一瞬だけ躊躇した「起業」への道程。
──逆境経験について教えてください。
逆境というほど大げさな話ではないのですが、起業する前はすごく悩みました。子どもの頃から友人の小山共同代表と大学生のとき「社会で経験を積んだ後に、自分たちの会社を設立する」という計画を立てていました。ところが、前職で早々に管理職を任せてもらい、それなりに給与もいただいていたので「起業して、大きなリスクを負う必要があるのだろうか?」という考えが、ふと頭をよぎったことがあります。
また、独立後に辛さを感じたエピソードとしては、最初の数年間「ただ日銭を稼ぐ毎日だった」ことでしょうか。当時、企業同士を仲介することでフィーを得るようなビジネスモデルだったのですが、やりがいを感じることができませんでした。「なぜ、会社を立ち上げたのだろうか?」と自社の存在意義を、自問自答する日々を過ごしていた記憶があります。
やりがいある事業にたどり着き、さらに発展へ。
──逆境から学んだ教訓はなんでしょうか?
「リスクを負わなければ、大きなことはできない」ことを学びましたね。実際、会社を立ち上げるというリスクは、蓋を開けてみると「リスクではなかった」という結果でした。そして、設立後に自問自答していた時期から得た教訓は、「仲介型の事業では、品質が担保されない」「自社プロダクトではないと責任を持ってクライアントに価値を提供できない」ことです。そこで、自社のプロダクトやサービスなどを展開する、現在の事業内容に舵を切ることにしました。
今のビジネスモデルに至る経緯でも「リスクを取ること」が重要な意味を持ちました。最初の頃は、コワーキングスペースのようなところで細々と営業していたのですが、思い切ってオフィスを借り、従業員も雇用したところ、ビジネスの幅が一気に広がったのです。そして、「FRALiʻa」「IT導入補助金サポート」「助成金コンサルティング」という今の当社の主軸事業への発展へと至ります。
「リスクを取る」という選択に絞って厳密にお話すると、人生で3回の節目があったと思います。1回目は大学時代にインカレサークルを主催し、イベントをオーガナイズしていたときです。あの頃はリスクと捉えてはいなかったのですが、クラブを借りるのに何十万円の資金が必要で、集客ができなければ「赤字」になってしまいます。もしマイナスになったら相当な痛手でしたが、リスクを取ったことで一般的な学生では稼げない金額を手にすることができました。
2回目は「会社を辞めるときに躊躇した」ときです。小山が先に会社を辞めた状態で私を引っ張ってくれたことで、リスクに立ち向かって「起業」という道に進むことができました。
3回目は、小山と相談を重ねて、事業のアクセルを踏み込んだときです。「オフィス代や人件費など、ランニングコストが跳ね上がる」といったリスクを背負ったことで、既存の収益構造から脱却。やりがいのある、今のビジネスにたどり着くことができたのです。
──幼馴染でビジネスパートナーの小山共同代表との関係性について、お聞かせください。
まずは友人として、シンプルに「気が合って仲が良い」というのがあります。
大学時代から一緒に活動し、数々のイベントを成功に導く中で「尊敬できる」と実感し、ビジネスパートナーとしても一緒にいます。圧倒的に結果を残し続けるパートナーがいることは、心強いですし、ありがたい存在です。あと、信頼関係が構築されている状態から起業できたことは、会社運営の上でも優位性が高かったと思います。
国策に応じた事業で、国内最大規模の実績。
──会社の強みや特徴について教えてください。
「ビジネスモデル」「人材」という2軸が強みだと認識しています。まず、ITを促進するための「補助金支援」と、従業員たちのリスキリングなどを後押しする「助成金コンサル」という、国策に沿った事業に注力。日本全体に需要がある分野で、豊富な知見を有しているビジネスモデルが特徴です。「人材」については平均年齢25歳で活気に溢れており、「生成AIを駆使した業務改善」といった最新テクノロジーを積極的に取り入れるなど、進取に富む社風になります。
「IT導入補助金事業」について詳しく説明すると、直近で月500社前後ほど申請の支援を行なっており、「採択率100%」という、量質ともに全国トップレベルの実績です。なお、当社は『IT導入支援事業者登録』を受けており、安心して任せていただけます。
「助成金コンサルティング事業」では、従業員らが受講した研修費用などに関する助成金のサポートを実施。助成金は支払いが終わった後に申請を行ない、条件を満たしていれば受給できる仕組みです。しかし、「助成金ありきで研修を受けたのに、助成金が受給できなかった」という事例が発生しているという実態があります。特に中小企業にとっては「75%が戻ってくる前提で予定を組んでいたのに、助成金が出なかった」ということがあれば一大事です。当社ではそうした事態を、最大限に軽減します。また、実務に対応する社会保険労務士法人を有していることも特徴です。
リスクの本質を見抜き、周りと違う挑戦を!
──若者へのメッセージをお願いします。
「勉強するだけ」「人の話を聞くだけ」では何も始まりません。まずは「行動すること」が、成功する可能性を上げる一番の近道です。知識を詰め込むだけだと頭でっかちになってしまい、「挑戦しない理由探し」になっているケースが多いように感じます。そして、「リスクの本質を見抜き、向かうこと」をお伝えしたいですね。
これまで私も人生で「リスクを取る」という選択をしてきました。正しい表現で言語化すると「みんなが危険だと捉えてしまって挑戦していないことにも、リターンと照らし合わせて“背負うべきリスク”だと見極められたら、すぐに自分だけ飛び込む」というイメージになります。自分の人生で振り返ると、リスクは少なくリターンの方が大きかった「起業」が最たる例です。
「周りの人と同じ行動」では、先んじることはできません。何かを勝ち取るためには、「少数派」になることを恐れず、チャレンジすることが必要です。ぜひ、思い切って第一歩を踏み出してみてください。