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【株式会社A.B.United 中田 仁之】アスリートの「セカンドキャリア」という言葉を、世の中から消し去る。

2024/04/10

Profile

中田 仁之

株式会社A.B.United 代表取締役

アスリートのネクストキャリアを、ビジネス教育から企業の紹介に至るまで総合的に支援するAthletes Business United®︎(ABU)を運営する株式会社A.B.United。そんな同社を率いる中田氏自身も、幼少期から野球に打ち込み大学時代には大学選抜メンバーに選出され「JAPAN」のユニフォームに袖を通すという経験を持つ。卒業後は、一部上場企業にてビジネスパーソンとしてキャリアを積んだ後、起業。その後、ある若者との出会いが「ABU」の仕組みづくりにつながっていく。

今回はそんな中田氏に、逆境経験やそこから得たもの、ABUにかける想いなどを伺いました。

運命の決断後、昏睡状態で失われた10日間。

──逆境体験について教えてください。

コロナに罹患し、「九死に一生を得た」のが直近では最大の逆境で、価値観が変わるような体験でした。時系列でお話をすると、もともと2020年の4月6日に「アスリート向けのビジネススクール」を、大阪と東京で大々的に行なう予定を立てていました。ところが3月末に私が「倒れる」という事態に。40度の高熱が出て、PCR検査を受けたもののすぐに結果が出ず、「高熱のため、とりあえず入院」となりました。病院にいる間、症状が落ち着くどころか、意識が朦朧としてきたので「スクールの開校を1か月後ろ倒しにする」という決断を下し、その対応を電話でスタッフに伝えたすぐあとに、意識を失ったのです。

ふと気がつくと集中治療室でした。看護師さんに「今、何日かわかりますか?」と尋ねられたので、せいぜい数日程度と思って返事をしたところ、「16日です」と。なんと意識不明の昏睡状態で約10日間が過ぎていたのです。そこから一般病棟に移ったタイミングでスタッフに、「全部オンラインに切り替えて行う」と連絡を入れました。ただ、当時はまだZoomの存在も、どのように活用するのかも未知数。「オンラインでの需要があるのか」といったことも含めて手探り状態のなか、病室で考えた「初回はアスリート8名限定で行う」といった具体的なプランをスタッフに伝えていました。

この一連の出来事を経て、「私はアスリートのネクストキャリア支援のために生かされた。今後はこれだけに命を捧げよう」と心に決めました。

また、コロナがもたらした逆境経験として「売上が1億円消失する」という出来事もありました。ビジネスプロデューサーなど、従来の会社で請け負っていた案件があったのですが、意識不明の10日間の間に入っていたアポイントには当然行くことができず、連絡も一切つかない状態になってしまいました。そこでクライアント側が「個人に任せると、リスクがある」と判断し、案件の継続が無くなってしまったのです。その売上が年間約1億円でした。

挫折から救い出してくれるのは、常に人の助けのおかげ。

──逆境から得られた教訓を教えてください。

「助けてくれたのは、やっぱり“人”だ」という、ありがたい教訓です。これまでの人生を振り返ると、落ちていくときは「傲慢に陥る」など、原因は必ず自分にありました。逆に、上がるときは目の前の誰かが手を差し伸べてくれるなど、「人」に引き上げられ、助けてもらっています。まるで、ジェットコースターのようですね(笑)。今回も、私が病室で動けないなか、講師やアスリートたちにスタッフが的確に連絡をとってくれました。そして、「講義が1か月遅れで、オンラインになる」というイレギュラーな開催になっても、対応してくれた講師の皆さんや参加してくれたアスリートたち、そうしたアスリートを採用したいと考えてくださる企業様など、たくさんの方々に助けていただきました。

以前から「挫折は自分が原因。そこから這い上がれたのは人のおかげ」という自己分析をしていたのですが、今回のことで完全に確信しました。ちなみに、SNSなどに寄せられた応援のコメントなどはすべてプリントアウトして持ち歩いたり、事務所の壁に貼り出したりして、言葉から勇気をもらっています。

豊富な実績を持つ講師陣や支援者、そして意欲の高いアスリートが集う。

──アスリートのネクストキャリアを支援することになったきっかけは、何だったのでしょうか?

野球で有名大学に進学したものの、怪我を負って学校も辞めてしまい、人生に迷っている状態の若者を紹介されたことがありました。そのとき彼は「僕の人生は20歳でピークでした」と言ってきたのです。私は「キャリアはこれからだ!」と叱咤激励し、鞄持ちとして働いてもらうことにしました。すると「ビジネスはおもしろい」とスキルアップを重ね、知人の会社に紹介したらすぐに内定が出て就職し、今も活躍中です。

その彼から、「道に迷ってもがいているアスリートたちを支援する仕組みをつくって欲しい」と頼まれたのが、きっかけです。そこで他社が行なっているアスリートの人材サービスを利用した100人くらいにインタビューした結果、6割以上が1年以内で就職した会社を辞めている事実を知りました。スポーツだけに打ち込んできたアスリートにとって、「教育」が必要だと気づいたのです。そこで教育から紹介までを担う仕組みを立案し、当社の前身である「日本営業大学」を立ち上げました。

──ビジネスの強みや、将来のビジョンを教えてください。

まず、30名以上の専門家が講師として揃っており、教える環境が整っています。役員に元フジテレビのアナウンサーの田中氏や元Jリーガーの近藤氏らが参画。さらに、アドバイザーに連続起業家で琉球アスティーダスポーツクラブを率いる早川氏、ペライチ創業者の山下氏、元プロ野球選手の橋本氏がいらっしゃるなど、錚々たる面々が集っています。先日はウエシマコーヒーフーズ元会長の上島氏が顧問に就任するなど、各界で輝かしい実績をお持ちの方々に応援していただいています。そして、「お金を払って、ビジネスを学びたい」というアスリートが380名以上在籍。こうした仕組みが確立しているのが、ABUの強みだと思います。これは私の力では無く、皆さんのおかげです。

私の想いとしては、定年後の再就職という意味だった「セカンドキャリア」という言葉がアスリートの世界で使用されている状況そのものを無くし、現役を卒業して新たなチャレンジをするときには「ネクストキャリア」と言われるようになる世の中にしたいです。現役のとき以上に活躍し、人生を輝かせて欲しいのです。そして5年後には、株式上場も目指しています。

──アスリート人材が企業で活躍する理由はどこにあるのでしょうか?

色々あるのですが、まずビジネスの基本である「PDCA能力が染み付いている」ことが特徴としてあげられます。目標設定から実行、チェックから改善までを毎日繰り返すのがスポーツの世界です。さらに、メンタルもフィジカルも鍛えられている点です。疲れづらいので、集中力が持続します。さまざまな素養が揃っているところに、ABUでビジネススキルやマナー、メンタリティの部分を補うことで、新たな能力が開花するのです。

まずは、「身近な人を大事にすること」からはじめよう!

──若者へのメッセージをお願いします。

「目の前の人を大事にしなさい」ということです。家族や友達で困っている方がいたら、向き合って助けて欲しいと思います。これは私自身が多くの方々から助けてもらった人生の中で得られた“信念”です。もうひとつは「凝り固まった価値観から抜け出し、選択肢を増やそう」ということでしょうか。アスリートに限らず「自分にはこれしかない」と思い込んでしまう若い方がおられるかも知れませんが、ちょっと視野を広げてみると色々な可能性が見えてきます。そのためには、狭いコミュニティから抜け出し、多様な人付き合いをするのがオススメです。あとは、困ったときは「助けてください」と素直に伝えることです。ただ、私自身もこの点はまだ苦手なので、みなさんと一緒に克服したいですね(笑)。

──最後に、中田さん自身が「助けたい」と思う人物像は、どんな方ですか?

「熱量」と「志」のある方です。求めているものに必死で取り組み、努力を重ねている“本気度”を重視します。次に「正直さ」です。ごまかしそうな方は、やっぱりわかってしまうものです。最後は「逃げないこと」でしょうか。「この人は絶対に最後までやり抜く覚悟があるな」という人物には、困っているときに私も含めて、誰かが助け船を出してくれるものです。スポーツには、そうした資質を身に付けられる要素があると思いますよ。

株式会社A.B.United

設立 2022年5月
資本金 非公開
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 アスリートのセカンドキャリアに関する就職支援等
営業力・仕事力を向上させることに関する研修、セミナーの企画・運営
URL https://ab-u.co.jp https://www.amazon.co.jp/非認知能力-中田-仁之/dp/4867341401 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c916cafa06f030b82e7850ee98e64598b0cb9a33
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