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【有限会社ティー・エス・ピー 林田 直輝】異国で体感した顧客心理、仲間とすれ違う価値観、待ち受ける多くの困難

2024/02/05

Profile

林田 直輝

有限会社ティー・エス・ピー 取締役

高校卒業後、アミューズメント会社の社員になり、人事や海外部署の店長として活躍。その後、専門学校に進学しデザインを学び広告代理店に勤務し、広告施策やWebマーケティング、D2CやLP領域の知見やノウハウを得た林田氏。営業から制作、プロジェクトマネジメントなどさまざまな経験を積んだ後、父親が社長を務める有限会社ティー・エス・ピーに入社。現在は取締役として、SNSコンサルティング事業の運営などを手掛けている。

今回はそんな林田さんに、失敗したと感じた体験談やそこから学んだこと、事業の強みなどを伺いました。

友人たちと立ち上げた新規事業。しかし暗雲が…。

──貴社に入社したきっかけや、入社後の逆境体験を教えてください。

当社は創業者で代表の父親と、ナンバー2だった叔父が経営を担っていました。ところが叔父が急死し、父親への負担が大きくなって精神的にも体力的にもボロボロになっている姿を見かねて、サポートのために入社を決意しました。少し落ち着いてきたころ、祖業である物流業を大切にしながら、私としてはこれまで培ってきた組織運営やWebマーケティングのビジネスを展開したいと考えるようになりました。

ちょうどそのタイミングで友人たちから「一緒に事業をやらないか?」と声がかかり、おもしろそうだなと感じて、一緒に映像制作やWeb制作事業を始めることにしたのです。メンバーは学生時代から知る同級生で、気心が知れている関係性でした。さらにその友人が連れてきたメンバーも含めて3人でスタート。ただ、結局その事業はそれぞれの考え方の違いなどでバラバラになり、袂を分かつことになりました。

失敗した原因としては、組織運営力が不足していました。それぞれの強みを活かすことができず、各役割がどのように考え、行動すべきか、ふんわりとしていた部分があり、プロジェクト実行の生産性が悪い状態にありました。その結果、当時のメンバーは別々の道に分かれることとなりましたが、今ではその反省を活かし、新しい仲間たちと事業に励んでいます。

──会社員時代、記憶に残っている仕事は何でしょうか?

会社員時代、営業や広報といった仕事から、クリエイティブの制作や広告運用といったクリエイティブ業務、人事やマネジメント経験など幅広い経験を積ませていただきました。最初にアミューズメント会社を選んでに入社した理由は、年功序列ではなく実力主義だったからです。実際に頑張っていたら23歳でグアムにあるお店の店長に抜擢してもらえましたね。英語が喋れないという逆境はありましたが、異国での環境に適応する能力を日々磨くことができました。コミュニケーションの際、感情豊かな人が多くお客様の心情がわかりやすかったです。固定概念に捉われず、自由な環境でチャレンジをさせてもらったのは良い思い出です。

関わる方たちが安心できる環境づくりのために

──逆境を体験したからこそ得られた教訓はありますか?

組織として継続して活動するには「一貫した使命・近未来像・価値観」を持ち、組織としてありたい姿を発信し続けることが大事だと感じました。周りを冷静に見渡しながら、自分がプレイヤーとして動くよりも、関わる人たちが安心できる環境のために「組織づくりや事業運営の仕組みづくり」に注力しています。現在、建築業界が集って採用課題・経営などの総合的支援や、社会貢献などを非営利で行なう『一般社団法人GCU』の西日本支部会の副支部長を務めています。そこでも人材育成や業務フローの立案や運用、仕組みづくりの大切さに気付かされました。事業立ち上げ当初の自分と比較して、比べ物にならないくらい、たくさんの貴重な経験をさせていただいています。

これまでの自分を振り返ると、チャレンジできる環境を周りに提供してもらえていたことは、幸せなことだったと感じます。結果的にチャレンジしている方たちに囲まれる環境にありました。しかも、その環境は誰かが「ゼロイチ」からつくったものの中にあります。現在推進しているのは、従業員に対しての研修体制やチャレンジできる環境を整えることです。アミューズメント会社は基礎的なビジネスマナーといった研修体制が充実しており、入社してからも「マネジメント研修」など、自分が受けたい研修を受講する制度がありました。また、昇進や昇給の評価基準も明確で、人事考課制度がしっかりしていたのです。これからは、オンラインで働くスタッフが多い当社の風土に合わせた評価制度の構築などを、着実に進めていこうと考えています。

費用対効果が高く、寄り添うSNSコンサル事業。

──事業の強みを教えてください。

私たちはSNSマーケティングサポートと映像制作を柱に、特にInstagramの運用代行とコンサルティングサービスに力を入れています。私たちのサービスの中心にあるのは「インストくん」で、これは売上向上を目指し独自のInstagram専用システムを活用したサービスです。

このシステムの魅力は、競合アカウントのデータを可視化し分析する機能、Google Mapsとの自動連携による投稿の効率化、そしてDMの自動化により、高い訴求効果と業務の効率化を同時に実現できる点にあります。さらに、企業のPR活動を加速するため、商品やサービスを宣伝するアンバサダーの起用もサポートしています。

「インストくん」の導入により、例えば、ある工務店では月間8件のお問い合わせのうち5件をInstagram経由で獲得し、アパレル事業ではInstagram経由の売上が全体の9割を占め、前年比で780%の売上増を達成した実績があります。

現在、私たちは企業の人材開発にも注力しています。人材開発支援助成金を活用し、「SNS運用力アップ研修」や「ChatGPTを用いた業務効率化と生産性向上研修」を提供しています。これらの研修を通じて、SNSを活用した集客力と採用力の向上、さらにはデジタル技術を駆使した業務効率化を実現できる人材を育成しています。

私たちは企業様の人材が「学び直し」を通じて成長し、デジタル分野での人材開発に貢献することで、さらなる生産性の向上を目指しています。私たちのサービスが経営者の皆様の事業拡大と人材のキャリアアップに貢献できれば幸いです。

経験値を得た後は、「やらない」という選択肢もあり。

──若者へのメッセージをお願いします。

私が常に心に留めているのは、スティーブ・ジョブズの「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」という言葉です。この言葉は人生にも仕事にも大切な指針として捉えています。

仕事をするうえで重要なのは「自分の業務がどのように素晴らしい未来につながっているか」を常に思い描くことです。そうすることで、どんなに困難な状況でもそのプロセス自体を楽しむことができます。一方で、将来性のない仕事に対しては断固として「やらない」という選択をする勇気も必要です。

多くの場合、組織や個人は多くの仕事獲得を目指します。それは、仕事が報酬に直結するからです。報酬が低い仕事であっても、それが経験や成長、価値ある方とのつながり、未来への一歩につながると感じるのであれば、やるべきだと感じます。逆に、報酬のためだけで時間を浪費する、未来につながらない仕事は避けるべきです。未来につながらない仕事を続けることは、成長の機会を失い、貴重な時間を浪費することにほかなりません。

また、「何をすべきかわからない」と悩む方も多いです。経験が少ないと、知っている範囲でしか物事を判断できません。しかし、それでは視野が狭まり、多くの可能性を見落としてしまいます。視野を広げる方法のひとつは、さまざまな人々に会うことです。既存の友人だけでなく、日常の範囲外にいる人々との出会いが、未来への新たなヒントにつながるかもしれません。

そのうえで判断し、わからないことにも果敢に挑戦してみることをおすすめします。自分で行動を選択しその選択に誇りを持つことで、より豊かな未来に繋がる時間を過ごせるかと思います。

有限会社 ティー・エス・ピー

設立 2003年10月
資本金 300万円
売上高 非公開
従業員数 非公開
事業内容 映像制作
Instagram運用支援
YouTubeチャンネル運用支援
広告クリエティブ制作
Web制作
補助金・助成金サポート
URL https://tsp-h.jp/
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