SNSは未経験の所から1つずつ学んで事業につなげる
――貴社の事業内容について教えてください。
Instagramの運用代行の仕事をしています。Instagramのアカウントを持っていない企業様であればアカウント作成からサポートし、アカウントを持っている企業様にはアカウントを巻き取って、集客や人材の採用につながるように運用していきます。
――SNSはたくさんの種類がありますが、なぜInstagramの運用代行を選んだのでしょうか。
Instagramはビジネスとしてみて、最も集客の導線が引きやすいと感じているからです。企業様の公式LINEやWebページなどに飛びやすい機能を、Instagramはたくさん用意しています。なんでもできるInstagramは、総合格闘家のように思っています(笑)
もともと、就職したのは不動産の仲介の会社だったので、当時はSNSに関してはまったくの素人でした。会社を辞めてからは個人事業主として動画制作の仕事をしたりしていたので、お客様のSNSを運用させてもらいながら学び、うまくいっているアカウントの真似と分析をとにかく続けたことを覚えています。
逆境の3か月を支えた精神安定剤は、1日10件のアポイント
――逆境経験とそれを乗り越えた方法について教えてください。
独立して最初の3か月は、ほとんどお客様がいなかったのでそこが一番辛い時期でした。半年を過ぎたあたりから徐々にお客様も増えて、業務フローも整備されて辛い時期を脱しましたね。メンタル的には「なんとかなる」と楽観的に考えていましたが、朝起きて予定が入っていない日は不安を感じていました。そんな時はとにかくアポをとって、経営者と話していました。オンラインでの1日10件ほどのアポの時間が精神安定剤になっていたと思います。
たくさんの先輩経営者の方と話していると、そのうちアドバイスをもらえることや契約につながることもありました。毎日たくさんの方と話すなかで、自分の事業のアイデアも徐々に固まって行ったと思います。
――起業したての頃などは特に、クライアントから無理難題を要求されることもありましたか。
はい、もちろんそれはあります。自分のなかで分析してみると、多くはお客様との期待値の調整に失敗している時に起こることに気づきました。特に年齢が高いお客様など普段SNSを触らない方々は、SNSを「魔法のツール」だというイメージを持っています。SNSを活用すれば、すぐに売上や集客につながると思っているんです。
もちろん期待されている以上の成果を出すようには努力しますが、「魔法のツール」と思わないでくださいということは口酸っぱく伝えています。また、効果が現れるまで長期的に取り組む必要があることは、契約前にきちんと話すようにしています。
20代のうちに死ぬ気で仕事をする
――今後のビジョンについて教えてください。
Instagramの運用代行のほかにも、VRドライヘッドスパ専門店「脳のトリコ」を京都で運営しているのですが、今後は東京にも進出する予定です。
いま所有しているビジネスをこのまま順調に育てて、5年後の自分が30歳になるまでには、売却することを考えています。実際にM&Aについてアドバイスももらっているのですが、「あなたがいなくなっても事業は回るのか?」というご指摘をいただきました。そのために今はなるべく自分が実務をやらずに、我慢して任せるようにしています。属人化している仕事や、効率化できる部分については改善をしているところです。
事業を売却した後については、まったく考えていません(笑)。漠然と、油絵を習おうかなとは考えています。あとピアノやスポーツとか、ひとまず趣味に走りたいです。30代を思いきり楽しむために、20代は死ぬ気で頑張るということをイメージして、今は仕事に打ち込んでいます。
経営者との接点を増やし経営者から学ぶ
――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。
僕はやらされる仕事はできないし、本を読んで勉強することも苦手です。今の若い方々も、やらされる仕事ではなく、やりたい仕事を頑張って欲しいと思います。好きなことなら120%力を出せますよね。学生時代に打ち込んだ部活のように、主体的にできる仕事を見つけてみてください。勤めている会社にそんな仕事がないのであれば、自分で起業してつくってしまうのもありだと思います。
もし将来的に起業を考えている方がいるのであれば、「どんな環境に身を置くのか」がキーポイントです。具体的に言うと、とにかく経営者との接点を増やすことです。1日に10人以上、1か月に何人の経営者と会えるかのゲームを1年間ほどしてみてください。そうすれば「自分も起業家になれる」というセルフイメージにもなりますし、社長と話す日常が当たり前になります。ぜひ恐れずに、起業している方の輪のなかに飛び込んで欲しいと思います。