これからも「挑戦し続ける」「感動ファースト」といった行動指針に則り、クライアントから「出会えて良かった」と心の底から感じていただけるように、常に全力疾走を続けます。

失敗や逆境経験は、いつか必ず糧になる!

──ご自身の経験から、若者へのメッセージをお願いします。

「自分を信じてやり続けること」「限界は自分で決めない」が、自分の中の信念であり、若い方にもお伝えしたいことですね。前者について、私の場合は「経営」にずっと取り組んできたのですが、途中で諦めていたら、今のビジネスに辿り着けてはいませんでした。努力や頑張りが報われないことは多々あるのが現実だと思いますが、それでもめげずに継続することで、成功を手繰り寄せることができると信じています。

後者は、自分で最高到達点となるバーを決めてしまうと、「それ以上は飛ぶことができない」という単純明快な考え方です。なので、勝手に限界を定めるのではなく、高みに対して常にチャレンジすることが重要ではないでしょうか。私自身も浮き沈みがとても激しい人生を送っていますが、「止まらない」ことを大切にしています。

あとは、「どんな出来事からも、学ぶべきことが絶対にある」ということです。絶好調だった飲食業がコロナ禍で沈み、色々な事業に手を出して失敗したという逆境を経験しましたが、それが現在に繋がっています。理想を現実にするために、自分を信じて挑戦を続けましょう。

株式会社Canael

設立 2018年12月27日
資本金 1,000万円
売上高 非公開
従業員数 12名
事業内容 建築業(内装デザイン設計)
不動産業(事業用賃貸仲介)
URL https://canaell.co.jp/
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