自分にしかできないことで価値を高めていく
――貴社にはなぜCOOとしてご参画されたのでしょうか?
当社の代表がもともとの知り合いだったこともあり、私が事業を畳んだタイミングで声をかけてもらったところからCOOに就任しました。私は映像関係の仕事やSNSマーケティングはやったことがありませんでしたが、ご縁が重なり今は役員という肩書きで、共同代表のような形で会社を運営しています。
――貴社の事業について教えて下さい。
当社のメイン事業は映像制作ですが、現在はいいなと思ったものを販売する営業代行の事業にも注力しています。近い将来、映像制作の会社としてではなく、さまざまな分野で事業を拡大する可能性があります。我々でしかできないことをやって会社の価値を高めていける新規事業をどんどんやっていきたいですね。
――新規事業はどのように見つけるのですか。また、参入しようと思う決め手は何になるのでしょうか。
これまでにさまざまな事業を立ち上げてきましたが、どんな事業の立ち上げも直感的に魅力を感じたものに取り組んでいます。その分野が得意だから参入するというより、知り合いから紹介してもらったご縁を大切にまずやってみるということが多いですね。
飲み会などカジュアルな場で知り合った方から紹介されて、新しい事業の機会につながることはよくあります。アポイントメントを取ってかしこまって商談するというよりは、飲み仲間と話しているなかで仕事につながるパターンがほとんどです。そのようなスタンスで気軽に接しているからこそ、自然と人脈が広がっているのかもしれません。週に7回ほど飲みに行っているので、そもそも会っている人の母数が多いというのもありますが(笑)
――仕事をするうえでのモットーを教えてください。
仕事はいただく金額以上の成果を出すべきだと考えています。仲介業者が入って金額が高くなってしまうとクライアントに喜んでいただくことはできません。そうなると、結局その仕事は続かないので、いいことは何もないですよね。
クライアントも一緒に仕事をする仲間も、長期的に付き合っていきたいじゃないですか。クライアントに喜んでもらうためには、最良のチームで仕事をすることが大切だと思います。適切な人材に活躍してもらうことが良い結果を生み、クライアントの喜びとなり売上につながるのではないでしょうか。
逆境を乗り越えるコツは「知る」こと
――逆境経験がありましたらお伺いできますか。
逆境と感じたことはあまりないのですが、人に話すと「おもしろいね」と言われる経験は多々あります。例えば、自分で会社を経営していた時のことです。実の父親を大阪支店の支店長として雇っていたのですが、金銭的なトラブルがあって連絡が取れなくなったことがありました。
妹とは普通にやりとりをしていたので、「もう怒っていないから普通に連絡してきて」と父に伝えてもらったら、父は「話すことは何もない」と言っていたそうです。こっちのセリフだよと思いましたが、今となってはもう話のネタですね(笑)
ほかには、経営していた害獣駆除の会社を2021年に畳んだ際、その当時はストレスを感じていたと思います。害獣駆除はお客様のご自宅に上がらせていただいて作業をするのが基本なので、新型コロナウイルスの影響で作業が難しくなり、会社として大きなダメージを受けました。全国展開を目標に事業を拡大していたので、縮小していって最後に倒産となった時は寂しかったですね。
――大きな逆境経験だと思うのですが、逆境と感じないのはなぜでしょうか?
強靭なメンタルだと言われることが多いですが、育ってきた環境が大きいと思います。幼少期の頃に祖父が経営する会社が倒産して、家が差し押さえられたり、その後に両親が離婚したりと、ドラマのようなことが起こる家庭環境でした。このような経験から、何事にも動じない性格が形成されたのかもしれません。
――逆境経験から学んだのはどんなことですか?
逆境を乗り越えるコツは「知る」ことです。倒産をしたことがないと、「倒産は怖いものだ」と思ってしまいます。たとえ破産したとしても実は何も起こらないんです。自分の会社が破産してお金がなくなっても、死ぬことはないことがわかりました。
重要なのはどのような状況も受け入れ、前進する方法を見つけることです。そんなに辛いことは起こらないし、起こったとしてもしょうがないくらいに開きなおって良いと思います。最悪の事態が起こらないように考えながら生きることはもちろん大事ですが、想定外の事態にも柔軟に対応することが肝心です。
また、自社の倒産を経験して以降、私の人材マネジメントの方法も変わりました。以前は気を遣って社員に接していましたが、今は自分の思ったことを素直に伝えるようにしています。
普段は厳しく言うことも多いですが、一緒に食事にいく時などに良いところを褒めるようには心がけています。このようなストレートなコミュニケーションが、関係性の強化につながっていると感じています。
何をするかではなく誰と仕事をするかが大切
――今後のビジョンについて教えて下さい。
私は仕事の内容よりも、誰と仕事をするかを重視しています。当社とは別に、フードロス関連の事業やM&A、不動産関連の金融資産運用にも携わっていて、今いるメンバーの最大公約数をとっていくような仕事をしていきたいです。「私たちにしかできない価値を提供し続けていく」というのがキーワードです。
私はこれまでやったことがない分野に、次々と挑戦していきたくなってしまう性分です。新しい事業を立ち上げることで新たな人脈ができて、違う世界が見えてくるのがおもしろいんですよ。新しいチームメンバーを迎え入れる際には、ハードな部分もハッキリと伝えて、それでもやりたいというガッツがある方と一緒に働きたいですね。
行動して失敗を経験して強くなった方は魅力的
――最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。
会社を立ち上げる時は先行投資が必須ですが、先行投資をすることで逃げられない状況に自分を追い込んでいくことを繰り返してきました。自分がいろんなことを経験していると、他人のことも受け入れられるようになります。新しいことをする時は常に不安がつきものですが、やり続けることで乗り越える力がついていきます。
私は人の成長は失敗の経験に比例すると考えています。新しい挑戦を恐れず、経験を積むことが重要です。果敢に挑戦して満足いくまでやりつくし、失敗を活かせる大人になって欲しいと思います。