「9回裏、二死満塁」で逆転勝利するために。
──逆境やピンチをチャンスに変えたり、乗り越えたりしてきた経験を教えてください。
社会人になってから、最初の逆境経験は大手営業会社を辞めたときです。大人の事情で自分も含めて複数名の責任者が退職することになり、当時私も主要ポジションのひとつを任せられていたので会社を去ることになりました。確かにピンチではありましたが、同時に「役職についていたら組織を守る立場なので自分の都合では簡単に辞めれないが、今なら新しいことにチャレンジできる!」と、チャンスだとも捉えていましたね。そこで、当時の上司とスピンアウトして会社を立ち上げ、私は社長を補佐するナンバー2の立場で会社の経営に携わっていました。
次に逆境を感じたのは、その会社の立ち上げ期です。それまでは大企業の看板で仕事をしてきましたが、頼る人も取引先もない「ゼロからのスタート」なので大変でした。特にキャッシュフローは、組織にいると経理や財務といった専門職が社内にいるので、自分たちは営業だけに専念することができましたが、経営となると資金繰りが重要です。入出金のタイミングの調整や銀行との交渉など、初めての経験ばかりだったので苦労しました。ただ、その逆境経験も当社を立ち上げるときに役立ち、スムーズに起業をすることができましたね。
起業後にあった逆境は、ある事業が外部環境の急激な変化によって撤退せざるを得なくなったときです。そのとき、お客様先を一軒ずつ回り謝罪行脚をしたのですが、「上月社長が悪いわけじゃないから」とあたたかい言葉をかけてもらいました。毎日の信頼の積み重ねが困難な局面で真価を発揮することを実感し、「ピンチから決して逃げてはいけない」という信念が正しかったことを再認識することができました。
逆境には色々な種類があり、それを乗り越えることで毎回「経験値」として自分の中に蓄えられます。ピンチが来たときに落ち込むだけでは何も解決しないので「これを機に、次にどうすればいいのか?」という心構えを持つことが大切です。すると新しいアイデアを生み出したり、新ビジネスにつながる源泉になるので、「ピンチをチャンスにする」というところは、普段から常に意識しているポイントですね。そうすることで、例えるなら「9回裏、ツーアウトフルベース」になったとき、点数をものにできるバッターになれるのです。
起死回生の一手は、常日頃のインプットから生まれる。
──「ピンチをチャンスにする」というメンタリティーは、どうやって鍛えたのでしょうか?
子どものころから、メンタルが強かったわけではありません(笑)。むしろ、ほとんどの方と同じように、子どものころはマイナスなことにとらわれることも多く、プレッシャーに弱かったですよ。社会人になり様々な経験を経てメンタルが鍛えられ、事業をはじめてからさらに、「メンタルトレーニング」に注力するようになりました。多種多様な方々の話を聞いたり、本を読んだりすることもトレーニングになっています。。最近では 『子どもたちに…いにしへのいろはことば』という本に書かれている、1500年代に詠まれた四十七首の人生訓が心に刺さりました。古典から最近の本まで、テーマなどに縛られず幅広く文献に浸ることで心が耕されます。また、精神性を高めることにつながるだけでなく、ビジネスのアイデアにも結びつくので読書はオススメです。
──貴社の事業について教えてください。
当社のロゴマークは、社名にもあるように「笑顔」をイメージしています。仲間の喜びだけではなく、これまで関わってきた全ての方を「笑顔にしたい」というメッセージを込めました。現在、事業としてDXの推進やITソリューション、HR領域を手掛けていますが今後はそれらを掛け合わせることで、ブランディングや採用に困っているお客様の要望に、より一層応えていきたいですね。また、来年からは人材紹介事業への進出も視野に入れるなど、多岐にわたる事業への展開を計画中です。
目指しているのは、ワンストップサービス。「クリエイティブはあの会社に。人材は別のところに頼む」ではなく、どんな課題も当社にご相談していただければ解決に導けるような会社にしたいですね。まずは、地盤を固めるために着実に売上をつくりながら、組織づくりに力を入れています。
社名に込めた「進歩と笑顔」を具現化する社会へ。
──「『笑顔』を共創する」という経営哲学に至ったきっかけはなんでしょうか?
ビジネスのポイントは「Win-Winをいかに実現するか」が肝要だと考えています。ステークホルダー全員、さらには社会全体をいかに「笑顔」にするかが企業の役割ではないでしょうか。そのためにはたゆまぬ「進歩(progress)」が必要であり、それが社名の由来になっています。そうした理念を具現化するために、「『笑顔』を共創する」ことを掲げ、当社発で「幸せ」を創造します。さらに、関わってくれた方や企業が「当社と一緒に共創したこと」を喜んでもらえるようになり、日本に貢献できる会社になるのが、目標です。そこをクリアしたあかつきには、世界に飛び出していきたいという野望もありますね。
──次世代を見据えて、どんな事業を考えておられますか?
既存事業で資金に余裕ができたら、独自のサービスやプロダクトをリリースしたいですね。例えば「アプリ開発」などは目標のひとつです。以前に、現在普及している「レンタル自転車」と同じようなアイデアを思いついたことがありましたが、巨額の資本投下が必要なので断念したということがありました。アプリ開発であれば、初期投資はそこまで大きくないので、挑戦しやすいと考えています。ほかにも、既存のコワーキングスペースをより深化させるような「ビジネスを支え合い、生活するシェアハウス」や、志の高い経営者などが集まるコミュニティーづくりなど、興味があることやアイデアは無限大にありますね。
共創できる仲間と、社会を変えていきたい。
──若者へのメッセージをお願いします。
今の若者はこれからの日本を、そして世界を引っ張っていく存在です。だから、若者にしか思い浮かばないようなアイデアを、もっと社会に発信して欲しいですね。将来を見据えると、独立精神旺盛な方が起業したり、フリーランスになってイキイキと活躍する若者たちが増えることこそが社会全体の発展につながると思います。例えば、企業との関わり方としても完全に組織に所属する「会社員」という道以外に、フリーランスとして参画して「自分でしっかりと売上をつくれる実力を身につけてから、独立する」という選択肢があってもいいのではないでしょうか。
超少子高齢化が進み、労働人口が減少する一方の日本では効率アップが不可欠であるにも関わらず、一人頭の生産性や収入を高める「副業」すら禁止されているところが多いというのが実情です。私たちはそこにメスを入れ、革新的なサービスや事業を創出することで社会を楽しくすることを目指しています。
最後になりますが、当社ではそんな夢を叶えるため『共創できる仲間』を募集中です。立ち上がったばかりで小回りの効く当社なら、大きな組織では難しいことにも“少数精鋭のチーム”ですぐにチャレンジできる環境が整っています。「アイデアを出して、実現に導くのが好き」という行動力のあるあなた。ぜひ、一緒にワクワクする日々を過ごしてみませんか?