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【合同会社achicochi 三木 健吾】最初の独立で味わった試練が、2度目の起業の飛躍につながる。

2024/09/17

Profile

三木 健吾

合同会社achicochi 代表社員

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、新卒でアビームコンサルティングにてコンサルタントのキャリアを積んだ後、2度の起業に挑んだ経験を持つ三木健吾氏。現在は、「事業開発コンサルティング」「デジタルノマドColiving」「地域活性コワーキング」を手掛ける合同会社achicochiの指揮をとりながら、人材育成ファシリテーター、日本ビリヤニ協会の設立運営、エンジェル投資など多方面で活躍されています。

今回はそんな連続起業家の三木氏に、苦境を感じた体験や教訓、若者への熱いメッセージなどを伺いました。

理想と現実の落差、資金面での苦労を知る。

──逆境を感じた経験について教えてください。

いろいろありますが、社会人5年目くらいのときに経験した、最初の起業時の出来事は印象に残っていますね。CRMを活用したマーケティング事業やシェフ出張料理サービスなどを手掛けていた知人のスタートアップに共同経営者として参画したのですが、そのときの「思ったように受注できない」という逆境は強烈でした。独立すると顧客開拓のための営業が不可欠ですが、会社に所属していると当たり前のようにプロジェクトが存在していたので、そのギャップに苦しみました。収入的にもコンサル時代の新卒1年目の給与と比較して4割を切る時期があり、家賃を払うのもギリギリな時期が2年ほどありました。

当時は社長が手がけていたお料理教室合コンという事業で、シェフ出張料理事業の経費を賄うことをしていました。スタートアップというと聞こえがいいですが、現行の事業が思うように立ち上がらないところを、既存アセットを用いて何とかビジネスに繋げながら協力者を探し続ける…といった日々でした。

また「仕事をとらなければ!」とビジネス交流会に参加するも、知名度やブランド力がないことも相まって収穫ゼロ。不甲斐なさを感じた帰路で、120円の交通費を節約するために歩いて帰ったこともありました。ただ、収入面では生活を維持するのもやっとで、先々に不安を抱えていたものの、ビジネスのためにいろいろと動き回っているプロセスそのものは、楽しんでいた記憶があります。

当時を振り返ると、「自意識が高過ぎたこと」が苦労の原因のひとつだと分析しています。2006年に新卒入社した頃、六本木ヒルズ族の話題が耳目を集めており、自分自身も「優秀な人は、起業するものだ」というイメージがあったのです。その意識で起業したので、「目先の売上を作る」よりも、壮大なビジョンばかりを夢見て追求したことが、理想と現実の落差を感じることにつながりました。

当事者意識と、客観的視点を強みに。

──苦労があったからこそ得られた教訓などについて、お聞かせください。

営業やマーケティング的な部分は「どのチャネルに自分をアピールするのが効果的か?」を学んだことで、独立2度目の滑り出しはスムーズでした。コンサル事業の場合であれば、「大きなコンサル会社ではなく、少数精鋭の企業」に、自分を売り込みにいきます。するとすぐに案件が発生しなくても、その会社が大きなプロジェクトを引き受けたときなどに、再委託先のパートナーとしてお声がかかるのです。あと、流暢な営業トークは不要で、過去の実績や役割を誇張したりせず正確に記載した職務経歴書が紹介を頂く上で重要になります。どんなに細かいことでも書き足し続けていき「何ができるか?」を理解してもらうことが肝要なことに気づきました

駆け出しの頃は自分自身で自分が生計を立てていけるようになることを優先していれば良かったですがで年齢を重ねてくると事業会社と直接取引をして、他者の仕事を作っていくフェーズに入ってきます。そこで、2014年に株式会社U360を立ち上げました。

最近、20代を顧みたとき、「事業者としても、コンサルとしても突き抜けることができなかった」という自己評価をしました。周りには株式上場達成した方、事業売却を成し遂げた経営者などがいたので、比較すると「突き抜けられなかったな」と思っています。ただ、そんな自分だからこそ得られた「強み」を活かしてやってこうと、強がりでなく思えているので、ネガティブには捉えていません。

私はこれまで「事業会社の起業」と「コンサル業務」の2つを経験してきました。経営者は孤独なので心から本音で相談できる相手が少なく、また起業時の課題や悩み事を人に話すにしても、心の奥底の深い部分で「理解し合えない領域」が出てきます。

例えば「今月は資金繰りが厳しく、テナント料の支払いがキツイ」「創業時に求められる人材は、言われたことをこなすメンバーではない。目的を認識したら、自分で考えて動ける方が欲しい」といったところでしょうか。あとは「ビジネスパートナーたちと仲違いしてしまう」というのも起業あるあるのエピソードで、私自身もそんな局面を幾度か乗り越えたことがあります。

分野横断型で細やかな支援や、自走型の仕組み作りなどが特徴。

──会社の特徴について、教えてください。

1つ目は「事業当事者としての泥臭さ」と、「客観的にビジネスを捉え、戦略を立案・実行するコンサルタント」という双方の視点と知見を持っていることが強みになります。加えてチームメンバーとして参画できる各種ビジネス専門家との信頼関係を築いてきたので、彼らのスキル経験も活かしたきめ細やかなサポートを実施できます。そのため『コンサルティング×事業開発×投資育成』など、分野横断型でご支援できるのです。

2つ目は複数名がサポートに携わる『ビジネスチームビルディング』です。例えばブレインストーミングであっても、大人数で出し合った方が良いアイデアが生まれます。個性を活かしあう「ワンチーム」で実務についてもワンストップで遂行できます。

3つ目は『プロダクトマーケットフィットの知見を組織・人に残す』ことです。「特定のコンサルがいなければ、回らない」ではなく、自走型の仕組みを作り上げることを重視しています。そのために必要なのが、エビデンスベースでの事業企画・立ち上げです。当社では試作品の制作にとどまらず、仮説検証サイクルを回して改善を積み重ねることで、消費者に刺さるプロダクトやサービスのリリースをご支援します。そのプロセスを通じて、組織や人材育成につなげるのです。

自走型の仕組みを残した後、アドバイザーポジションを任せていただくこともあります。その際も経営者の「過去の成功体験」や「体感値」を、いかに組織のスキル、経験に転換していけるか、データやフレームワークなど客観的事実に基づいた助言や実行計画を立案するのが自分の役割だと心がけています。

自分の枠組みから抜け出し、直感力を鍛えよう!

──若者へのメッセージをお願いします。

20代の方々には「頭だけで考え込まずに、まずは飛び込むこと」、リスクテイクを強く勧めたいですね。起業や就職で悩むことも多いと思いますが、コスパやタイパに縛られて動けないのは頭が良い人にありがちです。それだと、「自分の枠組みの中」から抜け出すことはできません。何かに挑戦することで、うまくいかないこともあるでしょう。しかし、それを気合や根性で覆せるのが若者の特権なのです。あえてリスクを取り「己の理屈を超える」ことにトライしてください。

ちなみに、挑戦するときに役立つのが「直感」です。直感を使った判断機会を増やすほど、感覚が研ぎ澄まされて精度が上がっていくのです。「ビビッと感じる」ようなことがあれば、とりあえずやってみましょう。私も周りからは「論理的」なタイプだと思われているのですが、実際は感覚からスタートして、後にロジックを組み立てて理論武装していることの方が多いんですよ(笑)。

私はキャリアには3つの段階があり、世の中から求められる役割を果たす「ロール」、次に自分で立てた問いに答えていく「ミッション」、最後に、人知を超えた「コーリング」にたどりつくと思っています。直感を信じ、自分に正直に生きることで「自由な生き方、働き方」をする人が増えるのではないでしょうか。そんな社会のシステム作りに貢献するのが目標のひとつになります。そのためにも私自身がもっと命を燃やし続け、背中で語れるような人生を歩む覚悟です。

合同会社achikochi

設立 2019年2月14日
資本金 6万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 ・新規事業開発、イノベーション創出の共創・支援
・ブランドマーケティング、パブリック・リレーションズの支援
・ビジネススキル学習ワークショップのファシリテーション
・訪日外国人への日本文化体験提供
URL https://achicochi.net/ https://achicochi.life/kyoto-taikoukyo-coliving/ https://mintai21.wixsite.com/taikoukyo
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