MiraError(ミラエラ)

【株式会社Hi-STORY 松山 岳史】IT業界の「当たり前」を変えて、日本のITを前進させる。

2024/07/02

Profile

松山 岳史

株式会社Hi-STORY 代表取締役

子ども時代にエジソンやライト兄弟の伝記を読み、発明・研究者に憧れて慶應義塾大学理工学部に進学。世界を席巻するプロダクトやサービスが沸き起こるシリコンバレーのVCでインターンを経験するなかで、「起業し、社会にインパクトを与える」ことを志す。新卒では株式会社リクルートに入社し、株式会社つみきに転職。『Filmarks』を担当した後に当社を立ち上げる。現在までに、上場企業を含めて7社のCTOを経験した。

「当初プログラミングは苦手で、大学を卒業してから必死に学びました」と笑顔で語る松山氏に、逆境があったからこそ学んだことや、それをどのように経営に活かしているかなどを伺いました。

続々と起こるトラブル。そこを乗り越えたことで糧を得る。

──逆境経験について教えてください。

キャリアや知見の形成などにつながった出来事として、ベンチャー企業だった株式会社つみきに転職し、映画レビューサービス『Filmarks』を担当、その後に執行役員及び事業部長を務めていた経験があります。同サービスが資金調達に成功し、「いよいよこれから!」というときに入社することになりました。ただ、ちょうどこのタイミングで問題が発生し、1か月ほどサービスが停止する事態が起こっていたのです。そこで、まず手がけることになったのがシステムの改善です。改善が進みサービスは順調に伸びていきました。

ところが、半年後にアクセス数が増加した結果、負荷に耐えきれない状態に。再びシステムをすべて構築し直すことになりました。その間に、新たなエンジニアが入ってきてくれていたのですが、「サーバーがダウン→そのたびにメンテナンス」という負のローテーションに陥っていました。その後も、2年ほどシステムの再構築の対応に追われる状態が続いたため、脱落者が続出。また、私は20代で現場を指揮していたので、ベテランで豊富な経験を有するエンジニアたちから、マネジメント力を疑問視する声が出ることもありました。ただ、頼れる方も少なかったので、自分の考えをしっかりと伝えて内容を共有することで小さな変化を積み重ね、着実に信頼を重ねていきました。

その後、トラブルを乗り越え『Filmarks』は国内最大級の映画メディアに成長。TSUTAYAを展開するCCCグループとの業務提携も始まり、多くの成果につながるなど貴重な経験を積み、自分にとって大きな財産になりました。また、個人的には「いずれは独立したい。そのために経営のスキルを身につけたい」というきっかけで同社に入社し、起業に関するノウハウなどを培うことができたので、非常に感謝しています。

エンジニアに寄り添い、着実に個性と自発性を育てる。

──逆境経験から得られた学びや教訓などを、お聞かせください。

先述の「エンジニアから疑問が呈された」とき、とにかく真摯に向き合うことに努めました。例えば「私が来る以前からあったエラー」であったとしても、そのせいにしたところで問題は解決しません。今やるべきことを詳しく説明し、「何かあったら、いつでも個別で相談にきてください」と誠意を持って対応することに心を尽くしました。その経験が経営者になった今に活きています。

現在、当社で働くエンジニアはフリーランス契約が中心で、プログラミングなどを自分で学んだ、成長意欲が高い方ばかりというのが特徴です。ただ、最初から「これに専念して極めたい!」という明確なキャリアプランを持っているエンジニアは少ないため、やっていくうちに得手不得手や好き嫌いがわかるようになってきます。そんなエンジニアと信頼関係を構築し、可能性を見出して「こんなことに挑戦してみたらどうだろう?」と、成長を後押しするのが私の役目です。個性に寄り添い、個々人にあわせて仕事をつくっていくスタンスです。

そのために行なっている方法のひとつが、リモートでの1on1です。シャイな方が多いので基本的にはビデオはオフにして、エンジニアたちの話をじっくりと聞き、「次はこんなスキルアップにチャレンジしたい」といった本音の部分を引き出しています。あと、業務時間のうち自分がやりたいことに専念できる「10%ルール」を採用しています。「スマホアプリをつくってみたい」「AWSの資格取得のために勉強したい」など、自由に使って良い時間です。このおかげでエンジニアの個性も見えてきますし、当社の独自性や会社らしさにもつながっていると思います。

また、上下関係ができてしまう「マネージャー」ではなく、フェアな関係のなかでサポートができる、「メンター」を導入しています。「プレイヤーが主体」という軸を貫き、これからも必要な仕組みづくりなどを整えていきます。

CTOの視点で、「技術と経営の支援」をサポート。

──先日リリースされた画期的な新機軸サービス『CTO EYEs』について教えてください。

事前にクライアントから実現したいことをヒアリングすることで、システム開発にありがちなクライアントと開発会社の齟齬を軽減。さらに、みなさんがあまり知らないかもしれないITツール/SaaSなどを組み合わせることで、コスト削減・短納期の実現を可能にします。そして、当社が自信を持って紹介する『CTO EYEs』公認パートナーと”直接”契約をしていただきます。契約を直接していただくことでプロジェクトがスムーズに進むのです。

私たちの強みは、「経営と技術の双方に精通している」ところです。これまで自社サービスの開発経験と、7つの会社でCTOを任せていただくなど、クライアントの立場ややりたいことも、エンジニア側の気持ちや都合も知るからこそ、成功に導びくことができるサービスだと自負しています。

あとは私がツールマニアで、30種類以上を常時使用し、最新のテクノロジーが好きなことも武器の一つです。例えば既存のやり方では1~2か月かかっていた管理画面の作成を2日で制作できるツールや、数か月かかっていたデータ分析の作業を、1時間で完了できる手法などがあります。最初は私を含めたCTO経験者が担当する想定ですが、CTO候補者の育成の場としても活用していく計画です。

周りと比較するのではなく、自分軸を大切に!

──若者へのメッセージをお願いします。

私は日々を楽しいと思いながら生活していますが、それは「自分らしく生きているから」だと分析しています。「大企業で働いたほうが、安定する」「エンジニアという職種は流行っていて、儲かりそうだから」といった世の中の評判で行動するのではなく、自分の軸を見つけ出して、それを追求する方が幸せではないでしょうか。それが私のアイデンティティで、会社を運営する上でも大切にしている概念です。「何かチャレンジするとき」に“自分軸”を中心に考えて、行動してみることを推奨します。

例えば、私が就活をしているときは「コンサル」「大手SIer」が人気で、自ら手を動かしてWebサービスをつくる志向性の人は少なかった記憶があります。そんななか、私はリクルートに入社して、アプリ開発の企画などを担当。そこで開発の楽しさや、エンジニアの格好良さに魅了されて、技術と経営の道に進みました。周りと比較するのではなく、ずっと自分がやりたいことを追いかけてきたおかげで幸せを実感しています。今後は生成AIがどんどんと進化し、最大公約数的なところは機械が担うようになり“自分軸”はより一層重要な時代に突入すると思います。

当社の“軸”は、「誰よりも歴史に残る」ことであり、それが社名の由来です。売上第一主義ではなく、「ものづくり」を重視するとともに、新たなイノベーション旋風で日本のITを前進させるのが会社としての想いです。

株式会社Hi-STORY

設立 2019(平成31)年3月1日
資本金 200万円
売上高 非公開
従業員数 19名
事業内容 Webサービスの企画・開発
URL https://www.hi-story.co.jp/ https://eyes.cto-s.com/ https://x.com/_mat_hi
この記事が気に入ったら
いいね ! しよう