実体験で得た、地道にコツコツが報われる成功体験。
──逆境経験を教えてください。
「これぞ逆境!」と感じたことはあまり無いです。プロセスにおいて苦労を感じることがあっても、最終的にはうまくいくと信じています。例えば、子どものころからずっとサッカーをしているのですが、小学生時代の同級生に運動で「絶対王者」という存在のライバルがいました。最初は何をやっても勝てなかったものの、毎朝ランニングをして体力を鍛えるなど練習を重ねることで、マラソン大会で勝つことができ、サッカーでもキャプテンになることができたのです。中学校ではBチームだったのですが、ひょんなことから最後の大会に出場する機会を得て、17得点をゴール。歴代3位の成績でした。
目標に対して、「地道にコツコツ」を積み上げ結果につなげてきた成功体験が、自分を信じる気持ちを補強し、元来の「自分は運が良い!」というマインドも相まって“根拠なき自信”が信念として固まりました。それを礎に毎日を突き進んでいるイメージです。
高校時代は、サッカーに打ち込むとともに、生徒会活動や学校初となる「自分たちの住む街の魅力を伝えるプレゼン」といった課外活動に力を入れていました。好奇心が強いので、新しいことや「物事をおもしろく変革する」といったことへのチャレンジには胸が踊ります。何かを仕掛けることで、人が喜んでいるのを見るのが好きというのもありますね。あとは、単純に幼少期から「前に出るのが好き」でした(笑)。
ただ振り返ると、大学に入るまでの自分は「自分が正義」と思い込んでいる節があり、どんなことでも「絶対に一番でなければ許せない」という完璧主義にとらわれていたと思います。人に頼ることも嫌だったので、何でも一人で解決することを重んじる頑ななタイプでした。
多様な環境に触れ、寛容性が培われた学生時代。
──完璧主義から変わったきっかけや、学生時代のエピソードを教えてください。
大学に進学し、環境が一変したことで考え方やスタンスもガラッと変わりました。地元は保守的な雰囲気だったのですが、大学は「オープンマインドな人たちが集まっている、革新的なところだな」と感じました。関西大学はもともと、オープンキャンパスで熱量や勢いがあり「おもしろそう」と思っていたので、憧れの学び舎でした。学生時代のエピソードとしては、『関大ミスターコンテストのファイナリスト』になったことは貴重な体験です。それまではあまり人に対して「頭を下げる」という経験が無かったのですが、選んでもらうためにお願いに回りました。
すると、これまでの「自分自身や身近にいる人のために、何かをする」という考え方から「応援してくれた人たち全員に、恩返しをしたい」という精神性に切り替わったのです。また、「ファイナリスト」という名刺を手に入れたことで、これまで以上に経営者や政治家といった多くの大人たちに出会えるチャンスが増えました。
おかげさまで、飲食店の経営に関わる機会を得たり、ラジオのパーソナリティを任せてもらったりと、貴重な経験を積むことができました。さらに、地上波の大手テレビ局とともに食フェスの企画運営の代表を務めたり、関関同立のミスコンをキャスティングする企画を立案したりするなど、本当に実践的で密度の濃い学生時代を過ごしました。そして「人を輝かせることは楽しい」と、心の底から思ったのです。
──その経験や感じたことが「起業」へとつながるのですね。
もともと「起業して、組織として大きなことを成し遂げたい」という気持ちがありましたが、気持ちが固まったのは就活中の“違和感”がきっかけです。親世代と今とでは世の中は大きく変わっているのに、企業側の「新卒一括採用」というシステムでは対応できないと肌で感じました。一方で若者も熱量が低く、「社会のために働く」という概念が希薄だと思ったのです。また、日本の企業はせっかく良い製品をつくっているのに「発信力が弱い」「オールジャパンでアライアンスを組み、世界と戦うといった制度も無い」という課題も感じました。
時代に即した、新しいタイプの就活イベントを開催。
──会社の強みや、現在計画されていることなどを教えてください。
まずは、企業の発信活動のお手伝いが得意領域ですね。デジタルネイティブ世代という強みを活かし、SNSなどを用いて「日本活性化」のお役に立ちたいと考えています。学生時代から培ってきた強みとしては「学生コミュニティ運営」のノウハウを活かした事業展開です。学生から「何かやりたい!」という声をよく聞くのですが、「何をどうするのか?」という具体的なプランについては、「やり方がわからない」というケースが多々見受けられます。僕自身が、学生時代にたくさんの経営者との出会いのなかで学びや実践的な経験を積むことができたので、今後は「企業と学生のマッチング」を拡大させていく方針です。
その一環として手がけるのが、学生200人規模が集まる“特性”をベースとした、まったく新しいタイプのイベント『Z世代就活』です。人間には意識していなくても「ちょっと特別な何かをやっている」という“特性”があります。例えば私は、「毎日5km走る」というのが日課で、本人的にはあたりまえのことなのですが、みんなに話すと「凄いことしてるね」といわれます。そうした、誰もが持っている“特性”を仕事に活かすことができれば、本人も会社も社会も幸せになれるのではないでしょうか。
今の就活の問題点は、昔と比較して若者たちの選択肢の幅が顕著に広がり、「軸探し」で暗中模索しているにも関わらず、「新卒一括採用」という旧態依然のシステムがまだメインストリームとして導入されてしまっているところです。これでは悩みは解決しません。一方、採用する側の企業も名の知れた大手なら学生が何もしなくても来てくれますが、日本の土台を支えている99.7%の中小企業の場合は認知度の低さなどから、「ブースに来てくれない」「来てくれても、学生の考えがわからない」と困っている事例が多発しています。
しかし、事前に“特性”を診断した上で、当日は社長自らが5分のステージでプレゼンを行なった後であれば、中身のある的確なコミュニケーションをはかることができるのです。例えば「目標を立てて、数字を追うのが好き」という方であれば、営業職などが向いていると思います。このイベントを試金石として、就活そのものを変えていきたいです。
「とりあえずやってみる」ことで、全てが始まる。
──若者へのメッセージをお願いします。
私が大事にしているのは「とりあえずやってみる。それから考える」ことです。小学生のときにコーチから教わったことなのですが、今でもそのサイクルをずっと続けています。物事の大きい小さいは関係なく、まずは挑戦することが重要で、その一歩が必ず未来につながると信じています。そのとき「自分がやりたいかどうか?」が肝で、誰かと比較する必要はありません。
会社としてはエンタメが好きなので、日本の活気を取り戻し、若者たちがイキイキと活躍できる場所を提供したいと考えています。閉塞感のある日本を変革して、「自分の特性を活かし、楽しく働きながら社会に貢献するような社会の仕組みづくり」という理想を追求したいです。
私は「日本人は良識にあふれている」と思っています。そのポテンシャルをビジネスでも政治でも活かせておらず歯がゆさを覚えますが、団結して戦えば世界有数の競争力を持つことでしょう。私も含めた若者の皆さんとともに、一緒に楽しみながらワクワクする未来を創り上げていきたいです。